サッカー少年団やサッカースクール、サッカークラブに入っている子どもたち。
子どもたちはなんのためにサッカーをしているのでしょう?
楽しむため、プレーするためと言えるのでしょうか。
親はなんのために子どもにサッカーをさせるのか?
「サッカーが好きだからというシンプルな理由ですね」
「サッカー人気なので習わせておけば友達もできそうだし、なんかよさそうと思って」
「サッカーはチームプレーなので協調性が育まれるし友達もできやすいかなと」
「上手くなって体力をつけて健康になってほしいから」
これまで何人かの親御さんにお子さんのサッカーをさせている理由を聞いてきましたが、大体このように応えてくれます。
稀に、「こいつはサッカー選手になります。させます!」という気合の入ったパパさんに出くわしますが。
なんのために子どもにサッカーを教える?
サッカーを指導するコーチの側の思惑も書いておきたいと思います。
「サッカーの楽しさを知ってほしい、そのために上手くなってほしい。ただそれだけです!」
というコーチもいれば、
「サッカーで人間性を育んでほしい。人間成長にもってこいのスポーツなので」
「やるからにはプロを目指してもらいたい、本気でサポートします」
色んなコーチを見てきました。
「サッカーで技術力向上とチームワークを学んでほしいです」
このように健全にニーズに応えようとするクラブ。
「技術にこだわります!その上で勝負にこだわります!」
というクラブもあれば、
「ドリブル特化、技術力特化」
そういう特化型クラブ(塾、スクール)もあります。
観察してみると謳っていることと実際にやっているコーチングがミスマッチのところもありますが、最近は玉石混交でクラブの価値観も質も多様になっているので、見極めるのも大変な状況かと思います。
下記は育成年代のサッカークラブの運営について取材させていただいた時のレポートですが生々しい実態が書かれているので参考にしてみてください👇️
>>サッカー育成年代が抱えている本質的な課題はなにか?サッカークラブの経営は構造的に厳しい。
子どものサッカーは何のためにあるべきか
世界的にサッカーの育成に定評のあるスペインのビジャレアルの育成に携わる佐伯さんの講演のレポートに興味深いことが書かれていました。
一部をご紹介させてください👇️
われわれ指導者が担うべき責任は、優勝させること? いやいや、そこじゃないよね。10年後、彼らは別のクラブの所属になっているかもしれないし、あるいは実家に戻ってサッカーは趣味程度になっているかもしれない。どうなっているかわからない10年後。私たちの帰属から離れ、責任がなくなっているはずの10年後でも、彼らの姿に責任を持つ──。
「この子は才能があるから、代表に入れなければならない」とか、「前評判が圧倒的だから、このチームを優勝させなければならない」とか、そういうことではないです。われわれが責任を持つべきは、彼らの10年後の姿なんです。
ロドリとバエナを輩出したビジャレアルの育成とは? 佐伯夕利子氏による江戸川大学特別講演より<1/3> : 宇都宮徹壱ウェブマガジン
一番大切にすべきなのはサッカーというスポーツを楽しむことだと思うのです。そしてサッカーを通じてサッカー以上の大切なことを学ぶサポートを大人はしないといけません。コミュニケーション、関係性構築、感情表現…
技術や戦術というのは、サッカーの本質的にはコミュニケーション、関係性構築、感情表現と繋がっています。人間がプレーするということはそういうことだと思います。
指導者は表面的な技術だけではなく、そのような人間の理解、コミュニケーションを大切にしながらサッカーを捉えて指導する必要があるのだと思います。
育成年代の指導者はとても多くを求められます。
先回りコーチング、言うことを聞かせる指導で目先の結果は出ることがありますが、大切なものを失っている可能性があることに気がつかないといけません。
ビジャレアルの佐伯さんの話にもありますが、10年後の子どもたちの姿をイメージしながら今を大切に育むことなのだと思います。
月火水木金土日、毎日どこかで誰かに教えてもらうサッカーがあって、自分で楽しみを見つけたり、考えたりする時間がない。実は、自分で見つけ出した「楽しみ」こそが、ずっとサッカーを好きでいられて、もっとうまくなりたいと思える原動力になるはずなのに……それができていないんじゃないか、と思うのだ。 間違いなく言えるのは、サッカーを好きでいることはすごく大きな力になるということ。子どもたちと接すると、その気持ちを育めるようになるといいな、といつも思う。
小野伸二選手の著書『ギフテッド』より、「今の子供は教えられ過ぎじゃないか…」 - 大人になってから学ぶサッカーの本質とは