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栃木SC、柳が見せた「空中で止まるヘディング」のお手本とは

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J2リーグ、第17節。

 

水戸ホーリーホックVS栃木SCの一戦。

 

1対1の同点で迎えた後半46分、栃木はパワープレーのため空中戦に強い柳育崇を投入。

 

そして後半49分、その柳が素晴らしいヘディングゴールを決めた。

 

 

実は、筆者が通っていた高校でキャプテンを務めていたのがこの柳であった。

 

彼は

「オレはヘディングでプロになる」

と宣言し、ひたすら自主練習をしていた。

 

その姿を見ていた筆者からすれば、このゴールは彼の存在意義を示すとともに、ヘディングのお手本として参考にするべきポイントが詰まったゴールでもあると感じた。

 

 

そこで今回は、このゴールを題材にヘディングについて解説したい。

巷でよく聞く「空中で止まるヘディング」の意味や有効性が伝われば幸いだ。

 

 

 

ゴールの映像

 

 

まずは映像をご覧いただきたい。

 

 

 

 

 

柳を完全にフリーにしてしまった水戸の守備も言及したいところではあるが、ここでは柳のヘディングという技術にフォーカスして解説していきたい。

 

 

 

 

ヘディングを要素で分解する

 

 

 

まずは、ヘディングという一連の動作を分解してみよう。

 

大まかに分けてみれば、

 

 

①踏み切り、ジャンプ

②空中での姿勢

③インパクトの瞬間

 

 

という三点に分けられると筆者は考えている。

 

その三点全てにおいて柳は手本とも言えるハイレベルなプレーを見せた。

 

 

 

①踏み切り

 

 

サッカーの動作において、両足ジャンプという動作は実は少ない。

 

まっすぐ上に飛ぶことが少ないこと。

直立のまま飛ぶとボディコンタクトに負けやすくなる、弱くなること。

 

これらが主な理由だ。

 

実際、このシーンも柳は右足を軸に飛んでいるのが確認できる。

 

 

更に腕を上に引き上げることで、足だけではなく体全体を使って高さを稼ごうという動作も見える。

 

軸足も腕の動きも、この画像から読み取れるだろう。

 

 

 

f:id:gosurokachi:20200907200513p:plain

 

 

 

そしてこの腕を振り上げる動作が、次の空中姿勢にも活きてくる。

 

 

 

 

②空中での姿勢

 

 

 

ここで、空中にいるときの柳の姿勢を見てみよう。

 

 

 

f:id:gosurokachi:20200907201828p:plain

 

 

振り上げた腕はそのまま相手を背負い込むような姿勢になっているため、後ろから妨害がほぼ出来ない状況になっている。

 

ここで腕を振りすぎると肘打ちのような形になりファールを取られることもあるが、基本的に腕を少し広げるのは競り合いに勝つためのセオリーの一つだ。

横から競り合いに来たとしても腕を少し広げることで、自分のエリアを確保することが出来る。

 

 

 

そしてもう一つ注目して欲しいポイント。

それが「足が曲がっていること」である。

 

この曲げが、最後のインパクトにおいて重大な意味を持つ。

 

 

 

③インパクトの瞬間

 

 

ではインパクトした瞬間の姿勢を確認しよう。

 

 

 

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先ほどまで曲がっていた足がピンと伸びている。

 

これは、足を伸ばす反動を利用してヘディングへのパワーに変換しているのだ。

 

曲げていた足を勢いよく伸ばすと、反動で頭が前に出る。

全身をしならせるイメージ、と言えば伝わるかもしれない。

 

 

この反動を利用したおかげで、GKの意表を突いたシュートは高さと飛距離を稼ぐことが出来た。

 

そしてこの一連のヘディングにおいて最も素晴らしかったのは、

 

「空中で止まっていたこと」

 

だと筆者は思う。

 

 

 

空中で止まる難しさと重要性

 

 

これはあくまで表現上の話であり、実際に止まっているわけではない。

だがどうして止まって見えるのか。

それは、ジャンプの最高点でヘディングできているからである。

 

 

柳もおそらくは物体だと思う。

物体である以上、重力を無視することは出来ないはずだ。

 

となれば、ジャンプしてから徐々に上昇は遅くなり、どこかで下降を始める。

その境目が、一瞬だけ止まる瞬間でありジャンプの最高点である。

 

 

そこでボールを捉えるためには、

 

・ボールの軌道、スピードの把握

・自分のジャンプ力の把握

・正確に動作を行える運動感覚

 

といったハードルがある。

それを乗り越えた柳のヘディングは、まさしくお手本と言って良いだろう。

 

 

 

 

最後に

 

 

 

余談ではあるが、おそらく柳はGKの動きを視界に入れ、ファーサイドを咄嗟に狙ったのではないかと推測している。

 

ヘディングの基本は下にたたきつけることだが、柳は無理矢理ファーサイドに飛ばしている。

その結果、このように体勢を崩しながらゴールを決めた。

 

 

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万全の体勢でヘディングをした直後とは思えない姿勢。

 

 

そこには何が何でも勝つという執念と、GKの動きを見極める冷静な頭が生み出したゴールの難しさが表れている。

 

 

 

 

筆者ブログの紹介 

筆者:山田有宇太 (@Grappler_yamayu) | Twitter

筆者はこのように、プレーを言語化する取り組みを現役時代から継続して行ってきた。

その一つの集大成として、中高生に向けたブログ

 

「読むサッカーの上達サイト~中学生、高校生へ向けて~」

 

reading-football.work

 

というサイトを運営している。

 

 

中高生に限らず、

 

・もっとサッカーを楽しみたい

・サッカーを深く知りたい

・選手がどんなことを考えているのか知りたい

・指導の参考にしたい

 

といった様々な方のご参考にもなればと思う。

 

 

もし興味があれば、こちらも覗いていただければ幸いだ。 

 

 

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