今日は、元陸上選手、男子400メートルハードル日本記録保持者の為末大さんの「生き抜くチカラ」をご紹介します。
この本は、子どもたちへの素敵なメッセージで溢れています。
努力は夢中に勝てない
本当に強いのは、苦しい努力を根気よく続ける人よりも、そのことがおもしろくて、つい夢中になっていたという人。「努力」は「夢中」には勝てない。成功のポイントは夢中になること⠀
成功も失敗も、自分で選んだものなら意味がある
よりよい人生を送るコツは、なんでも自分で選ぶこと。「ほかのだれかじゃなくて、自分で選んだんだ」と思うことで、成功も失敗も、意味のあるものになるんだ
「もうボールを見るのも嫌だ」
そう言って、あるチームの中学生がサッカーを辞めました。
小学生の頃から所属チームとは別のスクールにも通い、トレセンにも選ばれるほど、高い技術を持つ選手でした。
両親は彼に「自分で決めなさい」と声をかけ、彼もまた「自分がしたいことだから頑張る」と言っていました。
でも、彼はいつからか苦しそうにサッカーをするようになり、次第に笑顔を見せてくれなくなりました。
少年のお母さんは私に「一度決めたことはやり通してほしかった」と言っていました。
「好きなように決めなさい」 その言葉の裏にある大人の本心や期待を、子どもはちゃんと見抜いています。
彼には「ほんとに自分がしたいのかどうか」を考える余白がなかったのかもしれません。
無意識に大人の思いに応えようと一生懸命だったのかもしれません。
子どもたちにとって親の影響力は大きく、その思いを、自分のものとして思い込んでしまうことがあります。
「違うことをしてもいいんだよ」 「やめる選択だって正解だよ」 そう声をかけてあげれていたら、ボールを見るのも嫌になるほどサッカーを嫌いなることはなかったかもしれない。
為末さんはAERA.dotのインタビューでこう語っています。
「子どもにこういう人生を歩んでほしい」と考えていることが、実際は刷り込みにつながっていることがあります
親の教育観は自分の経験に縛られるものですが、僕の場合は、最初から最後まで自分が夢中になって陸上をやってきたことが、成功体験につながっている。 もちろん、スポーツでなくてもいいんです。子どもたちがやっていることがどんなことであれ、それが誰かに言われてやっている状況では、子どもの人生を阻害している気がするんですよね。人から言われてやっているうちは、夢中になることはできないんです。
「走る哲学者」為末大さんが息子に英才教育をしない理由「子どもの“余白”を奪ってはいけない」 (3/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)
結果がでず挫折を経験したときに為末さんを支えたのは 「陸上なんて、いつやめてもいい」 というお母さんの言葉だったそうです。
成功のポイントは夢中になること。
夢中になるには、本心で選び、自分で決めること。
子どもたちが心から笑っているか、楽しんでいるか、そばにいる大人は、きっと気がついているはずです。
為末さんの本や生き方は、親のできることは、子ども自身の選んだ道が素晴らしいものになるように願い、見守ることだけなんだということに、改めて気づかせてくれます。
プロフィール
サッカー少年の子どもを持つ母
子どもたちをもっと笑顔にするためには大人が変わらないといけない…
本には大人が変わるヒントがたくさん散りばめられています。
大人の心を育む本をご紹介していきます。
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