今回はドイツの育成年代に長年携わっている中野吉之伴さんの著書をご紹介させていただきます。
もう序章から引き込まれてしまいました。
各年代のドイツ代表監督を務めた指導者育成の第一人者、ベルント・シュトゥーバー氏のインタビューがとても興味深いものだったので、一部を引用してご紹介させていただきます。
指導者としての素質が問われる
「子どもがサッカーから離れる一番多い年齢は14~15歳。思春期もあり、他に興味が映る時期でもある。だが、指導者が早い段階で才能ある選手かどうかの線引きをしてしまうため、選手が望んでいるサポートが受けられずに『自分は大成できない』と諦めてしまう。しかし、そここそが指導者の素質が問われるところなのだ」
「育成教育を受けていない指導者は、自身の選手の頃の経験を元に教えようとします。
そういう人たちは経験がないことを自覚しないといけないんだ。指導者としての経験がね。」
日本の育成年代のサッカー大会に足を運ぶと、子どもたちに過剰な強制、矯正を強いる大人の姿を目にする。そして、その先にサッカーをするのが嫌になって辞めてしまう子どもたちが大量に生み出されている。サッカーの本当の面白さ、楽しさを知る前に辞めてしまう子どもが多い現状をどうにかしたいと思う。
ドイツでは子どもの指導よりも、大人の指導に注力したことによって今日の成功があるのだという。大事なのは子どもたちの指導者であり、大人なのだということです。
まずは大人がサッカーの本当の魅力を、本質を知らなければならないのだと思いました。
どれだけ子どもたちの指導者が重要で、大切なのか
指導者はヒントであったり、例を提示したりはできます。でも、最後に決断するのはそれぞれの子ども自身でなければならない。
指導者は刺激を与えたり、導いたり、修正したり、時に叱責することで選手に何らかの影響を及ぼすことはできる。しかし、それでどう動くのかは最終的に選手次第だ。
【参考文献:世界王者ドイツの育成メソッドに学ぶ サッカー年代別トレーニングの教科書】
指導をする上でまず大切にしなければならないことは、やはり選手たちの主体性なんだということが最後の一文でわかりました。ドイツもこの本質的な部分は前提として大事にしているということです。
日本の育成年代の指導者の多くは、強制や矯正は上手にできても、主体性を育むためのアプローチは下手なのだと思います。子どもの主体性を育むには、すぐに結果を期待することはできません。目先の結果を出すために、大人の知恵を投入してやろうと躍起になる人間ばかりでは子どもは育たないということです。
どれだけ子どもたちの指導者が重要で、大切なのかをもっとしっかりと認識しなければなりません。
学びは自分の答えを出すためのもの
この本を読みながら感じたことを呟いていました。
サッカーの指導者は学び続けなければならないが、学び過ぎてもいけないと思う。学びは自分自身の答えを出す過程で大切なことであり、学んだことをただそのまま運用し続けることはナンセンスだと思う。
— KEI 粘り勝つ2017 (@Keivivito) 2017年7月11日
スペインやドイツの育成メソッドを学ぶ勤勉な日本人はたくさにるけれども、それに捉われてしまう人があまりにも多すぎるように感じます。大事なのは本質を捉え、子どもたちの性格や特性によって最適解を見いだすことなのです。カタチに捉われてはいけません。
教えることよりも、好奇心を育むこと
大事なのは6-7歳でサッカーを始めたばかりの子の親へのアプローチ。物事がうまくいかなくても文句をいわずに見守ること。親が熱心になりすぎては彼らの成長を損ねてしまう。
— KEI 粘り勝つ2017 (@Keivivito) 2017年7月12日
サッカーを上手くさせたいなら、まずサッカーを好きにさせることなんです。
先日そんなテーマで書きましたが、大切なことだと思います。
好奇心を育むことで、教わりたい!という気持ちが出てくるものです。
サッカーの本質を追求する旅はつづく…