大人になってから学ぶサッカーの本質とは

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子供の可能性とは。大人の視点=思考が子供の可能性を広げる

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今回お伝えするのはドイツで感じた子供の可能性の感じ方と大人の視点=思考についてです。
息子のチームにどういう選手が集まっているかをキーに、またコーチの言葉の中から感じた事と合わせてお伝えしたいと思います。

1.個性だらけの息子のチーム

息子のチームはクラブのスカウトから声がかかり、その後テストトレーニングに参加して受かった子たちが入ってきます。まずスカウトの目に留まること、そしてテストトレーニングでチームのコーチとクラブの「Kader=チームの主力メンバー」を選ぶ専門のトレーナーが彼らのプレーを見てチームに入れるかどうかを決めます。

それではどういった子が選ばれるのか、どんなところが選ぶポイントになっているのか。スカウトとコーチに聞いたわけではありませんので、あくまでも今のチームに集まっている選手たちを見て私が感じたことをお伝えしたいと思います。


チームのメンバーとして選ばれた選手皆が「上手い!」わけではありません。一言でいうと、「誰一人同じ選手はいない=個性のある選手」だということ。

皆それぞれ違った強み=個性&特徴がある選手が集まっています。日本だと癖があるとも言えるぐらいの選手もいますし、性格も皆個性があって面白く、自己主張も強いです。

また、皆違う中で共通する部分として感じるのは、勝利への意欲と負けん気がものすごい強いというところと、しっかり自分の考えと意見を持って言えるところだと思います。

この様な選手たちが集まると、普段の練習からぶつかる事も喧嘩もありますが、そうやってお互いを理解し合い、チームとしてまとまっていくのだと思います。そして、ドイツに来て「サッカーが上手い」という言葉は適切ではないと思うようになりました。

それぞれ違った強みを持っている選手たちに、何を基準に「上手い」というかは難しく、「上手い」の視点は一人ひとりの見方によって変わるもの=それぞれの思考や固定観念によるものかもしれないと感じるようになりました。

 

2.子供は可能性だらけ

息子のチームのメンバーは皆特徴があるので「彼はどういう選手?」と聞かれた時に、どの選手も「ここがいいところ!すごいところ!=強み」がすぐにパッと頭に浮かびますし、反面「ここはまだまだ=伸ばせるところ」というところも合わせてすぐに浮かびます。

ドイツに来て感じたのは、日本で言う「強み」はそのまま「ストロングポイント」と言いますが、「弱み」は「ウィークポイント」とは言わず、「To doポイント」若しくは「よりよくできる部分=改善できる部分」と言います。

決してネガティブな表現はしない、つまり全て伸びしろ=可能性だと言うことだと思います。強みの部分は、本人が楽しいと感じやすくやる気もでる部分なので、より伸びやすい部分であり選手の大きな可能性だと思います。

また、足りない部分についても「よりよくできる=これからプラスになるポイント」であり同じく可能性であるということ。どれだけこの部分に目を向けられるかが、子供の可能性を広げるポイントなのではと感じています。

この可能性を見抜く大人の目が大事で、また可能性を広げるのは大人たちの声掛けと環境づくりが大切だと感じると共に、選手の人間性も重要になると思います。様々な事が重なり合い、可能性が広がる。

大人が柔軟な思考であること、固定観念にとらわれないことが大切で、またそれらは選手にも伝わります。選手自身も柔軟な思考の方が可能性はどんどん広がるように感じます。

3.教えすぎないことが可能性を広げる

特徴があり自己主張の強い選手たちは、時にチームでプレーすることの重要性の認識が欠けることがあります。ドイツで選手たちのプレーを見ていると、自分のやりたい気持ちとチームとしてプレーする事を重視する気持ちのバランスがチームでサッカーをする上で重要なポイントになると感じるようになりました。

どちらもとても大事ですが、その時々でゴールという目標を達成するために適切な選択をできるかがキーになると感じます。育成年代ではまだまだこのバランスが悪く、自分の気持が優先される事が多いためチームとして噛み合わないことが多いです。

傍から見ているとイライラする事もありますし、この部分に関しては日本人の方が自分の気持ち以外の選択肢と判断が子供の頃からあると感じています。そこで、コーチに聞いたことがあります。

