ポルトガルの魔術師 〜デコ〜
彼のボールタッチ、ピッチでの独特の表現力は美しかった。
ボールに命が宿る。そんなボールタッチだった。
足首の柔らかな使い方。
ボールと身体の関係性。
一連の美しさ。
ボールに生命が宿る
そんな表現がしっくりくる。まるでボールが意思をもっているかのように動きだす。
彼のボールタッチは芸術そのものだった。
”オシャレなプレー”とはデコの為にある。
彼のピッチでの表現は私を魅了した。彼の佇まい。
ボールの触り方。ボールの持ち方。ボールの運び方。
すべてに流れがあって滞らなかった。
デコの超絶テクニックはテクニックそのものよりも頭脳の賢さにある。ドリブルする時はドリブルをし、パスをする時はパスをするという、当たり前だが難しい判断を確実にこなす戦術眼を持つ。これは多くの選手ができている様で十分にはできていない。サッカーというスポーツは選択肢が無限にあるため、正解が時としてわからなくなるものだが、デコのプレーを見ると、『ああそうすればよかったんだ。』ということに改めて気づかされる。
守備をする時も、真っ先に最も危険なスペースを消したり、場合によってはファールも厭わない等、その判断に迷いや間違いがない。味方の陣形がまずい時はわざとファールを受けて時間を稼ぐのもお手の物だ。確かにテクニックレベルも高いのだが、それだけでトップクラスには登れない。デコは考え、走り、時には体を張ってチームのためにプレーすることができるので、ワールドクラスにいるのだ。
もう一度ピッチでみたい選手。
彼のプレーをもう一度見たい。そして感じたい。
きっと新しい表現が生まれ、きっとまたサッカー少年を魅了するだろう。
サッカーの本質を追求する旅はつづく…