ボランチって、具体的にどんな役割があるの?と聞かれることがあります。現代サッカーにおいて、益々重要性が高まるボランチというポジションについて説明していきたいと思います。
【目次】
ボランチとは?ピボーテ、アンカーってなに?
ボランチは、中盤の底という言われ方をするポジションです。守備的ミッドフィルダーとも言われます。
ポルトガル語で「ハンドル」を意味し、中盤の底からチームを支える非常に重要な役割があるポジションです。
スペインではピボーテ(旋回軸、回転軸という意味)、英語ではアンカー(錨)と呼ばれます。
ボランチの役割とは
相手の攻撃の芽を摘む守備力と、試合の主導権を握るためにボールを味方に上手く配給する技術、つまりゲームメイクする能力が求められます。チャンスがあればロング、ミドルシュートでゴールを狙えるポジションでもあります。
現在の日本代表では守田 英正選手、遠藤航選手、田中碧選手などがボランチを担ったりします。
海外に目を向けると、スペイン代表のセルヒオ・ブスケツ(バルセロナ)、ブラジル代表のカゼミロ(レアル・マドリード)、クロアチア代表のモドリッチ(レアル・マドリード)、フランス代表のカンテ(チェルシー)などが有名です。
ブスケツ、ピボーテとは
— フットカンポ (@futcampo_laliga) 2022年5月19日
『人々はゴールなどの盛大なプレーを求めているが、ピボーテは簡単なポジションでは無い。チームにとって重要な目に見えない地味な仕事をしなければならなく、チームメイトが常に周りにいるのでコミュニケーション力も必要だ。ポジショニング、試合の行方を読んだりと』 pic.twitter.com/DAUoNlwWac
ボランチのタイプ・選手の特徴
いいボランチとはなにか?と問われると大きくは2つの要素があると言えます。
・良いポジショニングがとれること
・常にボールを受けられる立ち位置、ポジショニング
・相手の攻撃の目を摘む守備、そのためのポジショニング
・良いタイミングでパスを出せること
・攻撃のスイッチを入れるパス、そのタイミング
・味方の動き出しのタイミングを逃さないパス
上記の要素は前提として求められるとして、ボランチと言っても、様々なタイプの選手がいます。
チームによって求められるプレーは多少異なるのですが、基本的にこのポジションの選手は、前にも後ろにも敵と味方がいる状況で、かつ的確な判断の早さが求められます。カオスな状況でも瞬時に把握して、的確にボールコントロールしなければなりません。
プレースタイルに特徴のあるボランチタイプに分けて紹介していきます。
世界最高レベルのボランチ選手をタイプ別に紹介
天才・センス・ファンタジスタタイプ
セルヒオ・ブスケツ
名前 | セルヒオ・ブスケツ |
国・所属チーム | スペイン・バルセロナ |
身長・体重 | 189cm・76kg |
これだけ上手ければ、強さも速さもそこまで必要ない。そう思わせてくれる選手。ピッチ全体の状況を的確に把握し、抜群のタイミングでパスを供給する。
守備力も高いのですが、身体的な能力ではなく、先を読む能力と、抜群のタイミングでボールを奪う上手さが光るまさに天才の所業です。
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ルカ・モドリッチ
名前 | ルカ・モドリッチ |
国・所属チーム | クロアチア・レアル・マドリード |
身長・体重 | 174cm・65kg |
中盤であればどこでもプレーできる天才ミッドフィールダー。多くの人が世界一上手いサッカー選手というほど、攻守において最高レベルのプレーを魅せてくれます。
アウトサイドキックはまさに芸術です。
チアゴ・アルカンタラ
名前 | チアゴ・アルカンタラ |
国・所属チーム | スペイン・リヴァプール |
身長・体重 | 172cm・71kg |
モドリッチに近いレベルの選手で、攻守において圧倒的な上手さでゲームを支配していく選手。とりわけ相手を剥がすファーストタッチ、ロールターンは何度も見てしまうほど美しい。
ヨシュア・キミッヒ
名前 | ヨシュア・キミッヒ |
国・所属チーム | ドイツ・バイエルンミュンヘン |
身長・体重 | 176cm・76kg |