 

「中学生年代になったにも関わらず、自分一人で行き過ぎてボールを取られたりラインアウトする選手がまだまだ多いと感じます。自分が無理だと思ってから他の選択肢=パスを考える事が多い気がします。チームとしてプレーすることを考えた、適切な早い判断がそろそろ頻繁にあってもいいと思うのですが。」と。

 

するとコーチに言われたのが、

 

「言っていることはとても良くわかります。私たちから「ここでパスを出したほうがいい」「こうやった方がいい」と選手に教えるのは簡単ですが、でもそれでは意味がないんです。どうして上手くいかなかったのかを選手が自分自身で考え、自分で気づいて自分で答えを出していかなければいけない。

サッカーをする上での沢山の気づきを私たちがトレーニングの中でまたその他色々な場面で与えながら、彼らが発展するように導いていきたいと思っています。それは教えるより時間がかかりますが、チャレンジする気持ちとモチベーションがあるポジティブな環境の中で自分で考えて気づくことが重要で、そこから可能性が広がるんです。

あなたの息子さんは既に他の選手よりパス等の他の選択肢を持ちながら判断ができるという部分については優れていて、それは彼の強みの一つなので更に伸ばしていって欲しいです。でも他の選手は彼にない強みを持っているんです。

私たちは皆同じような選手になって欲しくないんです。それぞれがそれぞれの強みを生かして、また自分に足りない部分・必要な部分に気づきそこも伸ばしつつ、そしてお互いを理解する能力を備えて、チームでサッカーをプレーしていほしい。」と。


私たちからするとパスを出したほうがいいタイミングでパスを出さずに行ってしまう選手は、パスを出すようになって欲しいと思ってしまいますが、これは日本人の気質から強く感じてしまう部分でもあると感じたと共に、一つの考え方にすぎないのではとコーチと話して感じました。

また、もしそういった選手がボールを取られる失敗から自分で学ぶ事で、私たちの想像以上に自分で抜く術を身につける=無理だと思うことを可能にするかもしれない、そうなれば可能性が更に広がるということ。

また、いつも自ら仕掛ける選手が適切な判断ができ、パスを出すことを身につけたらそれがまた強みになる。教えてもらうのではなく、自分で仕掛ける時とパスを出す時のベストな判断ができるようになるまで失敗を繰り返しながら自分で学ぶ事で、学んだことが他にはない自分だけのものになる。

つまり「ここでパスを出せ」と簡単に教えてしまったら、様々な可能性を奪うかもしれないということだと感じました。自分で考えてどのように自分自身を伸ばしていくかは本人の能力であり、教えすぎず気づきを与えてサポートすることで様々なものが生まれ、大人の想像も超える可能性が出てくるということ。そして、似たような選手でも違うものが出てくるということなのだと思いました。それをサポートするのが大人の力なのだと感じるのです。

4.日本は固定観念が強いのかもしれない

ドイツに来てコーチの声掛けや指導の仕方をみて改めて日本を見ていると、日本は「こういうプレーがいいプレー」「こういうサッカーがいいサッカーだ」という固定観念が強いようにと感じます。これはサッカー以外の部分でもそうだと思うのです。

「こうした方が将来のためにいい、役に立つ」「自分の経験上、こうした方がいい」等、「こうすべきである」という考え方が強い気がします。

この大人の固定観念こそが子どもたちの可能性を摘んでしまう要因なのかもしれません。経験や今までの形にとらわれず、大人の思考を柔軟にしていくことが子供の可能性を広げる事に繋がる。

そのためには私たち大人自身が様々な他の事にも目を向けて、沢山の違う意見を聞き、沢山の違いを目にして違いを理解し、楽しんでいく事が大切なのではないでしょうか。

 

ライタープロフィール

2015年~ドイツで家族四人で暮らしています。ドイツでの生活・子育てそしてサッカー環境を通して見える日本との違いから、日本の魅力や足りない部分を再認識できると共に、新たな発見もあります。他との違いの認識と分析が客観的思考と多様性の認識につながるように、サッカー環境、文化の違いを書いていきたいと思います。

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