この男を知っているだろうか?
アンダー世代からからポルトガル代表に選ばれ続け、幼い頃からポルトガルの名門、スポルティング・リスボンのアカデミーで育ち、17歳でトップデビュー。
その後は、バルセロナ、ポルト、インテル、チェルシー、とヨーロッパのビッグクラブでプレーした経験を持ち、現在は日本代表の長友佑都もプレーするトルコリーグ、ベシクタシュの一員としてプレーしている。
そんなエリート街道を突っ走ってきたクアレスマだが、プロデビューしてからというもの、決して順風満帆の人生を送ってきた訳ではない。
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19歳という若さでスポルティングからバルセロナに移籍するも出番がなくポルトへ移籍、そしてそのポルトでの活躍が評価されインテルへ移籍するも、守備能力の低さ、オフ・ザ・ボールの動き、球離れの悪さといった弱点を露呈し活躍できなかった。そんなクアレスマだが、持っている才能に疑いの余地はない。
相手を手玉にとる変幻自在のドリブル、アウトサイドキック、ラボーナなど芸術的なプレーで観客を魅了する。
自由奔放さが魅力
あのクリスティアーノ・ロナウドもクアレスマのスタイル、才能を認めている。
スピードと鋭い切れ味で勝負していた若い時に比べて、タイミングや相手をよく見て逆をつく駆け引きに磨きがかかり、シンプルにプレーすることも覚え仕掛けるタイミングもよく熟知している。
そして今では守備の技術も身についた。
決して運動量は多くはないが、いるべきところにしっかりいて、チームの中での自分の役割を理解しているのが、34歳という年齢で再びブレイクした要因だろう。
そんな才能に溢れる魔法使いのようなリカルド・クアレスマの凄さの秘密を紐解いていきたい。
〜精度、パワーと申し分ないアウトサイド〜
クアレスマの代名詞ともいえるこの右サイドから繰り出されるアウトサイドシュート。
常軌を逸したプレーにディフェンス陣もキーパーもなす術がない…
クアレスマゾーン
相手に寄せられても、ドリブルしながらでも正確にコントロールできるアウトサイド…
右サイド、このクアレスマゾーンにボールを運ばれたら止めようがない。
左右両足を同じレベルにすることを求める愚かな指導者を嘲笑うかのようなクアレスマの右足。
魔法。
クアレスマの右足はボールに魔法をかける。
これほどアウトサイドを巧みに使える選手がいるだろうか。
左足が苦手ならアウトサイドサイドで蹴ればいい。
アウトサイドを予想していない相手は全く対応できない。
クアレスマは固定概念に囚われないプレーイメージを持っている。
クアレスマはプレーを自分で創造してしまう。
芸術家であり魔法使いなのだ。
芸術的なラボーナ
常識的に考えれば、左足で蹴るべきところだろう。
しかし、クアレスマはより正確にボールをコントロールするためには右足がふさわしいと考える。左で蹴るよりラボーナの方が良いのだ。
長短のパスも、高低のコントロールも、強弱のコントロールもラボーナで可能だ。
不可能を可能にするラボーナ。
〜変幻自在の魔法のようなドリブル〜
クアレスマの魅力は変幻自在であることだ。
柔らかく、先が全く読めないドリブルは相手を幻惑し、観るものを魅了する。
変幻自在なリズム、相手の虚を衝く緩急…
これほど「右サイドの魔術師」と呼ぶにふさわしいフットボーラーはこの世に存在しないだろう。
クアレスマは無駄な力をが入っていない。常に自然体だ。
ボールも常に自分の真ん中におき、右にも左にも前にも後ろにも行ける状態を常に作っている。相手を誘いながらボールを持ち、逆をつく。
相手で遊んでいるようにさえ見える。
クアレスマのプレーを見ていると、サッカーは遊びなんだと再確認させられる。
遊びだからこそ不確実性の高いのもにチャレンジできる。
不確実だからこそ、チャンスがあるものへのチャレンジが求められる。
遊びだから勝ちたいんだ。
遊びだから勝たなきゃダメなんだ。
勝つためにリスクを冒すんだ。
そして、本気で遊んだ奴が勝つんだ。
そして、それは人生でも同じ事が言えるんじゃないか。
人生でもサッカーでも勝利、成功は保証されていない。
だから遊ぶんだ。
だから、チャレンジするんだ。
クアレスマのプレーは僕たちにそんなことを教えてくれている気がする。
ライタープロフィール
佐藤 靖晟 21歳
高校卒業後イタリアに渡り1シーズン半、今年からスペインに移籍してプレー。
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