変革のひとつの手法を示してくれたのが恩塚ジャパンだろう。リーダーがフォロワーと対等であろうとすれば、心理的安全性が確保され選手は自由に意見する。創造性が発揮できる。
個々が尊重される組織にこそ、本当の強さが生まれるのだ。
今回ご紹介する記事は最後にこのように結ばれる。
女子バスケ日本代表をパリ五輪へ導いた恩塚ヘッドコーチのインタビュー記事です。
主体性を身につけるのは手段
「主体性を身につけるのが僕らの目的ではない。あくまでも手段なんです。何よりも目の前の試合に勝つことが一番で、そのためにどうしたらいいか? って考えた結果、やっぱり主体性とか内側から湧いてくるエネルギーが必要だよね、となった。一周回って帰ってきた感がありました」
育成年代のスポーツにおいて、主体性を育むことの重要性を私自身学んできましたが、ジュニア世代でも勝利至上主義が跋扈している状態に、強烈な抵抗があるがゆえに、勝利を犠牲にして子どもたちが自ら気づけるようになるために、じっくり待つスタンスをとることがありますが、内側から湧いてくるエネルギーを引き出すことの難しさを感じてきました。
内側から湧いてくるエネルギーを引き出すのは難しい
育成年代の指導を長年経験してきて、割とよくあるのが、試合に負けても悔しさが表出されない、点を取られてもあっけらかんとする子どもたちの姿。
サッカーを始めたばかりの子、もう長くサッカーをしているのに感情が表に出てこない子。色んな年代でいろんなシチュエーションで見てきました。
そんな時、コーチとしての腕が試されると思います。
ただ、とても難しいです。
子どもたちとの信頼関係がないと彼らの中に入っていかないんです。「ああ、コーチなんか怒ってるな」ってくらいにしか届かない。
優しく伝えてもだいたいダメ。
結局、彼らの中に眠っている感情を引き出すためには、強めの刺激を入れる必要があると経験的に感じます。
「悔しくないのか!」「負けていいサッカーなんてないぞ!」て目が覚めるように伝えてはじめて伝わる子が出てくるように思います。
熱量の調整ができないと、外からはパワハラに近いかもな、なんて捉えられてしまいます。でも、子どもたちと本気で向き合うってそういうリスクを内包しているものだと思います。
現場は綺麗事ではなにも片付かない。そういうものだと思います。
恩塚コーチのインタビュー記事を読みながらそんなことを思いました。
選手たちからは「もっと怒って」と求められているにも関わらず、スタンスを貫いて結果を出した恩塚コーチの指導はとても興味深いです。
コーチングというのは、答えがないもので、簡単ではありません。
学び続けなければいけないなと改めて。