元プロ野球選手で、現在は千葉ロッテマリーンズの一軍投手コーチの吉井理人さんの本をご紹介させていただきます。
タイトルの「最高のコーチは、教えない。」に惹かれて購入し読んだのわけですが、これまで読んだコーチングの本の中でもトップクラスに学びが多く、面白いです。
プロ野球の選手として活躍した吉井さんが育成年代の指導に携わって感じたこと、古き良き時代の育成文化がなぜダメなのか、どうのように変えていくべきなのかがとても分かりやすく書かれています。
野球の指導に拘る人はもちろんですが、サッカー指導者、いやスポーツ、教育に関わるすべての人におすすめしたい一冊です。
本書の一部を抜粋しました。
コーチの仕事は「教える」ことではなく、「考えさせる」こと
コーチになって感じたのは、選手の思いを引き出す難しさだ。現役の選手にそれを経験させれば、自分がどういうプレーをしたいのか、考え直すきっかけになる。しばらく続けると、選手たちの質問はまたたくまに上達した。あまりにも鋭く突っ込むので、喧嘩になりそうな場面もあった。
しかし、僕はあえて止めなかった。 先輩は、後輩に痛いところを指摘されると嫌な気分になる。そこで先輩に配慮させようとすると、成長のチャンスはついえる。腹が立っても、あえて冷静に振り返って答えてほしかった。その冷静で的確な分析と反省が、次の投球につながるからだ。
鋭い質問をするようになった投手、自らの投球を的確に分析し反省ができるようになった投手は、練習に取り組む姿勢が変わった。
スタッフとして、あるいは取材をする立場として、少年サッカー、ジュニアユース、ユース(高校サッカー)を見る機会があります。その現場では、選手を教え込む指導者がとても多いです。
きっと多くの指導者が、「教えなければならない」と思っています。
しかし、吉井さんが言うように、コーチの仕事は「教える」ことではなく、「考えさせる」ことなのです。
サッカーも野球も、バスケも、すべてのスポーツにおいて、プレーする選手たちが主体的に考えて、プレーできなければ面白くなりません。
野洲高校を日本一に導いた時の影の立役者、セゾンの岩谷さんはこう言いました。
選手たちの魅力を引き出すことや。それができる指導者が少なすぎる
教えるのではなく、考えさせるということは、つまり選手の魅力を引き出すことなのだと思いました。
サッカーの本質を追求する旅はつづく…