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上達の本質を学ぶ|書評:「できる人」はどこがちがうのか

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この本が書かれたのは2001年。

日韓ワールドカップより前と聞けば、どれだけ古いか伝わるかもしれない。
しかし、この本に記されているのは、紛れもなく現代でも、そしてどのフィールドでも通用する内容になっている。
私が現役時代、バイブルと位置付けていたものだ。

今回はそんな素敵な本、

「できる人」はどこがちがうのか

を紹介したい。

 

書き手:山田有宇太

 

 上達の普遍的な方法の論理を学ぶ


最初に断っておきたいのは、この本はどうすればスポーツで上達するか、というノウハウがテーマではないということだ。
この本を通して学べるのは、

「上達の秘訣の見つけ方」

という点である。
そのうえで大切な3つの能力を著者は

 

1.まねる(盗む)力
2.段取り力
3.コメント力(要約力、質問力込み)
----本文より

 

という形で提示している。
この3つの力を身に付け、自分なりの上達理論を構築していくことが、上達の秘訣へとつながる、という主旨だ。

その主張を最初に述べたあと、
・スポーツ選手
・小説家、画家
・写真家
等々、様々な一流の人々を例に、その背景にあった創意工夫を紹介している。

各エピソードは読みやすく、しかし浅く抽象的な話ではない。掘り下げられたプロフェッショナルの一端を垣間見ることができる。
一流と呼ばれる人間の執念、ストーリーを感じることができるため、肩肘張らずに読み進めていけるだろう。
その一流の実例をもとに、3つの能力がどう作用したのかが解説される。
具体的な内容はあえて触れないので、登場人物の上達する様に心を躍らせながらぜひ読み進めていただきたい。

 

秘訣を持つことの強み

「上達の秘訣」を掴むことは、サッカー人生に大きな影響を与える。
技術の向上、戦術の学習、折れないメンタルの獲得。
いずれも優れた選手になるためには欠かせないが、全く異なる能力に見える。

しかし、すべてに共通する「上達の秘訣」を持つことが出来たなら。
当然、成長スピードは圧倒的に加速していく。
同じ練習に取り組んだとき、習熟度に差が出ることはよくある話だ。

時に人はそれを「センス」の一言で片付け、終わらせてしまう。
秘訣を獲得することは、そんな暴論への反逆であり、全ての選手にとってのチャンスでもある。

練習する→成長する→もっと練習したくなる

という好循環に最も近付けるのがこの秘訣の獲得であり、更にサッカーが楽しくなる魔法とも成り得る。

そして「自分は上達できる」という自信は選手を強くする。
「絶望」と捉えがちなものを「超えるべき壁」として考えられるようになる。
自分は出来るようになる、と思えること自体が強みなのだ。
闇雲に人間は頑張れない。ゴールできるイメージが湧いたとき、そのゴールへ向けて走り出すことができる。
チャレンジに必要なのは、それを支える根拠に他ならない。

 

当然ながら上達の秘訣は、サッカーのみならずあらゆることに応用できる。
学校の勉強も仕事も、全く違う分野にも通じる部分は多分にある。
どんな領域でも通用することが、上達の秘訣の強みだ。
逆説的ではあるが、勉強を通してサッカーに役立たせることも出来るようになる。
特に学生の皆様は、文武両道を目指して是非トライしていただきたい。

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指導者の皆様へ進める理由

筆者は元プレイヤーであり、指導者の経験はない。
だが、この本はぜひ指導者の皆様にもお勧めしたい。
理由は二つ。

①自らの指導力を向上させることができる
②選手の学習スピードを加速させる事ができる

という点だ。

選手の上達を手助けし、より高みへ導いていくこと。それが指導者の大きな役割だ。
その為には、上達のプロセスを学ぶ必要がある。
学ぶことで、自分の指導が上達するだけではなく、選手の学習するスピード、吸収力を伸ばすことも可能になる。
両者が同時に成長した時、大きなステップアップが望めるようになると考えている。
指導力と吸収力は、足し算ではなく、掛け算なのだ。

なにより、かつて「センス」と一言で片付けられてしまった壁を指導者の力で乗り越えられるようになること。
これは、革命に近い進化となる。

「ほんとセンスねえなあ」と切り捨てられた私のような不幸なプレイヤーを生まないためにも、勉強の一環として読むことをお勧めしたい。
全選手に夢を与えることもまた、指導者の大切な使命なのだから。

 

 まとめ

この本に書いてあるのは、決して上達の秘訣そのものではない。
一人一人が上達の秘訣を見つけるプロセスがあり、そのバイブルとして共に歩む一冊なのである。
プレー、指導、勉強、仕事、子育て・・・
全てに共通するエッセンスを学べる本である。

その始まりとして、読みながら各エピソード毎に

①何を盗めるのか
②どんな段取りで自分に落とし込むか
③大事なことを要約すると何なのか

この三つを考えながら読むことを推奨する。
その時、あなたの上達への第一歩は踏み出されるのだ。

 

ライター

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