中田英寿という天才フットボーラーがいた。
彼は常識を疑い、常に世界トップレベルを見据える稀有な存在だった。
それはどうやら少年時代から変わらなかったそうだ。
中田を指導したコーチのエピソードを紹介したい。
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山梨県南アルプス市で「フォルトゥナサッカークラブ」を主催する皆川新一が、指導者として生きていこうと決断したのも、教え子だった中田英寿に後押しされたからだった。
皆川は、山梨日日新新聞が発行した「山梨のサッカー」で綴っている。
《理念や知識、指導技術のないコーチング姿勢が、いつまでも通用するはずがないのです。そのことを教えてくれたのが、中田英寿という中学生でした》
あるとき皆川は、試合に負けた選手たちに、罰走としてダッシュ50本を命じる。
だが中田は「走る理由が分からない。オレたちだけが走らなければならないのは納得できない。皆川さんも一緒に走ってくれたらオレも走る」と反論したという。
《私が、ふざけたことを言うなと殴りつけていたら、果たして中田英寿という個性は、世界に羽ばたくことができたでしょうか。そう思うと、私は時々ぞっとすることがあるのです。》
やがて皆川は、ドイツへ渡り、指導者としての研鑽を積み、帰国後にジュニアユース以下のクラブチームを立ち上げるのだった。
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育成年代の現場ではいまだに理不尽な練習を強いるチームは多い。
サッカーリテラシーが低い指導者、旧態依然の感覚で今の子供たちに理不尽な練習を強要する指導者は多い。
100本もダッシュをさせられたり、試合に負けて罰走させられるチームはいまだに後を絶たない。
そんなことを強要する無知な指導者に対して、毅然とした態度で「意味のあるトレーニングをしてください」などと言える中田のような少年は滅多にいない。
鬼指導者に意見をすれば、どんなに恐ろしい罰が待っているかを理解しているから…
子供がこのような大人に意見を言うことは相当な勇気がいることです。
この中田少年のエピソードを話してくれた皆川さんは指導者として素晴らしいと思います。
多くの大人は天才少年のこういった勇気ある発言に対して、残酷な仕打ちをしてきたことは容易に想像がつきます。どれだけ多くの才能が潰されてきたことか…
一番に変わらねばならないのは子どもたちを育む立場にいる大人なのです。
常識に捉われない発想がベースにあること
中田英寿という人間の言葉は常に芯があり、本質的であると感じます。
世間体や常識に捉われることがない、自分の感覚を信じている人間の言葉なのです。
「右へならえ」をすれば、自分の責任はなくなるからね
ミスすることを恐れては勝利はない。それがどんなに大きなミスであってもミスしたことは後悔しない。それも自分の実力の一部であるし、勝つためには避けて通れないチャレンジだから。
サッカーしか知らない人間にはなりたくない。いつも好奇心を持っていたい。
引用元:常識に囚われない元サッカー選手の生き方 〜中田英寿〜
サッカーの本質を追求する旅はつづく…
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