ロシアW杯で3位という好成績を残したベルギー代表のストライカー、ロメル・ルカク。
圧倒的なフィジカル、大きい身体に似つかわしくない繊細なテクニック、野生的な見た目とは裏腹なインテリジェンス…
以前から脅威的なポテンシャルを持つストライカーと呼ばれていたけれど、このW杯でその片鱗を示した。
そんなルカクのプレーの魅力を紐解く前に、ルカクの壮絶な過去を紹介した記事を読んで欲しい。
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ロメル・ルカクの壮絶な過去 「ずっと言いたかったことがある」
フットボール界の人々はメンタルの強さについて語るのが大好物だ。
まあ、僕以上に強い奴なんていないだろうけど。
兄弟と母と暗闇の中で座りながら、祈りを捧げて、考えて、信じて、知ってしまった…なんとかしなくては。
しばらくその誓いを心の中にしまっていた。
でもある日のこと、学校から家に帰ると母が泣いていた。
だからその日、ついに母に告げたんだ。
「母さん、変えてみせる。僕はアンデルレヒトでフットボールをプレーする。すぐに叶うよ。僕たちは皆助かる。だからもう心配しないで」 6歳のときだった。
僕は父に尋ねた。
「何歳になったらプロのフットボールをプレーできるの?」 父は言った。
「16歳だよ」
僕は言った。「分かった。16歳になればいいんだね」 なんとかする。
終止符を打つんだ。
いいことを教えてあげよう。
プレーした1つ1つの試合全てが決戦だった。
公園でプレーしたときも決戦だった。
幼稚園の休み時間にプレーしたときも決戦だった。
マジで本気だった。
シュートを撃つときはいつもボールの皮を剥ぐ勢いだった。
全力だった。僕たちはR1ボタンなんて押していなかったんだ。
高精度シュートなんてなかった。
僕は最新のFIFAなんて持っていなかった。
プレイステーションなんてなかった。遊びなんかじゃなかった。
相手を殺す勢いだった。
背が伸び始めると、一部の教師や保護者がストレスになった。
初めて保護者の1人に「ボク何歳?何年生まれ?」と聞かれたのを忘れたことはない。
僕は思った。
何だって?正気か?
11 歳のときにリールセのユースチームでプレーしていると、他のチームの保護者が文字通りピッチに入るのを止めようとしてきた。
「このガキは何歳だ? 身分証明書はどこだ?どこから来た?」 僕は思った。
どこから来たかって? 何を言ってるんだ?僕はアントワープで生まれたんだ。
君たちと同じベルギーに決まってるだろ。 父さんはそこにいなかった。
アウェイの試合に駆けつけられる車がなかったからだ。
僕は完全に独りぼっちで、自分のために立ち上がらなくてはいけなかった。
鞄にあるIDを取り出して保護者全員に見せつけてやると、奴らはそれを手に取り合って食い入るように調べていたから、全身の血が逆流したのを覚えている…僕は思った。
「おい、今すぐにでもお前の息子を殺してやろうか。殺しにいくどころか、 ぶっ壊してやる。泣きながら坊やを家に避難させることになるぞ 」
ベルギー史上最高のフットボーラーになりたい。それが僕の目標だ。
良いでもない。
偉大でもない。
最高だ。
僕はそんな大きな怒りと共にプレーしていた。
引用元:【ルカクが語る壮絶な過去】「ずっと言いたかったことがある」
この記事は改めて全文読んでいただきたい。
怪物ルカクのルーツ、これまでの壮絶な経緯を知ることができる。
サッカー選手、フットボーラーに求められるマインドを知ることができる。
過去の壮絶な経験がハングリー精神を育み、圧倒的な個性を育んだのだ。
サッカー選手として成功したいという強烈な渇望の源泉は「生きるため」「家族を守るため」だ。
この強烈な想いがルカクという怪物を生み出した。
さて、ここからはルカクのプレーの魅力を紐解いていきたい。
驚異的な身体能力、強さと高さ
190cmという身長、抜群の跳躍力、相手を寄せ付けないパワー…
ルカクがゴール前にいるだけで空中戦での決定力が数倍上がる。
強烈なスピードでディフェンス網を切り裂く
大柄な体躯は一見すると重そうに見えるけれど、ルカクの足の速さは強烈だ。
高い、強い、速い。
フィジカルモンスターなのだ。
ゴール前の巧さ、決定力
身体能力だけが売りじゃない。ルカクの凄さはむしろゴール前の巧さ、決定力である。
シュートを放つ前に必ずタイミングを外すモーションを入れる。
その動作がまたダイナミックでキレがある。
この野生的な動きにディフェンス陣はなす術がない。
ボールを受けるテクニック
高い、強い、速い、だけじゃない。
ルカクはストリートで磨いた繊細なボールタッチが武器であり、密集でも巧くボールを受ける術を知っている。
このファーストタッチ、ボールを受ける瞬間に迫りくるディフェンダーをしっかり感じた上で、前を向いてコントロールし、追いすがる相手の進路にボールを持ち出しゴールに迫る非常にテクニカルなプレーだ。
ボールを運ぶ技術、ボールとともに移動する技術
サッカーが上手い選手は例外なく、ボールとともに移動する技術が高い。
ボールを運びながら相手と駆け引きし、スペースを見出せるということ。
相手のタイミングをズラし、スペースへ持ち出すことができるということ。
ルカクはサッカー選手として、全てを兼ね備えているスケールの大きな選手だ。
あのイブラヒモビッチすら凌駕する才能なのではないだろうか。
今後のルカクの活躍に注目していきたい。
サッカーの本質を追求する旅はつづく…
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