好きなことには、おしみない愛情をそそごう。人を信じるときは、相手に求めず、待たないようにしよう。家族やいとしい人は、愛するだけでなく、守ってあげよう。この本を、僕の家族、僕を愛するすべての人たち、明日を夢みる子どもたち、そして、ここにはいないけど、ぼくといっしょにいるアパレシドおじさんにささげます。
元ブラジル代表のロベルト・カルロス選手の生い立ちを描いたこの絵本。
サッカーを愛するすべての人に贈りたい。
誰よりも体が小さいロベルトは、小さいだけで邪魔者扱いされ、相手にされず、それでもピッチに出ると蹴飛ばされ、跳ね飛ばされていたそうだ。そんなロベルトは子供のころから働くことを余儀なくされ、それでも愛するサッカーをひたむきに続けた。そしてここに綴られる数々の物語は私の胸を打った…
許してあげよう、時間をあげよう
お父さんは、ロベルトを心配して、自分のそばでサッカーをさせることにしました。
そうすれば、蹴られたり、跳ね飛ばされることがないからです。
「みんなをゆるしてあげよう。お前を知ってもらうまで時間をあげよう。それまで、少しの間、お父さんのそばでサッカーしよう」
その日からロベルトは、休みの日だけ、お父さんとサッカーするようになりました。
信じるということ
「ロベルトを信じよう。ほかの子とちがって、たくさんの戦いに勝ってきている。すばらしいサッカー選手になるためには、サッカーがうまいだけではだめなんだ。ゆうわくや迷い、甘え…そういった、自分との戦いに勝った子だけが一流になる。ロベルトは、子供のころから多くの困難を乗り越えて、ここまで来た。一流になるための準備ができているんだ」
誰も見ていないときの人の生き方
この本の著者である中谷綾子・アレキサンダーさんのあとがきにこうあります。
ロベルトが私に伝えてくれたことは、サッカーの素晴らしさ以上に、誰も見ていない時の人の生き方です。光があれば陰があり、人知れず流した涙は、決して無駄になることはなく、必ず自分の力になること、懸命に生きた人は、きっと誰かがその生き方を見守っていてくれるということです。