アーセナルSS市川の代表を務める幸野健一さんにお話を聞いてきました。
サッカーの育成年代に携わっていて、幸野健一の名前を知らない人間はいないのではないでしょうか。
Jリーガーの息子さん幸野 志有人(しゅうと)選手はV・ファーレン長崎で活躍しており、ご自身もサッカーコンサルタントとしてテレビなどメディアにも多数出演されるサッカー界に多大な影響力を持っておられる方です。
はじめてお会いしたのが今年の4月。
お話を聞かせてください!と、ご連絡させていただいたところ、有難いことに私のブログを読んでいただいていたという幸運もあって快諾していただくことができました。
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取材当日、はじめてお会いするにも関わらずアーセナルSS市川のクラブハウスへ連れて行っていただき、コーチ陣を紹介してもらい、各カテゴリーのトレーニングまで見学させていただけるという最高のおもてなしをしていただきました。
※因みにコーチ陣はスペインでの指導経験が豊富でサッカー雑誌に出るほど優秀な方々です。
グラウンドを歩きながら幸野さんは言います。
「アーセナルSS市川のテーマは “世界基準” です。」
「グラウンドも指導者も世界基準の環境を提供すること。サッカー先進国はそれが当たり前なんです。日本はそんな環境を作ることが構造上非常に難しい。待っていても変わらないなら僕が変えようと思ったんです。」
日本サッカーには多くの課題があります。
とりわけ育成年代を取り巻く環境はとても世界基準とは程遠い。
そんな中、幸野さんはアーセナルSS市川という世界基準のクラブを設立しました。
日本サッカーの育成年代に多大な影響力を持つ幸野さんに「日本サッカーと教育」というテーマでお話を伺いました。
大人が価値観を変えなければならない
そもそも長時間労働を美徳とする価値観を変える必要があるでしょう。
これはビジネスにおける生産性の話ですが、長時間練習が当たり前になっている部活動や少年サッカーチームが多い根本原因はここでしょう。
私は世界のサッカー先進国と呼ばれる国に足を運んで、どんなことをやっているか見てきましたが、どの国でもサッカーの試合時間である90分の試合を想定した練習が基本的には行われているんです。
そもそも、90分以上の練習はできちゃいけない
世界基準では練習は90分以上はやらない。
要はそれ以上できちゃいけないんです。
90分で物足りないということは、100%で練習がやれていないということ。
練習の質が悪いということです。
でも、日本の育成年代の練習はダラダラと長時間やることが当たり前になっています。
そこから変えないといけないんです。
教育が変わらないといけない
日本の教育は儒教が元になっています。
要は権力者が支配しやすい構造を確立してしまったんですね。
先生や先輩の言うことは絶対で、理不尽なイジメや体罰が横行するきっかけになってしまった。
儒教そのものが悪いと言っているのではなく、教育が変わらないといけないんです。 なぜなら人々の価値観が変わっているからです。
ビジネスの世界でも、短時間で成果を上げられなければいけなくなりました。
IT技術の発達によってコミュニケーションがよりインタラクティブなりました。 つまり、言われたことをただ完遂することが良しとされた時代は終わったんです。
学校教育もそんな時代に最適化していかなければいけません。
サッカーは生きる力を養う
自分の頭で考えて、行動していかなければ生きていけない世の中になりました。 目まぐるしく変化する時代において、何が正しいのか、どう生きていけば良いのかなんて誰にもわかりません。
誰も生き方は教えてくれないのです。
余計なことは考えずに、みんなと同じようにやっていけば良かった時代は終わったんです。
日本の学校や企業の多くは、未だにそんな古い制度の上に成り立っているけれど、もういい加減変わらないといけない。
そんな時代に、サッカーというスポーツは多くをもたらしてくれます。
サッカーは「認知」「判断」「実行」が求められます。
つまり、これからの世の中で求められている力を養うことができるのです。
まずはこの本質を理解した大人を増やしていかねばなりません。
誰よりも日本のサッカー文化を育むために考えて行動し、カタチにしてきた幸野さんの言葉はやはり強烈な説得力があります。
そして、幸野さんが多くの人を惹きつける理由がよくわかりました。
サッカー愛に溢れ、人の想いに応えようとする優しさ、いつも本質はどこにあるか考えることのできる柔らかさなんだと思いました。
サッカーの本質を追求する旅はつづく…
>>相手チームの親でさえ応援してくれるようなサッカーをしよう 〜ヴァンフォーレ八ヶ岳代表 田畑さんの心〜