大人になってから学ぶサッカーの本質とは

サッカーの本質を追求するWebマガジン 考えるよりも感じることを大切に 美しさとは何かを感じる心を大切に 大切なものを失わない為に書き綴る                    ※当ブログはプロモーションが含まれています

強豪サッカー部で受けたパワハラ。声を上げ、矢面に立って感じる更なる理不尽

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先日、こんなメッセージをいただきました。

(※掲載許可いただいています)

高校生の息子が、部活での無茶なオーバーワークによる度重なる大怪我と、監督やコーチからの継続的なパワハラ、心ない言動により、心と体を壊してしまいました。

さらに、顧問(監督)による保護者への部費の水増し請求などの不適切管理を知ることとなりました。少しでも改善できることがあればと、我が家が矢面に立ったことにより、息子は指導者陣から無視をされたり、カテゴリーを下げざるを得なくなりました。さらには、現体制のまま、特権を享受し続けたいスタメンの選手や親から疎まれ、部活動での居場所を失ってしまいました。

加えて、学校管理職は部費の不適切管理に対して、まともな調査をせず、監督へのパワハラ処罰も本人への口頭注意のみで学内に問題が起きたことさえ共有せず、隠蔽を続けています。
そうした現実が息子には受け入れがたく、”大人”への信頼を失い、心を病んでしまいました。
今は、サッカーどころか、学校にも行けなくなっています。
2種では、総体や選手権が選手達にはとても華やかに映ります。勝てば官軍、その背景に何があろうとも、勝った監督の手腕と褒め称えられ、監督の名誉欲から勝利至上主義がなくならない。

今年も選手権の報道は熱く、オーバーワークによる怪我からの復帰を美化したり、厳しい練習に耐えても出場できなかった部員が、スタンドから全力で応援する姿を美化したりする報道にまた、視聴者は感動させられることでしょう。
でも、怪我もベンチも、本来は無くなればいいことのはずです。アメリカの軍人がサプライズで家族の元へ帰る映像に涙させられるのと同じ構図です。
戦争に行く軍人、家族と離れ離れになるこども達がいないに越したことはないように。

昨今、マスコミでは体罰やパワハラはとても大きな問題として取りあげていますが、今回のことを弁護士や警察にも相談をしたところ、今後はパワハラではなく部費(PTA会費)や後援会費などの私費会計が大きな社会問題となるし、実際に相談は増えていると教えていただきました。

サッカーは金になる。

高校だけでなく、大学サッカーでも、部活動の一般社団法人化による私物化、部費とスポンサー料やコーチ費などを還流させてプール金を持つやり方、クラウドファンディングなど寄付金を募って中抜きをするフェスティバルの企画、観光業や二種免許の資格も持たないグレーでの遠征企画など…。
様々なサッカー関連品を保護者に斡旋しては、子どもの夢を叶えてあげたい必死な親が、お金に糸目をつけないのを良いことに、2種業界は玉石混淆•群蟻附羶の様相です。
ユニフォーム•水素•プロテイン•筋トレ•リハビリ用品•テーピング•サポーター…さらには応援グッズや移動用バスまで。

高校や大学には既に素晴らしいグランドがありますから、業務提携という名で高額のコーチ料を得ながら、下部組織•進学を標榜してのもぐりの小中学生対象のスクール業も横行しています。

高校サッカー(2種)は、選手も保護者も、入学まで知りようもない、各高校の顧問(監督)の人格と善意に拠るだけで、未だその中心が学校の部活なので簡単には移籍ができない。
親も、習い事としてさせてきた”サッカーにお金がかかること”に慣れてしまっている。
部活動はあくまでも課外活動であり、部費以前に学費を納めており、本来ならばその中で運営されるべきものであることを親達が理解できていないばかりか、高額の部費を払うことがステイタスのようになってしまっている。
そして、いまだに部活動は”強豪校なのだから厳しくて当然””理不尽に耐えてこそ強くなる”という風潮があり、その間違った考えを下支えするのは高校サッカーを経験してきた私達、親側だったりします。
実際、私も怪我をしていても、チームの為に、掃除でもデータ分析でも、ストレッチでもできることはあるだろうと息子を送り出してきてしまっていました。

…何も言わずに黙々と頑張っていると思っていたのに。…息子が、楽しそうにサッカーをするみんなの側で、何ヶ月も痛む体を庇いながら、監督に強いられた雑用が死ぬほど嫌だったと言って泣きました。

理不尽に気づいていても、親が監督に意見をすることは、息子の選手起用に直結する。年間にサッカーにかかる諸経費のうち、1割程度が使途不明金であっても、黙認さえしていれば、我が子が起用してもらえるかもしれない。
高校サッカーは、インターハイ後に引退をする選手も多く、実質的に公式戦へ参加できるチャンスはたったの1年程度です。
そのため、不正に気付いたとしても目先の我が子の選手起用を優先して、意見することを憚ってしまう。引退後も、次は大学の学校推薦を得るために、もう我が子には終わった話と目を瞑ってしまう。さらには、理不尽が続いたことで親も子も、心を殺し、もう受験に切り替えたといってサッカーに”無関心”になってしまう。

また、2〜3年で選手•保護者が入れ替わるので、心肺停止などの大きな事故やパワハラによる退部や退学などの情報が、共有できないという問題点もあります。こうした諸問題に対して、サッカー強豪校のほとんどである私学には、校長にのみ処罰権限が与えられ、公に管轄する部署が実質ないことも大きな問題だと思います。

JFAには通報窓口はありますが、いまだにあまりにも暴行沙汰が多く、パワハラ程度は言った言わないで監督が逃げ切るために、なかなか監督の活動停止等の処罰対象になりません。
日本では、高校サッカーを集大成とする風潮も強くありますし、他国に比べて年代が進むごとに競技人口が減っていきます。
それは、なぜなのか?
2種の有り様を考えていかなければならないと思います。

サッカーは、息子がたった17年の人生のうち、14年もの月日を賭けて全力で取り組んできたことでした。息子は、高校サッカーで理不尽に潰される為にサッカーをしてきたわけではなく、大学サッカーを夢見て、高校サッカーに憧れて、高校サッカーに飛び込んだのです。

甲子園で慶應高校が優勝する時代。今年の選手権では、選手達の自主性を重んじ、たくさんの選手を次の大学サッカーへ送り出すような、人望の厚い人格者の監督の高校が優勝してくれることを切に願います。

このメッセージを読んで、同じような思いをしている親御さん、高校生がきっとたくさんいるんだろうなと思いました。

年に数回、このような話を聞きます。伝えてくれる人はほんの一部なんです。

声を上げることのリスク、行動に起こすための多大なる労力。心身ともに疲弊することなんて簡単に想像がつきます。それでも子供のために立ち上がった素晴らしい親御さんだと思います。

それでも、声を上げること、矢面に立つことで損をしてしまうなんて理不尽すぎる構造を変えないといけないと強く思います。大人の倫理観の問題だと思います。

 

後に続く子供達、親御さんたちがいるんです。立派な行動だと思いますし、事実を発信して、少しでも健全な環境を増やしていけないだろうかと思います。

もし、同じような理不尽を受けた経験がある方がいるようでしたら、X(旧Twitter)やFacebookページからDMください。

keikun028.hatenadiary.jp

部活はそんなに悪者なのか!? 脱ブラック部活!現役教師の挑戦

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  • 作者:猿橋善宏;大利実
  • 出版社:インプレス
  • 発売日: 2020年05月22日頃