大人になってから学ぶサッカーの本質とは

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コーチの無意識の偏見。音を立てる選手、立てない選手の話

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スペインのビジャレアルで指導改革を行い、Jリーグ特任理事、WEリーグの理事も勤め、24年からはスポーツハラスメントZERO協会の理事もされている佐伯夕利子さんの著書をご紹介させてください。

佐伯さんの指導人生を追体験するかのように惹き込まれてしまいました。スポーツ指導者のみならず、企業の管理職の方にもマネジメントのヒントがたくさん散りばめられていてお勧めです。

複数回に渡ってご紹介させていただきますが、今回はハッと気付かされた一節を引用させていただきます。

音を立てる選手、立てない選手

「音を立てない選手」に注目するようになった。目立たない代わりに何も言わない。ある種、大人(指導者)にとって都合のいい子(選手)は必ずいる。彼ら彼女たちの優先順位をいつも後ろにしてきた。その逆で、意識を向けて時間とエネルギーを注ぐ選手は、決まって私たちのお気に入りだった。突破力があるキーマンで有望だから「あいつはフォワードより中盤の左のほうが活きるんじゃないか」などと同じ選手の話ばかりしてきた。つまり音を立てる選手だ。

ーー中略ーー

指導中のビデオ撮影やサイコロジストの観察から「えっと、今日の練習でユリコは22人のうち5人に一度も声をかけてなかったね」と気づかせてもらった。

「今日はパウラには13回声をかけたね。でもマリアにはたったの2回だったよ」

 

この話は佐伯さんたちコーチ陣がメソッドダイレクターのセルヒオ・ナバーロから受けた学びの一部として紹介されています。下記の「」はセルヒオ・ナバーロの言葉です。

「クラブは11人だけ強化してほしいなんて望んでいない」

「このクラブは、伸びしろがあると思った選手たちを各学年22人揃えている。22人全員が成長できる指導環境を君たちに求めているんだ」

なぜならば、人の可能性は未知数で第三者が決めることではない。私たちの仕事は、一人ひとりの成長機会、学校でいうとこの学習権が同等に与えられる環境をつくることなのだ。したがって、私たちコーチが特権的に11人を選び、彼らだけ強化することはクラブの方針とは異なる。

お気に入りの11人にエネルギーと時間、愛情を込めるのはやめようーー。

「君たちが上手に指導できるかどうかなど問われていない」

コーチは無意識に音を立てる選手に意識が偏りがち

これを読んでハッとしました。私自身、子どもたちと向き合っているとき、11人一人ひとりと同じ量と質のコミュニケーションを取れているだろうか?と振り返ると、自信を持って取れているとは言えませんでした。

仕事でも、管理職として組織のメンバー一人ひとりと同じ量と質のコミュニケーションが取れているかと問われても、自信を持つことはできなかった。

ものすごく大切な視点で、痛い指摘でした。

コーチとして、マネジメントする立場として自分自身を振り返るきっかけとなる一節でした。

 

音を立てない子どもとどうコミュニケーションとるか

これは、多くのサッカーコーチ、マネージャーにも振り返るきっかけになるのではないかと思います。

目立たない、発言しない、主張の強い子に遠慮してしまう子、言語化が苦手な子、いますよね。コーチはどうしても主張の強い子に意識を持っていかれてしまうものだと思います。子どもたち一人ひとりと同じ量と質のコミュニケーションを取ることは簡単ではありません。一人で見る人数が多ければ多いほど難易度は上がります。決して簡単じゃない。でもとても大事なこと。彼らが何を感じ、考えているのか、それを知るためには観察し、理解するために彼らの本質を引き出していかなければなりません。チーム内のすべてのメンバーからです。簡単じゃない、でもやらなければなりません。

子どもの可能性を信じることをコーチは、マネージャーはあきらめてはいけません。

 

大事なのは選手間、メンバー間のコミュニケーション

佐伯さんの著書にこうありました。

徹底的に考察していくことで、音を立てない子たちが少しずつ見え始めた。U-13がU-14の試合直前のミーティングで意見する様子を撮影した当時のロッカールーム映像があるが、22名の選手たちは量的にバランスよく話している。みんながありのままの自分でいられるようになっていた。それより2年前は、リーダー格の3人がしゃべって終わりだった。コーチたちの問いに対し、大人たちが欲しい答えを出してくることがすごく多かったが、そこも変化を遂げていた。

すべて動画に収め、それを毎回チェックした。さんざん観つぶしてから、自分たちのアプローチ、介入の仕方、関わり方を変えた。そうやって導かれるんだと思ったとき、手応えが生まれた。

均一に声をかけることで選手全員がチームに参加する状態が生まれ、チーム全体が変わった。

選手一人ひとりに均一に声掛けをし、彼らの内側を引き出し、選手間での理解を深め、全員がありのままの自分を主張できるようになる、そしてはじめてチームが有機的に機能し始める。

やってしまいがちなのは、音を立てない子たちに対して「自分から意見出して」「自分の主張をして」って強引な声掛けをしてしまうことが多いと思います。

でもそれでその子たちの本当の声は出てこない事が多いです。言わされる、コーチの答えを探ってしまうことは本質ではありません。

コーチはどうやって子どもたちの内側を引き出すかが大切なんですよね。それこそがコーチングの本質だと思います。

コーチ、マネージャーに強烈におすすめしたい一冊↓

本音で向き合う。自分を疑って進む

本音で向き合う。自分を疑って進む

  • 作者:佐伯 夕利子
  • 出版社:竹書房
  • 発売日: 2024年04月12日頃

 

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