大人になってから学ぶサッカーの本質とは

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子どもの世界で生まれるサッカーヒエラルキー。それを助長させているもの

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以前、子どもたちの世界はほうっておくとヒエラルキーができてしまうという内容の記事を書きました。
悲しいことに、サッカーで子どもの世界のヒエラルキーが生まれてしまうことが往々にしてあるので、そのことについて少し深く考えてみたいと思います。

 

子どもたちの世界は放っておくとヒエラルキーができてしまいがちです。上手い子が偉くて、下手な子はダメと。その構図を放っておいてしまうと、子どもたちにとってサッカーが上手い子がプレーするものであり、選ばれた人しか楽しめないものと認識されていきます。実際そのように捉えている大人も多いです。 これはサッカーの育成指導の大きな課題であると私は思います。 大人は子どもたちをよく観察して、よいコミュニケーション、関係性が育まれているかを注意深く見守る必要があります。良いコミュニケーションとは、誰かを傷つけてしまうような振る舞いがないか、傷つけてはいけないこと、相手と気持ち良い関係を築くためのコツを伝えてあげることです。このようなことはサッカーとは関係なく見えますが、実はものすごく大切なことです。サッカーはコミュニケーションのスポーツです。 チームメイトとの関係性がよくないと、子どもは簡単に居場所を失います。 コーチはサッカーの指導以上にこのような能力が求められています。しかしながら、そのようなことを学ぶ機会はほとんどないのも課題だと思います。

子どものサッカーコーチがサッカーの指導以上に大切にしなければいけないこと - 大人になってから学ぶサッカーの本質とは

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サッカーヒエラルキーを助長させる要因

子どもたちのサッカーにおいて、大人たちの勝利至上主義的価値観がそれを助長させている大きな要因として挙げられるのではないかと思います。

勝つこと、強いチームになることを過度に重視し要求し、先回りの指導故に成長プロセスをないがしろにしてしまうことや、能力の高い一部の子どもたちに経験機会がかたよってしまい、試合に出れない子どもたちがたくさん出てしまう構造も子どもの世界のサッカーヒエラルキーを助長させていると感じます。


比較意識と外見重視

他の子との比較、他のチームとの比較を行い、優劣を意識させてしまったり、体格や運動能力、テクニックを過度に重視し、ある一定の基準に満たない子どもを評価しないことで、子どもたちの世界でもそのままヒエラルキーが作られることもあります。

相対評価に偏らず、その子の成長に合わせた評価をしてあげることができないチームが多いように思います。

子どもの心理と承認欲求

そのような環境で子どもがサッカーをしていると、周りの大人や友達から認められたいという気持ちから、強いチームに入りたい、目立ちたいと思う気持ちが強化され、マインドも能力も低い子を差別するようになる可能性があります。

実際にそのような子を何人も見てきました。

 他の子と自分を比較し、劣等感や優越感を感じてしまったり、失敗を恐れて、新しいことに挑戦することをためらってしまうということもあります。

こういうことは割と当たり前のように起こるので、指導者や保護者が上手にフォローをする必要があるのですが、放置せず、子どもの心理とそうなっている背景を理解してサポートする必要があると思います。

チームマネジメント

チームの運営、マネジメント側が子どもの世界で起こり得ることに対して無頓着だと、チーム内で序列ができやすく、一部の子どもだけが優遇されるような状況がいとも簡単に生まれます。

そのようなチームでは保護者の態度も問題になりがちです。

チームやコーチに対する不満を子どもの前で言ってしまう、他の子をけなすなど、子どもの心を傷つける言動がでてしまうというのはよくある話です。


サッカーヒエラルキーをなくすためにできること

大人たちの意識改革

行き過ぎた勝利至上主義をやめて、成長のプロセスを重視することがとても大切だと思います。

大人が結果だけでなく、過程を楽しむこと、子どもの成長をサポートすることを大切にすることです。

重要なのは先回りして教えすぎないこと、大人が結果にこだわりすぎないことです。

多様性を尊重することも重要です。

子ども一人ひとりの個性や能力を認め、それぞれの成長フェーズに合わせた支援をすること。

簡単にはいかないですよね。指導者側の余裕がない構造上の問題もあれば、指導者がこのようなことを学ぶ機会も得にくいのが現状だと思います。

育成年代のサッカークラブの運営が苦しいという実態も取材を通じてわかってきたことです。

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しかしながら、現状をより良くするためのアクションはあります。

