大人になってから学ぶサッカーの本質とは

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子どものサッカーで子どもより必死になってしまう親御さんへ

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ジュニアサッカーの現場では、子どもより熱心になってしまう親御さんしばしば目に留まります。私が子どもの頃、もう30年近く前になりますが、当時から良くも悪くも、応援隊長のような熱心な、いや熱血という表現が近いような親御さんはいました。いつの時代も熱い大人は存在するわけですが、ちょっと行き過ぎてしまうこともあります。本来、子どもの健全な成長を支援するはずの親が、悪影響を及ぼしてしまうケースがあります。今回はその背景と影響を考察し、親の関わり方について書いてみようと思います。

競争が激しいジュニアスポーツの現状

社会の変化に伴い、子どもたちの自由な遊び場が急速に失われてきています。ボール遊び禁止の公園が増加し、放課後の校庭も開放されない学校がが多くなった現代では、昔と比べて子どもたちが外遊びしにくい環境となってます。

その結果、親たちは子どもの運動不足を補うため、サッカーなどの習い事に通わせることが一般的となり、それに伴ってジュニアスポーツの競争が激化しています。

近年のサッカー人気もあり、サッカー少年団、クラブ、スクールは乱立し、そこに所属する子どもは増えました。その分競争もあります。

子どもへの期待と親自身のスポーツ経験による悪影響

子どもを取り巻く環境の変化もあり、サッカーを習い事としてやる子どもたちが増え、その結果、子どもに期待する親も増えました。

子どものサッカーに子ども以上に気合が入ってしまう親御さんは、親自身の過去のスポーツ経験が、子どもへの期待値を必要以上に高めてしまっている側面があります。

特に、体育会系の活動などで親が競技経験を持つ場合、その経験に基づいた高すぎる要求、根性論で培われてきた経験が、親の中で正当化されすぎてしまい、子どもに強いていることがあります。そうなると子どもに大きなストレスを与えている可能性があります。自身の経験を基準にした期待は、時として子どもの成長を阻害する要因となってしまいます。

「近所の公園で小学生くらいの小さい子どもに熱血パパがさ、結構な剣幕で指導してるんですよ。コーン並べてドリブルさせるんだけど、ちょっとミスすると怒鳴るし、できるまで帰さないって、あれじゃただの罰ゲームだし、サッカーやりたくなくなっちゃうよね」 同じ日に、1年ぶりくらいに会った友人と食事をしていたのですが、こんな話をされました。 「毎晩うちの隣の公園でサッカーしてる親子がいるんだけどさ、親がスパルタ過ぎて子どもが泣きながら練習してるんだよ。時に厳しさも必要なのはわかるんだけどさ、サッカーって軍隊とは違うじゃん。なんか違和感すごかったよ」

親がスパルタで子どもを鍛える光景に感じる危惧。サッカーを教育に使ってはいけない。 - 大人になってから学ぶサッカーの本質とは

子どもの能力に対する誤った評価と過度な期待

このように親自身が受けてきた経験を評価しすぎてしまうことをバラ色の回顧、過去美化バイアスと呼ばれますが、時代の変化、社会の変化、教育の変化を踏まえて、眼の前の子どもにとって今本当に必要なサポートはなにかをしっかりと捉える必要があります。

多くの親が、子どもの現在の能力を正確に把握できていないにもかかわらず、非現実的な期待を抱いてしまうのです。その結果、子どもの成長を必要以上にコントロールしようとしてしまい、子どもの自主性や創造性が損なわれてしまうことが往々にしてあります。

親の過度な介入と指導がもたらす問題

試合中の大声での指示や、練習後の必要以上な技術指導など、親の過剰な介入は深刻な問題を引き起こすことがあります。

当然、親は良かれと思って、子どもの成長のために本気で向き合っているのだと思います。

また、指導者の方針への不必要な干渉や、子どもの自主性を無視した過度な指導により、子どもたちの成長が阻害されている可能性も考慮にいれないといけません。

子どもを矯正、強制しようとする行為は不毛です。

まずは子どもに好奇心を持たせること、そして「もっと上手くなりたい」という気持ちを引き出すことが大切です。主体性がないのに強制することはただの罰ゲームです。

本当の意味で成長はできません。

チーム内での競争や比較による弊害

また、他の子どもとの不必要な比較や、チーム内での過度な競争意識の助長により、スポーツ本来の楽しさや成長の喜びが見失われてしまうこともあります。

子どもが比較するというよりも、親が勝手に〇〇君の方が~、〇〇君に負けられないよ、などと誰かとの比較を意識させることがありますが、子どもの成長速度は子どもによって異なります。

不必要に比較するのではなく、その子自身の成長を楽しむ余裕が親には必要です。

勝利至上主義的な考えが、子どもたちの純粋な楽しみを奪っている現状もあります。

試合に勝たないとと、子どもよりも大人が必死になっているチームをたくさん見てきました。子どもたちに悔しい気持ちをもたせることは大切ですが、それを上手く仕向けるのが指導者や親の役目だと思います。適度な刺激は必要ですが、強制することしか手段がないというのはあまりにも貧しいと思います。

練習や試合という機会を通じて、子どもの内なる感情を引き出すことがコーチングでもあります。

親が必死すぎることの子どもへの影響

大人の過度な期待や介入により、子どもたちは常にプレッシャーを感じながらプレーを強いられてしまう。その結果、多くの子どもたちがプレー中に必要以上にストレスを感じ、ミスを恐れるようになっていることがあります。

