サッカーコーチの悩みの1つに、全員を試合に出したいけれど、なかなかそれが難しい。というのがあると思います。
なぜなら、試合に勝たなければならないからです。
試合に勝つためには、上手な子、強い子を出さなければならないのです。
ボールをまともに蹴ることができない子、走るのが遅い子は当然のように試合を見守ることしかできません。試合に出ても勝利に貢献できないと思われているからです。
目の前の試合に勝つことはとても大切なことです。
子どもたちにとっては!
目先の勝利にこだわって、子どもの成長の機会を奪ってはいけない
大事なのは勝利にこだわるのは子どもたちであり、大人ではないということです。
しかし、少年サッカーを観ているとしばしば子どもより大人が勝利に躍起になっている光景を目にします。
目の前の勝利にこだわるあまり、子どもの成長の機会を奪っていませんか?
勝つために、大人の余計な知恵を投入しすぎて、子どもの主体的な判断を奪っていませんか?
試合に出ていない子どもたちの成長の機会を奪っていませんか?
あらゆる問いかけを、現場にいる指導者にしてみたい。
子どもの成長に必要なこと
子どもたちの成長に必要なことはなんでしょうか?
サッカーを上手くなってもらうために、まずサッカーを好きになってもらう必要があります。子どもの好奇心を刺激してますか?
強制的に教え込んで好奇心を奪っていませんか?
指導という名のいき過ぎた矯正によって子どもの柔らかさを奪っていませんか?
サッカーをプレーする機会を奪っていませんか?
子どもは試合に出なければ成長することはできません。
試合に出て信じられないほど成長した友人
私が小学生の頃の話。
サッカーが下手くそだった友人に試合に出るチャンスが巡ってきた。
当時は身体も小さくて、足も遅い、キック力もない。
とても試合に出れるような選手ではなかったのだけれど、その試合はいつものスタメンのメンバーが休みでその友人が出ることになった。
試合では当然ダメだった。友人は相手に翻弄されて試合も負けてしまった。
しかし、その試合をきっかけに彼は猛烈に練習をはじめました。
足の遅さをカバーするために、ドリブルやパスの練習に取り組み、キック力のなさは蹴り方のテクニックを磨くことでグングン成長していった。
3ヶ月後にはもうスタメンでプレーするようになっていました。
サッカーは練習よりも試合に出ることで成長します。
サッカーは心に火がついた時に成長します。
目先の勝利よりも、大切なことがあることを知ってほしいと思います。
スペインでサッカーを指導し、サッカーの本質を発信している坂本圭さんのブログの一部をご紹介させていただきたい。
サッカーは試合に出場して学ぶ in スペイン
私のチームに8歳になる大きめで少し太った、初めてサッカーをするウーゴという子供が入ってきた。明るく、勇気があって、人の気持ちがわかる素晴らしい心持ちを持った子供であったが、初めてサッカーをするので、ボールを蹴ることができない、パスできない、空振りしてこける、ドリブル突破されてこける、それでも、めげずに明るく試合に臨む子供であった。最初のうちはあまりにも他の選手とのプレーレベルで差があり、試合出場時間も、みんなより、少なかったし、先発で出場することももほとんどさせていなかった。それでも、彼は明るくて、いつも試合前にはキャプテンに立候補する子供であった。そのシーズンは毎試合キャプテンを変えていた。スペイン人は全員キャプテンをやりたがるので。
そのウーゴがキャプテンに立候補すると他の選手から「お前は先発しないんだからキャプテンにはなれないよ」とか「お前が試合に出ると負けるから出るな」みたいなことも言われていた。それでも、めげずに明るくプレーし、決定的な場面でミスを犯し、失点に絡んでいた(DFだったので)。
トレーニングでも、ボールを蹴ること自体がまだできなかった。それが半年を過ぎた頃から、ボールをまだうまく蹴ることができないのだが、ディフェンスとして、相手の選手にドリブル突破されることが少なくなってきた。というより、他の選手よりも責任感が強いので、むしろ体を張ったディフェンスで良い選手になっていたことに気づいた。その頃から、チームのみんなに認められるようになってきた。
私もウーゴにボールの蹴り方を教えることはあったが、彼は実践を通して、公式戦を通してどのようにしたら、相手を抑えられるのかを学んだと思う。その次の試合で、私はウーゴをキャプテンに指名した。ウーゴはとても喜んでいた。他の選手も喜び、みんなからよかったなと言われていた。知らないういちにチームメイトからも認められていたのだ。
サッカーの本質を追求する旅はつづく…