それでも「美談」になる高校サッカーの非常識 加部究 カンゼン 2013-11-23 売り上げランキング : 36848
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サッカーコーチはもちろん、サッカーをプレーするお子さんがいる親御さんにも是非読んでいただきたい一冊です。
本書の一部を抜粋してご紹介させていただきます。
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遊んでいるような練習に変わってからサッカーが上手くなった
仙台育英学園高校の初代マネージャーとして活躍した那須川真美が教えてくれた。
「私が3年生の時に、ブラジルからムニール・カルフコーチが来ました。それまではいわゆる体育会系的なスパルタ式の練習でしたが、一気にゲームばかりで毎日遊んでいるような練習に変わりました。選手も、これでいいのか?という感じでしたが、試合で結果が出るので、だんだんと自信がついてきて、全国高校選手権でベスト8という成績に繋がりました」
依然として多くの強豪校は、徹底的な走り込みを実践している。それを勝利の方程式だと信じる指導者が、数多く存在するということだ。ところが仙台育英は、逆にそこから方向転換し、サッカーをプレーし始めることでチーム力を向上させ、結果に繋げた。
「毎日走るだけの練習で、終われば先輩にヤキを入れられる。たぶん、あのままなら僕は辞めていたと思います」
「ムニール先生の指導に替わってから、ボールのない練習は記憶にありません。典型的なラテン系で、明るく気さくな方でしたからね。いつもみんなに愛情を持って接してくれて、積極的に声をかけていたので、雰囲気も良くなり楽しくなりました。でも決して楽になったわけではない。100%集中していない時の怒り方は半端ではなかったですから」
7時間も練習が続いた頃は、誰もがいかに狡猾に手を抜くかに知恵を絞っていたという。だが自由な時間ができると、逆にグラウンドに残って自主的に課題に取り組む選手が目立つようになる。またムニールは、よくプレーを止めて問題提起をしたので、選手たちは考えてプレーするようになった。
サッカーは根性だけじゃ上手くならない
私の高校サッカー部時代も今思い返すと酷いものだった。
一年生は全員坊主、Tシャツにデッカく名前を書くいわゆる名マティの着用を義務ずけられたし、ボールを触ることは週末の練習以外では許されず、ひたすら走り込みと筋トレをさせられ、先輩に弄り倒されて1日が終わるという地獄の日々を思い出します。
当時はそれが当たり前だったんですね。
120人いた部員も2ヶ月で20人くらいになり、最後まで残ったのはもっと少なかった記憶がある。死ぬほど走らされて、筋トレして、限界まで練習して得た成果は神奈川県予選リーグ敗退、決勝トーナメントにすら行けず、ついには椎間板ヘルニアというおまけ付きだった。結局、この時のオーバートレーニングが現役生活を縮めた1番の要因だと思っている。
風間監督にはじめてサッカーの本質を学ぶ
高校を卒業し、現名古屋グランパスの風間監督率いる桐蔭横浜大学のサッカー部に入って、サッカーというものの解釈の違いに驚いたものです。
走り込み練習は必要最低限で、非常にテクニカルで頭を使うトレーニングがほとんど。
サッカーが上手くないと非常に辛い練習ではあったけれど、全員が嫌でも上手くなり、上手くなるにつれて楽しく、面白くなっていく練習だった。
私はこの経験を通じて、サッカーを指導する人間はサッカーの本質を理解していなければいけないと強く思います。
誤った指導によって、サッカーが嫌いになったり、酷い場合には心や身体が壊れてしまうのです。
サッカーの本質を理解している指導者であれば、サッカーは信じられないほど上手くなるし、楽しくなるものなのです。
いまだに跋扈する育成年代の誤った指導を変えたいと思います。
指導者の立ち振る舞いをよく見てください。
どんなコーチングをしているか、どんな練習をしているか見てください。
そして、子どもたちに聞いてください。
サッカーの本質を理解している指導者かどうか、当ブログを読んでいただいている方なら、きっとわかるはずです。
サッカーの本質を追求する旅はつづく…
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