大人になってから学ぶサッカーの本質とは

サッカーの本質を追求するWebマガジン 考えるよりも感じることを大切に 美しさとは何かを感じる心を大切に 大切なものを失わない為に書き綴る                    ※当ブログはプロモーションが含まれています

子供のミスの捉え方は、大人そして社会のミスの捉え方

follow us in feedly

 

ドイツで感じた様々な違いを今までもお伝えしていますが、その中でも大きな違いの一つで且つ重要な事だと感じる事が
「ミスの捉え方」
です。これについて私が気づいたことを今回は掘り下げてお伝えしていきたいと思います。この違いは様々なところに影響を及ぼしていくと感じているので、ドイツでのエピソードを交えながらお伝えしていきたいと思います。

1.印象に残った試合でのエピソード

娘のチームの初めてのインドアサッカーの大会でのこと。チームメイトがオウンゴールしてしまい、負けてしまった試合がありました。試合終了のホイッスルが鳴るとその子は号泣。

するとコーチはすぐにその子のもとに向かい、声をかけてギュッと強く抱き締めました。その後、チームメイトもギュッとずっとその子を抱き締めて、泣き止むまでその子の側にいるのです。

後で娘に聞くと、みんながその子に「誰でも失敗するよ、だから大丈夫だよ」と声をかけていたそう。娘のチームは9歳10歳の女の子達のチーム。勝つことより大事なことを少女達は既に知っていると感じ、また彼女たちの温かい心に私の心も温かくなりました。


もう一つ、息子が8歳の時に同じくインドアサッカーでの大会でのこと。

息子がゴール前でシュートをブロックしようとしたところハンドをしてしまいました。

審判はPKの判定。ゴール前のハンドですから判定としては当たり前のことでしょう。

ところが試合後に息子のコーチは審判のところに抗議にいきました。

 

「この年代で、勇気を持って飛び込んだ結果の意図的でないミス=ハンドをPKにすることが、この年代の子供達がサッカーをするにあたっていい影響を与えるかどうか今一度考えてほしい。PKではなく違う判定もすることができたはずだ」と。

 

子供がプレーするのに大事なことについて考えさせられるアクションでした。

また、そういった考えをきちんと伝えることができる大人がいるということは素晴らしい事だと感じました。


この時の子供達の対応も素敵でした。

ハンドの判定を受けた時の息子は目に涙いっぱい浮かべて落ち込んでいました。

ミス=ハンドをしてまずいと思ったのでしょう。

そこでチームメイトは「大丈夫!しょうがないよ、悪いことではないよ!」と息子に声をかけたのです。

そして、キーパーの子は息子に「大丈夫、僕が止めるから」といってゴールマウスに向かいました。そして、見事にPKを止めたのです。

息子は真っ先にキーパーの子のところに行って抱きつき、親達も拍手と大きな歓声。

その時の私は、親達に「危なかったね、ごめんね。止めてくれてよかった。」と言ってしまいました。すると親達に「謝らなくていいよ。ミスは誰でもするんだから。子ども達は頑張ってるよ」と言われて大事な事に気づかされましたし、また、この時私自身が子供の事を自分のことかのように考えている=自他分離できていない事にも気が付きました。

そして何より、みんなでミスを補い合い共に戦う。ミスよりもお互いのプレーを称え合う。こういった事があるからこそスポーツは素晴らしいのだと改めて教えられた瞬間でした。
ここで分かるのが、ドイツの親達がかけてくれた言葉と上記の子供達がチームメイトにかけた言葉はリンクしているという事。ミスをどう捉えてるかは大人から伝わっていくものだと感じるのです。
 

2.ミスとは何か、ミスはいけないことなのか

そもそもミスとは何なのでしょう。ドイツで子供達がミスをした時よく耳にするのは「気にしないくていいよ。当り前よ、子供なんだから」という親達の言葉です。

そして、怒るのではなく笑っていることが多くポジティブな声をかけるのです。そういった大人達に囲まれていると子供達はミスをいけない事ととらえず、ミスを恐れずまたチャレンジしようとします。

生まれた時から子どもはできないことをできるようにしていく作業を日々繰り返しています。そうやって大きくなっていきます。ミスを繰り返してできることが増えていく、正に「失敗は成功の元」。

日本でもこの言葉はよく言われますが、実際はそのような捉え方をしていないのでは?と日本の大人達、そして社会をみていると感じる事があります。

何かできるようになるにはミス=失敗がつきもので、ミスはただ単に上手くいかなかった事象に過ぎないのです。ドイツを見ていると、上記の声かけでも分かるように子供の頃はミスを恐れず何にでもチャレンジする事を受け入れると共に、子供達の好奇心とやる気を大事にして、できないことができるようになる楽しみと経験値を増やすことが重要だと認識しているように感じるのです。


また何かをできるようになってもミスは起きます。なぜなら私たちは人間だからです。人間はミスをするという事も忘れてはいけないと思います。


3.ミスを恐れずチャレンジすることから生まれるもの

ミスに寛容であれば、子供達は沢山の事にチャンレンジしていきます。そして、周りがチャレンジの中でのミスを受け入れ笑顔で根気よくサポートしていけば沢山の事ができるようになる。

そうすると子供達には達成感と嬉しい気持ちが湧きます。つまりこれらが、好奇心とやる気を発展させていくと共に自己肯定感にもつながると感じるのです。

アインシュタインの「失敗したことのない人間というのは、挑戦をしたことのない人間である」という言葉が正にそうなのではないでしょうか。


4.ミスの意味とミスの有効活用

ドイツの親達そしてクラブの育成を通して見ていると、ミスを考えず恐れずにどんどんやらせて出来ることを増やすこと、そしてやる気とチャレンジ意欲を持って思いっきり取り組むことで子供達の楽しむ心と成長を促し、小学生ぐらいまでに怖がらない揺るがない心の土台をしっかり作る。

その揺るがないしっかりした土台がその後の可能性を広げる要因にもなると感じるのです。年齢が少し上がり中学生ぐらいになった頃からミスにも検証する事にも目を向けていく気がしています。

子供の成長はステップバイステップです。まず出来ることを増やすことで楽しみを感じながら成長を促し、ある程度出来ることが増えた後に更なる成長をするためには難易度を上げていったり、また出来ている事の質や精度を上げる事が必要だと感じています。

つまり「ミスの検証」=「改善思考」も重要になってくる。

私は、ここに真摯に取り組めるのはドイツ人より日本人の方だと感じていますし、これは日本人の強みだと思います。

日本人がミスに寛容になりミスをマイナスに捉えずチャレンジ意欲が増せば、大きな力そして発展に繋がるのではないかと思うのです。
 
ミスや失敗を恐れるとチャレンジが少なり、心の土台の部分を養う機会や考える機会も少なくなってしまうという事、つまりは成長の機会も少なくなるという事だと思います。

まずはミスの意味と本質を大人達が理解する、そうすれば子供の意識も変わると思います。

また、ミスに寛容になれば大人も子供も楽になり笑顔が増えると思いますし、子供達がどんどん成長していくのではないでしょうか。

 

ライタープロフィール

2015年~ドイツで家族四人で暮らしています。ドイツでの生活・子育てそしてサッカー環境を通して見える日本との違いから、日本の魅力や足りない部分を再認識できると共に、新たな発見もあります。他との違いの認識と分析が客観的思考と多様性の認識につながるように、サッカー環境、文化の違いを書いていきたいと思います。

 

keikun028.hatenadiary.jp