このような心理的な重圧は、子どもたちの自己肯定感を著しく低下させ、本来であれば協力し合えるはずのチームメイトとの関係性も悪化させている可能性があります。さらにこうした状況が継続することで、サッカーそのものに対する嫌悪感が芽生えてしまうケースも少なくありません。

「70% of kids quit sports before high school. because it isn't fun anymore.」 (子どもたちの70% が高校に上がる前にスポーツから去っていく。なぜなら、 それまでにスポーツを楽しむことができなくなってしまうからです )

「ママ、もう練習見に来ないで!」子どものサッカーとの関わり方を考えましょう  - 大人になってから学ぶサッカーの本質とは

 

サッカーを辞める子どもたちの増加とその理由

親からのプレッシャーや過度な期待により、サッカーが嫌いになって辞めてしまう子どもが増加しています。本来楽しいはずのスポーツが、義務や重荷として感じられ、続ける意欲を失ってしまうケースが後を絶たちません。

社会人サッカーで仲良くなった大学生のM君は、「小学生の頃、少年団でサッカーしてたんですが、親のプレッシャーが嫌で辞めたんです。トレセンに選ばれてからひどくなって、耐えられなくて少年団辞めて公園で友達とサッカーしてました」と。

公園でサッカーをしている時に出会った中学生は、「実はサッカークラブに入っていたんですけど、試合を毎回観に来る親の応援というかプレッシャーがすごくストレスで辞めちゃいました。親に見られるのが嫌で」

過去に指導者によるハラスメント問題を書いたことがありますが、最近では親の過度な期待がプレッシャーになってサッカーを辞めたという話をよく聞くようになりました。

ある日の練習で、コーチが放った言葉がいまでも忘れられない。 「◯◯はもう来ない。あいつは気持ちが足りなかった。そこまでの選手。上手いだけじゃ通用しない。苦しくても必死に頑張った奴だけが生き残る」

サッカーを辞めた小学生に「あいつは気持ちが足りなかった。そこまでの選手」と言ったコーチの言葉が忘れられない - 大人になってから学ぶサッカーの本質とは

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親の余裕のなさが子どもに及ぼす影響

親たち自身も、仕事や生活のストレス、教育費などの経済的負担、さらには周囲との比較による焦りなど、様々なプレッシャーにさらされています。親の精神的な余裕のなさが、子どもへの過度な期待や介入として表れ、負の連鎖を生んでいる可能性もあります。

私自身、親になってその気持が少し分かるようになりました。

サッカーコーチを経験し、育成年代の取材を何年もしていることもあり、注意しないといけないことは分かっていながらも、やはり精神的な余裕がないときは子どもに強くあたってしまうことがあります。そのような時、子どもにいい影響は与えられないなと自分の振る舞いを反省しています。

親の適切なサポートとは

理想的な親のサポートの核となるのは、何よりもまず子どもの自主性を尊重する姿勢です。親は目の前の結果だけにとらわれることなく、中長期的な視点で子どもの成長を見守ることが求められます。特に大切なのは、勝敗や技術の向上といった結果よりも、子どもが努力する過程を重視する姿勢でだと思います。

また、適切な励ましの言葉がけ、コーチングを通じて、子どもの意欲を引き出すようなサポートを心がけるとよいでしょう。

一歩引いて、どうしても熱くなってしまう自分を客観的に捉えてみましょう。

試合中は子どものためにぐっと堪え、試合が終わった後に「どうだった?どう感じた?」と聞いてみることからはじめてみましょう。

また、コーチとの建設的な連携を図りながら、子どもとの適度な距離感を保つことで、子どもが自立的に成長できる環境を整えていけるとよいと思います。

子どものやる気を引き出す7つのしつもん

子どものやる気を引き出す7つのしつもん

  • 作者:藤代圭一
  • 出版社:旬報社
  • 発売日: 2017年04月

まとめ

少年サッカーにおける親の過度な介入は、子どもたちの健全な成長を阻害する深刻な問題となり得ます。親は自身の期待や不安を子どもに投影するのではなく、子どもの成長のペースに合わせた適切なサポートを心がけるべきだと思います。

スポーツは子どもたちの人間形成において重要な機会です。勝敗や技術の向上だけでなく、スポーツを通じた子どもの成長に目を向け、長期的な視点でサポートしていくことが、現代の親たちに求められています。

簡単ではありませんが、共に学んでいきましょう!

 

サッカーママさんの書籍もとても参考になりましたのでぜひ読んでみてください↓

小中高校までの日常は、ほぼサッカー三昧の日々。家族のレジャーはテーマパークではなく、グランドでのサッカー応援でした。

 そして活躍する息子の姿を見て、もしかしたら「サッカー選手になれるかもしれない」そう夫も私も思ってしまいました。

その期待が膨らんだため、ある日、息子が「サッカーを辞めたい!」と言い出したにもかかわらず、願いを聞き入れることができませんでした。

やめさせることをせず、なかば強引に続けさせたのです。  なぜ辞めさせなかったのか?? その理由は息子のサッカー熱より、私たち親のサッカー熱が上回ってしまい、「楽しいサッカー」よりも「厳しいプロ」への道を勝手に目標にしてしまったからなのです。

 自分たちの夢を子供の夢と混同し、子供にプレッシャーを与えていたことに気がつかないでいたのです。 あやうく毒親になるところでした…

こちらのサッカーママさんの電子書籍を読んで、サッカー少年少女の親の気持ちが分かったような気がしました。

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