JFAにはこのような情報もありますし、自ら学ぶ姿勢、機会を作ることも重要だと思います。

www.jfa.jp

参考になる書籍を厳選したこちらの記事もぜひ読んでみてください👇️

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言葉遣いや態度に注意

子どもの前では、否定的な言葉や比較するような言動を避けなければなりません。

子どもたちの自己肯定感を育み、頑張りを認め、自信を持たせてあげることが大切です。

一人ひとりの成長段階を見極めて、なるべく置いてきぼりにならないようにサポートしていく必要があります。

サッカーはコミュニケーションスポーツです。

だからこそチームワークの大切さを教え、仲間を尊重する心を育んでいかなければなりません。

日本の育成年代はチームよりも個にフォーカスが行き過ぎているように思います。

チームでプレーすることをしっかりと指導できるように学んでいかなければなりません。

プレーする機会を与えること

失敗から学ぶ機会を与えることも重要です。

そのためにプレーする機会をしっかりと全員に与えなければなりません。

試合に出れる子だけが経験を積み、試合に出れない子は機会損失を積み重ねるという問題をクリアしないといけません。

失敗を恐れない心を育み、新しいことに挑戦する意欲を高めることは子どもの成長においてとてもとても重要なことです。

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成長する環境づくり

チーム全体の雰囲気作りは指導者の力量です。

みんなで協力して目標に向かっていくことを大切にする必要があります。

それらを踏まえて保護者の連携も重要です。

親同士が協力し合い、子どもたちを応援すること。

前述した機会の提供の補足になりますが、例えばAチームだけ試合の機会が多いのではなく、所属する誰もが試合の機会を得られるように運営側が設計する必要があります。

サッカーは誰にでも開かれているものです。誰でも楽しめるようなサッカーの場を増やすこともチーム運営には大切なことです。

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サッカーは本来、ボールと場所があれば、誰にでも遊べるものです。 でも、公園もサッカー禁止、クラブやスクールに入らないとボールを蹴る場所がない。クラブやスクールに入るにはお金がかかる。お金がないとボールを蹴って遊ぶことすらできない。 つまり、自分たちの生活で手一杯な世帯は子供にサッカーをする機会を与えることができないということになります。 これはとても寂しいことだと思うし、サッカーはやはり誰にでも開かれているものなので、その環境を取り戻したい

お金がないとサッカーすらできない環境になっている。誰でも遊べるサッカーを取り戻したい - 大人になってから学ぶサッカーの本質とは

 

先日、とても悲しい話を聴きました。 U-10の地区大会での出来事です。 2日に分けて行われる予選リーグ初日。 その日は2~3試合の予定だったそうです。 1分も出場機会がないこどもたちが、いたそうです。 それもひとりではありません。 これをきくと、何人もメンバーがいるのかと思うかもしれませんが、 8人制サッカーの13~4人の中での話です。 それを聞いてとても悲しい気持ちになりました。 いよいよ楽しみにしていた地区大会。 今日はがんばろう!と会場に向かっても、1度も出場することなく帰路につく。 こんな小学生の話になんの疑問ももたない大人にはなりたくない

1分も出場機会がないこどもたちの話。試合に出る機会は全員に与えられなければいけません。 - 大人になってから学ぶサッカーの本質とは

 

サッカーを早くに始めた子、自信のある子の中にはサッカーを始めたばかりの子に対して、「下手っぴ」とか「邪魔」とか言ってしまったりすることありますよね。 親やコーチはよく観察して、そんな場面にこそ子どもに対してコーチングが必要だと思います。「上手いも下手も関係ないよ、サッカーはみんなで楽しむもの。サッカーが上手な〇〇くんがサッカーの楽しさを教えてあげよう」と。私ならそのように伝えます。 子どもたちの世界は放っておくとヒエラルキーができてしまいがちです。上手い子が偉くて、下手な子はダメと。その構図を放っておいてしまうと、子どもたちにとってサッカーが上手い子がプレーするものであり、選ばれた人しか楽しめないものと認識されていきます。実際そのように捉えている大人も多いです。 これはサッカーの育成指導の大きな課題であると私は思います。

子どものサッカーコーチがサッカーの指導以上に大切にしなければいけないこと - 大人になってから学ぶサッカーの本質とは

 

子どもにサッカーの“本質”が伝わる本

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  • 作者:A・P・マリーニョ+笠野英弘
  • 出版社:東邦出版
  • 発売日: 2019年04月25日頃
教えないスキル

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サッカーとビジネスのプロが明かす育成の本質

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