この本の著書である中野吉之伴さんはドイツサッカーの育成に長年携わり、ドイツが世界のトップに到るまでのプロセスを実際に肌で感じてこられた方である。
本書には日本サッカーの育成文化を育んでいく上でとても大切なことが書かれています。一部を引用してご紹介させていただきます。
サッカーの魅力を真正面から伝え続けていますか?
ドイツ人心理学者ヤン・マイヤーの講演で、こんな話を聞いたことがあります。「調子が良い時は放っておいてもうまくいつもの調子が悪い時にどっしりと構えた指導者がいるかどうかで、そのチームのその後は大きく変わる。「今確かに自分たちの調子が悪い。怪我にも多い。雰囲気も良くない。大丈夫だ。そのために、俺がいるんだ!」と言う姿勢を示すことができるのか。それができて初めて、選手やチームと向き合うことができる」
成長段階にある子供にとって、負ける事は大きな問題ではありません。
負けたことから何を学び、それを次にどう活かしていくかが大事なのです。
だからといって、指導者や保護者だけが「次は勝つぞ!」と熱くなるのも問題です。
例えば、試合に負けても全然悔しそうにしない子がいると、「悔しくないのか!」と怒ってしまう大人は少なくないと思います。
試合に負けても全く悔しくないのは、そもそも本気でその試合に向き合っていないからでしょう。
もしかしたら、まだそこまでサッカーにのめり込んでいないのかもしれません。
そんな子が負けて悔しがらないからといって、「なんで悔しくないんだ!」と怒るのは筋違いですし、「もっとサッカーを好きになれ!」などと強制するのはもっと意味がありません。
どうすれば子供が、もっと情熱を注いでサッカーと向き合おうとするのか。
それはサッカーの魅力を真正面からずっと伝え続けていくことだと思います。
どうやっても夢中になれないようなら、その子にはほかに合うものがあるはずです。
親がさせたいものを無理強いするのではなく、その子にとってのベストを一緒に探してあげるほうが大きな価値があるのではないでしょうか。
サッカーが上手くなるにはどうすれば良いか
サッカーを指導する大人なら誰しも、子供にサッカーが上手くなって欲しいと思うでしょう。
では、どうすればサッカーが上手くなるでしょうか。
多くの育成の現場を見ていると、サッカーがちょっと強いと言われるクラブであればあるほどサッカーを強制的にやらせているように見えます。
多くの大人が苦しくて厳しい訓練を通じて成長してきた体験があるからでしょう。
私もそうでした。
水も飲ませてもらえなずに、永遠と走らされる。相手よりも体力と根性があれば負けない。
そんなロジックで鍛えられてきた実体験があるのです。
でも、そんなやり方が正しいのでしょうか?
多くの仲間がサッカーを辞めていったのをこの目で見てきました。
そして、そんなサッカーは本当に上手いチームには通用しませんでした。
目先の小さい勝利のために、多くを犠牲にしていることがわかったのは大人になってからです。
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サッカーが上手くなるために大切なこと
私は子供の頃、サッカーが面白くてたまらないと感じました。
とても楽しい遊びだと感じさせてくれたコーチがサッカーを始めるきっかけをくれたのです。そして、誰よりも上手くなりたいと思いました。
マラドーナの「栄光の10番」を見ました。
少年時代のマラドーナのボールタッチを見ては、公園で日が暮れるまで練習しました。
そしてどんどん上手くなっていったのです。
子供の頃を振り返ってみると、大人に強制されたからサッカーが上手くなった記憶がありません。
サッカーを面白いと感じて、上手くなりたいと思って自ら練習し、上達していったのです。
サッカーを伝える上で大切なことは、サッカーへの好奇心を刺激し、子供自身が上手くなりたいと思うように仕向けることです。
サッカーの魅力を伝え続けていますか?
サッカーの本質を追求する旅はつづく…