“「育てない」から上手くいく” タイトルに惹かれて買いました。
読みはじめて1分で、引き込まれました。
教育によって人間は不自然になっていく
「世間のいう教育は既成服の教育、丈の合わないきつい服や反対に大きすぎる服、着たくない服を無理に着させようとすることに似ています。体に合わないものを無理に着るほうが不自然なこと」 pic.twitter.com/ttsB8wMo84
— Kei Imai (@Keivivito) 2021年2月3日
「既制服の教育を通じ、子どもも次第に大人の価値観を身につけ、上手に着こなす技術やコツをつかむほど、大人から評価され、社会で成功する。しかし、その裏では、人間が本来持っている素直な心や自然の感性といった大事なものを失っていくのです」 pic.twitter.com/smN2zoFBv1
— Kei Imai (@Keivivito) 2021年2月3日
私もずっと感じ続けている教育の違和感があるのですが、これはまさに共感するところで、みんな教育の過程でなんだか不自然になっていくわけですが、例えが秀逸で、この本の冒頭から桜井氏の言葉にぐいぐい惹きつけられていきました。
教育の過程で、私たちはどんどん不自然になってしまったのではないかと思うことがあります。これは人によって差があると思いますが、多くの人が、あらゆることを強制され、矯正されてきたわけです。自分の内側にある動機よりも、外的動機を押し付けられてきたという人が大半だと思います。
地獄への道は善意で敷き詰められている
"親や教師は「子どもにとって善いはず」という考えを抱きながら教育してきたはず。
— Kei Imai (@Keivivito) 2021年2月3日
「地獄への道は善意で敷き詰められている」という諺の通りのことが往々にして教育の名のもとに行われているのかもしれません…" pic.twitter.com/ZD7Pm6wbcn
サッカーの育成年代を見ている時に感じることでもあるのですが、自然体で柔らかく、野生的だった子どもたちが小学校高学年、中学生にもなると見違えるようにぎこちない動き、怪我だらけの体になってしまっていることが往々にしてあります。でも、先生やサッカーのコーチは、きっと正しいと思ってやっているんです。教育とはそういうものだと思っているはずです。日本という国は、自分たちを客観的に見る機会が少なく、変化を恐る傾向があると思います。同調圧力も強く、個性的な人を認めにくい空気感があります。島国であるというのも、要因としてはあるかもしれません。間違っていることを間違っていると声を上げると、叩かれてしまう。そんな空気があります。だからなかなか変わらないのだと思います。
でも、世の中なんてそんなもんだと桜井氏は言います。それでも分かる人だけ分かればいいと。分かる人が少しづつ増えていけばいいと。
桜井章一さんは、20年間無敗という伝説の雀士で、独自の哲学が人を惹きつけ、多数の著書を出しています。
物事の本質を見抜く感性、言葉で表現する力が優れているので、社会に対する違和感や教育に対する違和感をクリアにしてくれます。
この本は、サッカーの指導に携わる人にぜひお勧めしたい、いやサッカーに限らず、子どもの教育に携わるすべての人に読んでもらいたい一冊です。
育成年代の現場でいまだに行われる理不尽や不条理、また、学校教育も変わらないといけないことが多いと思います。構造問題も大きいと思います。でも、それを変えていくには私たち一人ひとりの意識が重要です。
おかしいと思っている人が少なかったり、違和感をそのままにしている人が多いままだと、変えるべきことは変えられません。こんな当たり前のことが変えられないというのは、見て見ぬふりをしてしまう人が、やはり少なからずいるからでもあると思います。
「育てない」から上手くいく。
私たちは既存の教育に囚われすぎているのかもしれません。
ぜひ、読んでみてください。
【こちらもお勧め】
- 作者:桜井 章一
- 出版社:講談社エディトリアル
- 発売日: 2014年10月03日頃