前回、ジュニアサッカー大学から電子書籍「指導者のための【少年サッカー・コーチングの入門書】」を下記の記事でご紹介させていただきました。
前回に続いて、書籍の中の一部を引用してご紹介させていただきます。
コーチとして指導をする前提の部分で、とても大切なことが記されていました。
「心に響くコーチング」を可能にする前提条件
指導者がどんなにコミュニケーション能力が高くても、そして子どもたちの心理を捉えて適切な声かけができる能力があっても前提条件を満たしていないと子どもたちの心に響きません。 では「心に響くコーチング」を可能にする前提条件とは何か。
いくつか例を見てみましょう。
(1)子どもたちとの信頼関係ができている
(2)指導者が子どもたちを惹きつけることができている
(3)グループの中で存在感がある これらの前提条件を満たしていないと、どんなに素晴らしいコーチングを行っても子どもたちにポジティブな変化は起きません。
極端に言うと、嫌いな人に正しいことを言われても人は行動しません。 また、いくら正しいことを言っても「理屈はわかるけど嫌だ」となってしまいます。
そもそも信頼関係の構築は、人間同士が深くわかりあうためのコミュニケーションの前提であると思います。
育成年代の指導においては尚更この部分が重要になります。
しかし、上下関係が強固で、かつ全体主義的な教育の文脈に生きてきた私たちには、信頼関係構築というプロセスが育まれてこなかったように思います。
先生、コーチ、先輩、上司は無条件に、そして絶対的に尊重されるものとして扱われてきたように思います。(ここ数年で絶対的ではなくなってきていますが)
欧米の教育は日本ほど一方的な教育ではなく、よりインタラクティブな教育であります。つまり自分の意見を持つこと、意思表示、自己表現を育みながらコミュニケーションが発展しています。
サッカーもこのようなコミュニケーション文化の上に育まれているので、コーチと子どもの関係もよりインタラクティブに、信頼構築がベースになっているように思います。
日本の教育・社会・コミュニケーションの文脈
日本の子どもたちは、上手く意思表示できない、意思を持っていない、自己表現に対して寛容ではない社会(出る杭は打たれる的な文脈)であることを前提にコーチングが必要だと感じます。
日本は欧米とは文脈が異なるわけです。だからこそサッカーを指導するときに、子どもたちをよく観察し、意思を育み、引き出し、適切なタイミングで必要以上のコーチングはしないことが重要だと思うのです。
それもコーチの言葉を受け入れるための前提、つまり信頼関係がなければ子どもたちの腑に落ちてこないということ。
信頼関係が構築されていれば、厳しいトレーニングにも食らいついてくるものです。
信頼関係ができていなければ、厳しいトレーニングはただの罰ゲームになります。
子どもとの信頼関係ができていないコーチがサッカーを嫌いにさせてしまいます。
しっかりと子どもたちと信頼関係をつくれるように、学び続けていきましょう。
<下記書籍購入者レビュー>
- 作者:高久啓吾/プロジェクトアドベンチャージャパン
- 出版社:学事出版
- 発売日: 2020年03月