ジュニアサッカー大学 というYouTubeチャンネルをご存知でしょうか。
育成年代の指導に関する大切なことが学べるチャンネルで、育成年代のサッカーに関心の高い読者の方はご存知の方も多いと思います。
そんなジュニアサッカー大学から電子書籍「指導者のための【少年サッカー・コーチングの入門書】」が出ていたので読んでみました。30分ほどで読み終えてしまえるコンパクトさなのですが、大切なことが詰まっていました。一部を引用してご紹介させていただきます。
適切なコーチングを行うためには、子どもが置かれている文脈を理解することが一番
文脈とは何かというと、子どもたちが現在どのレベルや段階にいて、どんな性格で、どのようなものを欲しているのか。 子どもたちが次のステップを踏むにはどのようなアプローチが効果的なのか。
このように子どもが置かれている状態です。 一口に子どもたちと言ってもサッカーを始めたばかりの子どももいれば、サッカー選手になりたいと日々努力している子どももいます。
サッカーに興味を持っている段階なのか、夢中になっている段階なのか。
挫折している状態か天狗になっている状態か。 その子に欠けているものは何か、その子の長所は何か。 このように一人一人置かれている状態は違います。
この文脈を抜きにして効果的なコーチングを行うことはできません。
考えてみれば当然のことですが、僕ら指導者はここを見落とすことも多々あります。
適切なタイミングで適切な言葉をかけるってとても大切なことなんですよね。
いま、その子にとって必要な言葉をコーチがかけられるかどうか。そのタイミングを見極めるにはよく観察しないといけません。
観察した上で、言葉を選び、その子に最適なコーチングをする。これが難しく、やりがいポイントでもあると思います。
そして子どもがどんな反応をするかをしっかりと見て、コーチングをしていく。子どもによって違うんです。いろんな成長段階にいて、また性格も特性も違う。だからよく観察して、反応を見ながらフレキシブルに最適解を見出していく、高度なコミュニケーション力が求められるわけです。簡単じゃないですよね。
コミュニケーション能力は観察力とアドリブ力
『指導者が発した言葉に対してどんな反応をしているのか』 子どもたちの些細な表情や行動を見逃さず、自分の言葉や表現は適切だったのかを常にフィードバックする必要があります。 僕も日々の練習や試合、そして合間に行うコミュニケーションでも常に子どもたちを細かく観察しています。
この観察力がないと、コーチングが改善されることはありません。
なぜなら相手の反応に気づかないとしたら、それは一方的なコミュニケーションになっているからです。 コーチングや声かけはコミュニケーションの一つですから、指導者にとってその能力が高いというのは必須です。
よくある「空気が読めない人」というのはコミュニケーション能力が低いのかもしれませんね。 厳しい話ですが、相手の立場になって考えたり、どうすれば喜んでもらえるのか、相手の心情を見抜く力がないと子どもたちを指導するのは難しいかもしれません。
子どもたちに対して一方的なコミュニケーションを取る指導者たくさんみてきました。
観察力、コミュニケーション力はサッカー指導者にとってサッカーの技術よりもよっぽど重要だと思います。
本書にはサッカー指導の本質の一部が記されています。ジュニアサッカークラブのコーチになりたての人、コーチをしているけれど上手くいっていないと感じる人におすすめしたい一冊です。

