滋賀県の近江高校サッカー部の監督、前田高孝さんの著書に、こんなことが書かれていました。
サッカー選手は応援されたり、愛されたりするようにならないと、プロでは成功しないんじゃないかなと思います。 チームメイトや先輩、後輩から愛されたり、応援されたりするような選手じゃないとだめだと思うんです。お金をもらってサッカーをするんだから当然、サポーターにも愛されないといけません。
だけど、あのときの私のように使われないことに文句を言うような刺々しい選手は愛されませんし、そういう選手の周りには人が集まらないんです。
Jリーガーはプロのサッカー選手だし、個人としての能力や結果が自分の価値に繋がる部分はありますけど、Jリーグの中の1つのクラブに属している一員なんだから、そのコミュニティの中で人と付き合っていくことにちゃんと向き合っていかないとだめだと。
Jリーグの中には、プレーだけじゃなく人間的にも優れた選手はたくさんいますが、その人たちも、もしかすると最初は人間的に未熟なところがあったのかもしれません。私のように10代でプロの世界に入ってくる選手がたくさんいる中で、若いうちから人間的にもプロフェッショナルな選手というのはほとんどいないと思うんです。
だけど、人に好かれるというのは打算ではないと思うんです
近江高校サッカー部の監督に就任してから、ほんの数年で、無名校を滋賀県を代表するチームにまで育て上げた前田さん。
元サッカー選手で、サッカーを知っている監督、ただそれだけではない。
前田さんは人への好奇心、世界への好奇心、教育への好奇心、サッカーへの好奇心が本当に強い方だなと本書を読みながら感じました。
自分と向き合い、好奇心や違和感をそのままにせず、行動を積み重ね、多様な人生経験を積んだ前田さんだからこそ、人を育て、チームを引き上げていったのではないかと思うのです。
そんな前田さんが、上手さや強さよりも、愛される力、応援される人間になることの大切さを伝えられていることに感銘を受けました。
2021年に楽天大学学長の仲山さんとの対談記事を担当させていただいた時に、前田さんの底知れぬ魅力は感じていたのですが、本書を読ませていただいて改めて前田さんの人間力の源泉を知れたような気がします。