風間八宏氏の著書『超「個」の教科書 -風間サッカーノート』より↓
選手を見る時に、私が大切にしていることがあります。それは「欠点を見ない」ということです。
多くの人は、良いところよりも悪いところに目がいきがちです。
「技術的にはうまいけど、線が細いからつぶされる」 「高さはあるけど、足元の技術に不安がある」 「将来性はあるけど、試合経験が少ない」 ……といった具合です。
完璧な選手というのはいませんから、どんな選手にも良いところと悪いところがあります。
ーー中略ーー
だけど、悪いところばかりを見てしまうと、いつの間にか選手のプレーをちゃんと見れなくなってしまいます。
ある選手がトラップミスをしたとします。普段から悪いところばかりを見ている人は「あぁ、やっぱり」となるでしょう。だけど、トラップミスをしたのは、もしかしたら、その選手がただ止めるのではなく、良いところに止めるためにチャレンジしようとして、ミスになってしまったのかもしれない。
トラップをミスしたという結果があって、それに対してダメだというのは、誰にでもできます。でも、監督が本当に見なければいけないのは、選手たちが〝何をしようとしていたのか〟です。
もしも、監督がトラップミスをした選手に、「何をやってるんだ!」と怒ったとしましょう。その選手は積極的なチャレンジをしなくなるでしょう。選手が伸びようとしているきっかけを、監督がつぶしてしまう。それでは個が伸びていくはずはありません。
萎縮してプレーに躍動感が出て来ない
育成年代、とりわけジュニア年代~ジュニアユースの年代までは、指導者や保護者が欠点を指摘しすぎてしまう光景をよく目にします。
子供に対して厳しい指導をしすぎてしまうと、やはり大人の顔色を伺うようになります。
「今のプレーは正解だったかな」「あ~またミスしてしまった、また怒られる」
「こんな感じでプレーしていれば怒られないだろう」
こんなことを頭で考えながらプレーしても、当然躍動感のあるプレーはでてきません。
大人の都合に合わせて、コーチのお気に入りのプレーができるようにプレーするようになってしまいます。
自分を表現できるようになるには
大切なのは、欠点を指導しすぎずに、長所、得意を伸ばせるようなコーチングなんだと風間さんは言います。
日本の子供たちの多くは、家庭でも学校でもしっかりと教育されます。つまり、必要以上に制御されてしまうんです。
日本は、同調圧力の強い社会であり、出る杭は打たれてしまいがちな空気感があるため、自分を表現する機会が少なく、感情も制御されてしまうので、自分を表現する力が育まれにくいと思うんです。
だからこそ、欠点や短所の指導よりも、子供たちの長所、得意を伸ばすようなコーチングが必要で、自分自身を表現させてあげることが大事なのはないかと思います。