あるお母さんが、自分の娘に対して、このような言葉をしょっちゅう投げかけていました。
「あんたは、私に似て可愛くないんだから何着たってダメよ」
「◯◯ちゃんはあんなに可愛いのに、あなたはなんで…」
「目立つようなことしないで、恥ずかしいから」
その女の子は、年齢を重ねるにつれてグレていきました。
自己肯定感は低く、他人を羨みながらも、自分はしょうもない人間だから、馬鹿らしく生きていくというスタンスで、いわゆる非行少女になりました。
このような現象を、これまでの人生で何例か見てきました。
特に、そのお母さんが誰かといる時に、このようなコミュニケーションをとってしまうようです。
お母さん自身も、自己肯定感が低くなってしまうような教育を受けてきたんだと思います。いつもママ友を立てて、自分達を下げる。相手をリスペクトするのに比較して下げるというのが恒例になっているようでした。
きっとそのお母さんも悪気があってやっていないんですね。無意識にそうなってしまう。これはすごく良くないことだなと思うんです。
無意識に、「あんたは何をやってもダメ」とドリームキラーになってしまうし、
無意識に、他人との比較でしか自分を見れなくなってしまいます。
自分を表現したくても、させてもらえず、自己肯定感は下がる一方で、自分自身に価値を見出せないまま大人になってしまう。
そうなると、負のループは続いてしまいます。
「コーチングの教科書」という本にこんなことが書かれていました。
日本社会には「否定」が蔓延し、ドリーム・キラーも、いたるところに潜んでいます。その中で育った若者は、自己肯定感が低い傾向にあるのも当然でしょう。事実、日本の若者は「高校生の自己評価に関する国際比較」において、「私はいまの自分に満足している」、「私は価値のある人間だと思う」、「私は努力すれば大体のことが出来ると思う」という項目で、他国に比べて、かなり低くなっています。これだけ便利で清潔で安全な国に暮らしていて、他国よりも低いのはなぜでしょう。承認される機会が、とても少ないように、私には、感じられます。一方、アメリカで暮らしていた時のことを思い出すと、承認のシャワーを浴びていたように思います。
私も、海外でいくつかの家庭にホームステイをしたことがあるのですが、彼らの教育を目の当たりにして驚いたことがたくさんありました。
一日に、何度もハグするし、子どもの小さな好奇心を見逃しません。やりたいこと、表現したいことを一生懸命応援していました。
もちろん、時には間違った表現をしようとする際には厳しく叱るシーンもありました。
自分や誰かを傷つけてしまうようなことです。
それでも、彼らは対話をとても大切にしていたように思います。
子どもを理解しようとして承認する。
これが決定的に、僕ら日本には足りていないような気がしました。
もちろん、素敵な家庭は日本にもたくさんありますが、母数としては多くないんです。
子どもたちのサッカーを見ていても、大人が子どもを称賛する声がもっと増えていかなければならないと思います。
コーチの罵声や暴言なんて、あってはならないんです。
それはコーチングではなく、子どもの自己肯定感を低下させ、指導者という立場にいながらドリームキラーの言葉になっているかもしれません。
親も一緒なんです。
家庭で、子供にどんな言葉をかけて、どのように接するか、簡単ではないですが、少しづつ子どもの心を育めるようにしていきたいと思います。自戒を込めて。
こちらの本、ジュニア世代の指導に携わる指導者、子どもを持つ親御さんにおすすめの一冊です。興味のある方はぜひ読んでください↓