定期的に、中高生(たまに大学生)からメッセージをもらいます。
主に所属する部活動やクラブのことです。サッカーが上手くなる為のアドバイスを求められることが2割、残りの8割は指導者のパワハラや理不尽、意図のわからないトレーニングについてです。
今年に入ってからとりわけ多いのは、サッカーが上手くなりたくて強豪校に入ったのに、上手くなるどころか心と体が壊れそうです。どうすればよいでしょうか…という悲痛の声です。先日noteでも書きました。
とりわけ、指導者の暴力がトラウマになった話は衝撃的でした↓
私たち世代(30歳以上のスポーツマン)にとって部活動といえばこんなものでした。サッカー部に入部したら全員坊主に名前Tシャツ(ナマティ)、最初の3ヶ月はボールに触れる練習なんて週に一回しかなく、腕立て腹筋背筋50回3セットからの1時間の持久走、その後レギュラーチームの見学して片付けして帰宅。土日の部活は坂道ダッシュ100本、階段ダッシュ100本、終わってからようやく1時間くらいボール使った練習…
こんなのは普通だったんです。
1年生は約120人が入部し、3ヶ月後には20人くらいしか残りませんでした。
私は当時プロになることしか考えてなかったので、必死に食らいついて一年生でAチームに入ることができましたが(1年生でAチームに入れたのはJ下部組織出身者と私の2人だけ)、その他の1年生はさらに地獄だったと思います。
あれから20年の時を経て、今なおこのような非科学的な練習が行われているというのは明らかに間違っています。
オーバーユースによる怪我の問題、パワハラによって精神が壊れてしまう問題、指導者の暴力…、これまで散々問題にされてきたはずです。
しかしなぜ、未だに過ちが繰り返されるのか、私には理解できません。
20年の間にサッカーは進化して、より科学的なトレーニングが海外では一般的になっています。書店に行けばたくさんの指導の参考になる本があります。
指導者が学ぶことを怠り、精神論・根性論に依存したやり方を続けているから変わらないのではないでしょうか。
指導者が本屋さんあるいはAmazonで読めば学べる本がざっと紹介できるものだけでもこれだけあります↓
- 作者:ラファエル・ポル/坪井健太郎
- 出版社:カンゼン
- 発売日: 2017年06月
- 作者:山口遼
- 出版社:ソル・メディア
- 発売日: 2020年06月01日頃
- 作者:菊原志郎/仲山進也
- 出版社:徳間書店
- 発売日: 2019年11月30日頃
- 作者:幸野健一
- 出版社:徳間書店
- 発売日: 2020年07月02日頃
これまでご紹介してきた本はこちら↓
しかし、現場はなかなか変わっていきません。
なぜでしょうか。
先日、こんな記事を読みました。
「よくやり玉に挙がる勝利至上主義の体質って、どうやったらなくなるのかなって。僕がこれまで東邦でやってきて、何が何でも勝ちたいという気持ちで成長できた部分は絶対にある。でも、3年間で1度も試合に出られない選手がいたり、勉強も何もかもを犠牲にして野球だけにすべてを捧げるというのも絶対に違う。勝つことだけがすべてじゃないけど、勝利至上主義を全部否定したくはなくて……答えは出てないです」
子供たちは、選手たちは一生懸命目の前の目標を追いかけているんです。その目標にどのように向かうかは指導者次第なんです。簡単なことではないと思います。指導者は学び続ける必要があると思います。子供達一人一人と向き合う必要があります。勝利を追求すると同時に、それよりも大切にしなければならない本質を蔑ろにしてはいけません。彼らはプロではないんです。成長段階の子供であるということを忘れてはなりません。
また、こんな記事もありました。
休校中の「闇部活」コロナ禍でも強行される異様|安全より「インターハイ」を優先する大人たち
「部活禁止の通達が出ている中で、部活を普通にやっていた学校がありましたよ」
小池百合子都知事が緊急記者会見で、「感染爆発の重大局面にある」と話し、週末の不要不急の外出自粛を訴えた3月25日。関西で私立の中高一貫校に勤務する男性の話に驚かされた。
聞けば、同じ関西にある他の私立校の顧問が「うちはやってますよ」と話していたという。バスケットボールに剣道、バレーボール、ラグビーも。
「(今も)いろんなところでやってます。学校が休校になっても、1度も部活を休んでいないところもあると聞きました」
掟破りのブラック部活を学校や保護者が黙認するのは、全国大会という「熱源」があるからだ。勝ち進めば勝ち進むほど選手の高校や大学へのスポーツ推薦への道は近づくから、指導者や保護者は躍起になる。
コロナ禍での闇部活が見過ごされるのは、この構造と類似する。背景に、命の危険さえ顧みない勝利至上主義が横たわる
このようなコロナ禍の“闇部活“を断った家庭の生徒らが、顧問によって嫌がらせを受けていた。分散登校から通常登校になったばかりの6月下旬に行われた都外の遠征合宿に、闇部活を拒否した生徒を連れて行かなかった。練習中に「コロナ(休校中)でも参加した組は」「参加しなかった組は」といった言い方で、差別的な扱いをしていた。
緊急事態宣言が出る中で日本全国が自粛に耐える中、いたって「常識的な行動を取る者が悪」で、「常識に欠けるものが正義」という曲がった倫理観が、この部ではまかり通っている。
卒業生の親のひとりは、顧問について「教祖様のような扱いをされている」と話す。
「私たちも今の状況をいろいろ聞いている。自粛期間中に練習をやるなんておかしいし、来なかった子にそんな仕打ちをするなど異常だ。ただ、親御さんたちが声をあげられない事情もわかる。高校受験という進路に影響してくるし、子どもたちに手をあげることは数年前から減ったが、暴言がすごいのでみんなが先生を恐れている」
教育に携わる人たちのモラルがあまりにも低いと思います。これは育成年代に15年以上携わり、現場を見てきて感じることでもあります。
この現状を変えていくには、少しでも多くの人に問題であることを認識してほしいんです。一人ひとりの意識が変われば、目の前で起きるおかしなことに声をあげることができるはずなんです。
少しづつ変えていきましょう。
サッカーの本質を追求する旅はつづく…