ドイツを代表するボランチで、類稀なテクニックで観るものを魅了する。右サイドバックからボランチのポジションでプレーすることが多くなったが、圧倒的な上手さで中盤を支配する。
身体能力・守備力が高いタイプ
ファビーニョ
名前 | ファビーニョ |
国・所属チーム | ブラジル・リヴァプール |
身長・体重 | 188cm・78kg |
相手の攻撃の目を事前に防ぐ能力に長けており、カバーリングも早く、ファビーニョがいることで中盤でのボール回収率が高くなる。長い足を活かしたタックルも脅威で、対人の強さも抜群。
エンゴロ・カンテ
名前 | エンゴロ・カンテ |
国・所属チーム | フランス・チェルシー |
身長・体重 | 168cm・70kg |
小柄でも俊敏で、身体能力が高く、とりわけボール奪取能力に秀でているタイプの選手が適応することがあります。チームのプレースタイルによって変わりますが、中盤の守備力を重視する監督は、好んでカンテのような選手をボランチに入れます。
カゼミーロ
名前 |
カゼミーロ |
国・所属チーム | ブラジル・レアル・マドリード |
身長 | 185cm・84kg |
レアル・マドリードの中盤の守備はカゼミロがいることで安定する。強靭なフィジカル、守備時の的確な判断、そしてボール奪取能力は世界屈指。
強さと、技術を併せ持つタイプ
デクラン・ライス
名前 | デクラン・ライス |
国・所属 | イングランド・ウェストハム |
身長・体重 | 185cm・80kg |
もともとセンターバックだったこともあり、守備力が高く、プレミアリーグではトップレベルのデュエル成功率を誇る。ボールを失わない技術も高く、強さと上手さを兼ね備えたボランチ。
フレンキー・デ・ヨング
名前 | フレンキー・デ・ヨング |
国・所属 | オランダ・バルセロナ |
身長・体重 | 181cm・70kg |
高さと強さ、そして技術も兼ね備えたボランチは、空中戦にも強く、セットプレーでも武器になります。しかしながら、フレンキーの強さは、大柄でありながらテクニックに秀でているところでしょう。ボールを運ぶ技術、配給する能力は世界屈指です。
ロドリ
名前 | ロドリゴ・エルナンデス |
国・所属チーム | スペイン・マンチェスターシティ |
身長 | 191cm・82kg |
大型でフィジカルも強いのですが、圧倒的な上手さ、テクニックの高さが魅力の選手。ゲームメイクの能力も高く、パスもシュートもハイレベル、相手の攻撃の目を潰すのも上手い。世界最高峰のボランチ。
日本屈指のボランチ
日本にも世界で活躍するボランチがいます。日本屈指のボランチ選手をご紹介します。
守田 英正
名前 | 守田 英正 |
所属チーム |
CDサンタクララ(ポルトガル) |
身長・体重 | 177cm・75kg |
和製チアゴアルカンタラと呼びたいほど、上手い選手。これからより高いレベルでプレーする可能性が高いと思います。世界にはレベルの高いボランチがたくさんいますが、その世界線でレベルを上げられたら、これから更に面白くなると思います。
遠藤航
名前 | 遠藤航 |
所属チーム | VfBシュツットガルト(ドイツ) |
身長・体重 | 178cm・76kg |
ドイツ、ブンデスリーガの“デュエル王”となった遠藤航選手。球際の粘り強さは世界屈指で、日本の中盤に安定感をもたらしてくれる重要な選手。彼がいることで強敵とも渡り合える。
田中 碧
名前 | 田中 碧 |
所属チーム | フォルトゥナ・デュッセルドルフ |
身長・体重 | 180cm・74kg |
ドイツで研鑽を積む若きボランチ。上手くて強い日本屈指のミッドフィールダー。的確な判断と、気持ちの入ったプレーは見ていて気持ちがいい。これからの日本代表の中盤を支えてく選手。これからの更なる活躍に期待したい。
ボランチに関する本
ボランチは奥が深く、とても面白いポジションです。より深く知りたい、学びたいと思う方にボランチに関する本をご紹介します。
ボランチの選手の本から学ぶ

- 作者:ルカ・モドリッチ/ロベルト・マッテオーニ
- 出版社:東洋館出版社
- 発売日: 2020年06月30日頃

ボランチというポジションの魅力を知ることで、サッカーがより楽しめるのではないかと思います。