大人になってから学ぶサッカーの本質とは

日本にいながら外国人リーグでプレーする私の目から見るサッカーの本質とは… 元サッカー選手、元サッカーコーチ、中南米放浪サッカー経験者として好き勝手語らせて頂きやす

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【聖和の流儀】聖和サッカーの魅力は加見監督の人間力にあり

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近年、高校サッカーといえば、聖和学園のサッカーに注目していました。

2015年の野洲高校との全国高校サッカー選手権大会の一回戦は私も現地、ニッパツ三ツ沢競技場で観戦しましたが、聖和学園がテクニックに定評のある野洲高校をテクニックで凌駕するという光景を目の当たりにしました。

 

しかし、私はそのテクニックという部分に偏りすぎるスタイル、こだわりに違和感を感じて、こんな記事を書いたことがあります。

 

keikun028.hatenadiary.jp

聖和のテクニックは魅力があるけれど、何か物足りない感じを残したまま現在に至る。

そんな中、書店で見つけたのがこの本。

 

書店でちょっと「はじめに」を読んで直ぐに購入を決意しました。

加見監督の紡ぎ出す言葉に魅力を感じたのです。

本書の序文を少しだけご紹介します。

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聖和の流儀 〜加見監督の魅力〜

指導をスタートさせた時に最初に見たのは女子チームでした。Jリーグを引退したのち、大学時代を過ごした宮城県に戻り、セカンドキャリアとして教員の道を歩みました。仙台大と同じ学校法人の運営する明成高で教育実習をしたときに女子サッカー部を手伝ったことがきっかけとなり、私の指導キャリアがスタートしたのです。

当時の明成高の練習を見ると、ゴールライン上にボールを置き、ゴールネットに向かって、ただひたすらボールを蹴るだけというキック練習をしていました。シュート練習をするとなるとシュートが枠を外れた時に球拾いをするのが大変なので、ただゴールネットに向かってボールを蹴ることを繰り返していたのです。自分がこれまで経験したサッカーの練習とはあまりにかけ離れていたので非常に驚いたことを覚えています。

当時、明成高の選手たちには、私がそれまでサッカーを続ける中で当たり前のように使ってきた言葉が伝わりませんでした。例えば、サポートという言葉を使ったとすると。「先生、サポートって何ですか?サポートってどこにつけば良いのですか?」と言われるのです。サッカーを理解していない選手たちにどう伝えればいいのか、難しさを感じました。ボールを持って入れば、敵がこのようにディフェンスにやってくる、だからどうサポートをすればいいんだよーーーそんなふうに手取り足取り細かく教えてあげる必要があったのです。

目の前の光景が女子サッカーの一般のレベルなのだと感じていました。しかし、教育実習を終えた後に宮城県高校総体の試合を見に行った時のことでした。そこで衝撃を受けたのが、聖和学園女子サッカー部のプレーの数々でした。聖和学園の女子選手たちは非常にテンポ良くパスを繋いで相手を翻弄していたのです。

私が指導していた選手たちは、ボールを止めることも蹴ることも難しい状態だったのに、なぜこの子たちはこれほどまでにうまいのだろう、彼女たちはあたかも当たり前のようにパスをつなぐことをやってのけている、一体どういう練習をしているのだろうかーーー。心の奥底から湧いてくる彼女たちへの強い興味関心が、聖和学園女子サッカー部のサッカーを勉強したいと思い至った経緯であり、それが彼女たちとの最初の出会いでした。

それからは、当時の国井精一監督(2017年3月に退職し、現在女子サッカー部総監督)の下で、聖和学園女子サッカー部で5年半ほどコーチを務めました。当時の聖和学園はまだ女子校で、女子サッカー部は国井精一監督の指揮の下、全国大会でも優勝するなど全盛期を迎えていました。国井先生が信念とするサッカーのスタイルは、ショートパスを繋ぐもので、私はそこで、国井先生が良くおっしゃられる「エレガント」なサッカーを学ぶことになります。

ところが、初めて聖和学園を訪れたとき、練習環境に驚きました。その当時のグラウンドの真ん中には大きな木があり、グラウンドにはゴールが見当たらないのです。道路にボールが出ないように設置された3mほどの高さがあるネットがあるのですが、そこにビニールテープを貼ることでゴールの代わりにしていました。もう片側には花壇があるため、その前にコーンをゴール幅に置いてピッチを作り、彼女たちは練習に励んでいたのです。つまり、まるで中庭のようなサイズしかない場所で練習していたわけです。正直、全国大会で優勝争いをするほどのチームがこういう場所で練習をしているのかと驚かされました。

私がかつて赴任していた明成高ですら、砂や石や雑草は混じっていたものの、伸び伸びとサッカーができるだけの広いグラウンドはありました。これだけの環境でなぜ聖和学園は全国のトップに到達できるのだろうか。国井先生はこうおっしゃいました。

「全てが備わっているのではなく、環境が整っていなければ、むしろ工夫が生まれるのだ。」

工夫次第でいくらでもやれる。備わっていなければいないなりの工夫をしっかりとすれば、全国のトップクラスとも対等に戦えるのだと教わったのです。聖和学園の選手たちは国井先生の下で、狭い練習環境しかないという状況を逆手にとり、工夫し、何ができるかを考え抜いたのです。

そして、止める・蹴るという技術を高いレベルで身につけるようになったのです。ロングボールを蹴ってしまえば簡単にグラウンドの外にボールが出て行ってしまうような環境だったからこそ、ショートパスを繋いで崩していくスタイルが確立したのだと、実際にコーチとして彼女たちと日々を過ごす中ではっきりとわかりました。

この序文を読むだけで加見さんが魅力のある指導者であるということがわかります。

サッカーの捉え方、教育に関する考え方もとても共感する部分が多く、新たな学びも得られる良書であります。

聖和サッカーの魅力は加見監督の人間力なんだな、ということがよくわかりました。

この本は指導に携わる大人には刺さる内容ですが、私はとりわけサッカー少年少女の親御さんに是非読んでいただきたいと思いました。

サッカーの本質を学ぶ上でも参考になる一冊です。

 

サッカーの本質を追求する旅はつづく…