大人になってから学ぶサッカーの本質とは

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サッカーを上手くさせる前に、人の良さ(長所)を引き出す|異色の指導者、吉永一明さんの育成観

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>>異色の指導者 ユース、高校、Jを率いて極めた育成メソッド

 

日本の育成年代に長く携わった吉永一明さんの著書をご紹介させていただきます。

少年サッカー、高校サッカー、Jアカデミー、Jトップチームと指導者としてほぼすべてのカテゴリーに携わって来られました。

育成からトップまで、日本サッカーをよく知る吉永さんの著書、とても感銘を受けました。

サッカーの本質を捉え、人の心を大切にされる吉永さんの人柄が伝わるとともに、改めて育成年代の重要性を確認できました。

著書の一部を引用させていただきます。

日本の教育の問題

日本の教育現場、特に部活の現場では、理不尽を耐え、乗り切ることが将来役に立つと考えられてきた歴史がある。指導者や上級生が理不尽な要求をして、それが連綿と引き継がれて来た。よく就活で体育会出身者が有利だと言われて来たのも、概して企業にそういう風潮が根強く残り、上司が上意下達のしきたりに慣れた我慢強くて使いやすい部下を好むからだった。

ーー中略ーー 

理不尽に耐える力を全否定することはできない。だがとりわけ社会に出れば、それだけでは乗り越えていけない問題に何度も直面する。本来良いものを生み出していくためには、おかしいと思うことには異論をぶつけて、議論を尽くしていく必要がある。  しかし日本の教育は、一貫して個々が意見を言い合う機会を否定して来た。伝統的に教師が「こうだよ」と言えば「ハイ!」と従う一方通行の教育が続き、それが美徳とされてきた。園児や小学生たちと向き合えば「どうして?」「なんで?」の疑問符が、洪水となって押し寄せて来る。それが本来の子供たちの自然な姿だ。ところが小学生も高学年になり、中学から高校へと進んでいくうちに、自由で闊達な物言いが減り「そんなのおかしいだろ?」と声を上げられない空気が醸造されていく。

吉永さんは、教え子が社会に出てからパワハラが原因で亡くしているそうです。その時の苦しみを語る際、上記の日本の教育問題に言及しています。

サッカーを指導するということは、仲間を大切にすること、主体的に考え行動すること、自分で決めたことをやり抜くこと、自分とは違う他者とコミュニケーションを取ること、それらの重要性を伝えることでもあります。

しかしそれらが、社会で起きているいじめ、パワハラなどを助長している日本の教育問題の大きさに押しつぶされ、サッカーで培った子どもたちが大人になっても苦しんでしまうような社会はおかしいということを訴えられています。

この重要な問題に言及している指導者が増えていくことが、結果的にサッカーが日本社会を変えていく可能性だと私は思います。

 

ビジャレアルの育成に携わった佐伯夕利子さんも、市川ガナーズの幸野健一さんもこの問題を著書で言及しています。育成年代に携わる偉大な指導者たちがこのようなサッカー以前の本質的なことを発信されるというのは素晴らしいことであると同時に、どうにか変えていきたいという気持ちも膨らみます。

keikun028.hatenadiary.jp

どんな選手が伸びているかを知り、どう伸ばすかを知る

キャリアを重ねて変化して来たこともあるが、当初から変えてはいけないと意識し続けていることもある。それはまず「人の良さ(長所)を引き出す」ことである。もちろん今出来ないことに取り組むトレーニングも大切だ。しかし選手として先に進んでいくには、良いところを消さずに武器にしていかなければならない。プロになったり、日本代表に選ばれたりする選手たちは、他の人が持っていない武器を身に着けている。そして武器を磨くためには、チャレンジをした結果のミスは認めていかなければならない。

 指導者になりたての頃から、そこに気づけたのは三菱養和時代に全日本中学選抜選手権などを視察する機会を得られたからだった。各地域の選抜チームが集結した大会だったが、やはり後から伸びてくるのは平均的に上手い選手より、あまり上手くはないけれど「ここは凄いよね」と目を引く特徴を備えた選手たちだった…

異色の指導者 ユース、高校、Jを率いて極めた育成メソッド

異色の指導者 ユース、高校、Jを率いて極めた育成メソッド

  • 作者:吉永 一明
  • 出版社:竹書房
  • 発売日: 2021年11月18日頃

 

まだまだ紹介したい箇所があるので、別の記事でも書かせていただければと思いますが、吉永さんのサッカー観、そして指導者である前に人としてのスタンスにとても感銘を受けました。

是非ともご一読いただきたい一冊です。

 

サッカーの本質を追求する旅はつづく…

 

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