少年サッカーのハーフタイムの様子をみると、そのチームの色を垣間見ることができます。
指導者の人間性や選手との関係性、選手同士の関係性……。
みなさんの周りのチームのハーフタイムを想像してみてください。監督が選手にかけている言葉や、選手の表情はどんな様子でしょうか。
ある日の息子のチームのハーフタイムの一幕です。
ピッチから引きあげてきた選手達は、コーチの顔色見ることなく、「選手だけ」で集まり、話し始めました。
「守備がうまくいかなかった。後半、守備の行き方をどうしようか」「○○がいったら他の選手はこうしよう」「この動きが良かった」
コーチは少し離れた場所からその様子をみつめ、ひととおり選手が話し終わると、選手たちに近寄り声をかけます。
「前半は相手がこうだったから、俺たちはこうなったよな」「じゃあ次はこうするのが大事だよな」
コーチはシンプルに状況を整理し、少しだけ修正を加えます。選手は頷きピッチへ戻っていきました。
もちろん、戦況や選手の状態によってはコーチが熱くメッセージを伝え、方向を示し、選手を鼓舞するときだってありますが、コーチはできるだけ"選手同士が伝え合う"ということを大切にします。
日本の少年サッカーの現場では、ハーフタイムにピッチから戻ると選手達は何も言わずとも指導者の周りに集まり、指示をあおいでいる姿が一般的な気がします。
ハーフタイムに大きな声で怒鳴られ、詰問され、俯く子どもたちを目にすることも少なくありません。そういったチームでは、コーチの怒号とともに選手のテンションは下がり、怒られないプレー、指示待ちのプレーが増えていくこともあるでしょう。
息子の所属しているチームでは、ハーフタイムに指示されているわけでもないのに、選手同士自然と集まり、自分たちでプレーを分析し、修正しようとていました。その光景に、なぜ、彼らはそんなことができるのだろう、と不思議に思いました。
思いを巡らすと、その答えは、普段のトレーニングの中にあることに気がつきます。
いつもの練習風景。プレーの合間合間に行われる選手だけのミーティング。選手同士が課題を出し合い、修正していく。コーチはそこに口を挟みません。
「答えは自分達が導き出すもの」
普段から子どもたちにそんな気持ちをもたせていることが、選手たちの主体的な行動を引き出しているのかもしれません。
当然、いつでも子どもたちに考えさせているだけ、というわけでもありません。教える時、選手に考えさせる時、選手同士伝えさせる時。バランスが絶妙です。
選手達の未来には、いつでもコーチがいて、教え続けてくれるわけではありません。
コーチは、この子達が自分で考え生きていけるように育ててくれている、ということが伝わってきます。
試合中、練習中、1プレー1プレー指示されない彼らには、いつもたくさんの選択肢があります。
仲間と共に、たくさんの選択肢の中で、自由にプレーを選び楽しんでいる子どもたちの姿を見ると、サッカーの本質に触れている気がします。
ライタープロフィール
サッカー少年の子どもを持つ母
子どもたちをもっと笑顔にするためには大人が変わらないといけない…
本には大人が変わるヒントがたくさん散りばめられています。
大人の心を育む本をご紹介していきます。