芸術家の父を持つ、安西カオリさんが著書「ブルーインク・ストーリー」で描く父親の話がとても興味深く、サッカーにも通じることだなと思い、下記に引用させていただきました。
今までで一番つまらない絵を描いていたのは、高校生になってデッサンを学びはじめてから美大で勉強をしていた頃までの数年であることに気付いて愕然としたそうだ。
美術教育という概念に浸かってしまい、身体ばかりが絵の型を覚え、内面の面白さが少しも絵に出ていない。技術だけに酔っていてはどうしようもない。デッサンはある程度の訓練で上手くなるが、描く人の心が絵に表れるとは限らない。父は絵が多少下手でも、描く人の気持ちがしっかり出ている絵の方を選んだ。
テクニックよりも大切なこと
サッカーを指導するようになった頃、子どもたちは私が教えたテクニックを身につけていきました。できなかったことができるようになっていく過程をみるのは指導者としては嬉しいものですが、ある時、ふとなにか物足りなさを感じました。
教わったことができるようになるのは素晴らしいけれど、教わってないけどできるようになったことや、その子ならではのオリジナルの表現がなかなか出てこない感じがありました。
その頃から、テクニックを教えるのを辞めました。魅せるけど、細かくは教えない。そして自分たちでアレンジしてオリジナルのテクニックを求めました。
すると、好奇心旺盛な子どもたちは、自分たち独自の表現を求めるようになってきました。
そんな経験から、冒頭にご紹介した引用に共感したのだと思います。
テクニックよりも大切なことは、やはり表現者の内面だと思います。教えすぎて、その子の余白を奪ってはいけないように思います。
世界のトップサッカー選手たちの多くが、ストリートサッカーで育まれてきたわけですが、ストリートサッカーはテクニックを教わらないかわりに、好奇心や闘争心が刺激され、テクニックを自ら開発し、自分のものにしていくための内面が育まれるのではないかと。
私の育成年代の指導観はこの原体験によるところが大きいように思います。
そして、昨年出会ったエコロジカル・アプローチ。
エコロジカルアプローチ、制約主導アプローチはビジネスマネジメント、コーチングにも応用できる。組織をどのようにマネジメントしていくかという視点でもたくさんヒントが得られる。スポーツ好きなビジネスマンにもおすすめしたい👇https://t.co/2npurnyQ3z pic.twitter.com/M5vc1HpoYQ
— Kei Imai (@Keivivito) 2023年3月21日
この書籍はスポーツの育成年代に携わる方にぜひお勧めしたい一冊です。