サッカー選手、アスリートのキャリアというテーマが話題になることが増えてきました。アスリートのセカンドキャリア問題とも言われますが、現役引退後にどうやって生きていくかというプロのスポーツ選手なら誰しも逃れられない話だと思います。
でも、セカンドキャリアという言葉に、少し違和感を感じることがあります。
その理由は、キャリアとは今の延長にあり、既に始まっていて、これからも続いていくものだからだと思います。ゼロからキャリアがはじまるという発想に違和感を感じるのかもしれません。
私は、これまで数々のサッカー関連本を読み漁り、サッカー選手のキャリアに関する書籍も読んできました。また、指導者、コーチの方々にインタビューを重ねる中で、子どもたちのキャリア形成を見据えた指導を意識されている方の話も聴いてきました。
そして実際に、現役のサッカー選手がどのように自分のキャリアを考えているかも数人ではありますが、聴いてきました。
これらの経験を踏まえて、キャリアに悩むサッカー選手におすすめしたい本を、ご紹介させていただければと思います。
【目次】
- アスリートのためのソーシャルメディア活用術
- 敗北のスポーツ学 セカンドキャリアに苦悩するアスリートの構造的問題と解決策
- フットボーラー独学術 生きる力を自ら養う技法
- 適職の結論 あなたが気づいていない「本当の強み」がわかる
- LIFE SHIFT2: 100年時代の行動戦略
アスリートのためのソーシャルメディア活用術
この本は、マーケティングのプロと呼ばれる人たちが、アスリートが持つ価値、育むべき価値を分かりやすく解説しています。
現役でプレーしている選手だからこその競技者としての価値を理解し、社会との関わり方を学び、SNSを通じて上手くファンやサポーターとの関係性を育んでいくことができれば、競技者という側面以外の自分自身の価値に気がつくことができます。現役引退後、ゼロからなにかを始めるのではなく、自分が既に持っている価値を育んでおくことでキャリア自体の選択肢も増えると思います。
現役アスリート必読の一冊です。
◆目次
第1章 アスリートのソーシャルメディアは武器になる
第2章 アスリートがソーシャルメディアを活用する理由
第3章 事例から学ぶソーシャルメディア投稿術
第4章 SNSマーケティングのプロに聞く「アスリートはソーシャルメディアとどう向き合えばいいのか?」
第5章 炎上しないソーシャルメディア発信術
第6章 Twitter Japan スポーツ担当者に聞く「アスリートのソーシャルメディア運用とは?」

- 作者:飯高 悠太/江藤 美帆
- 出版社:マイナビ出版
- 発売日: 2019年12月26日頃
敗北のスポーツ学 セカンドキャリアに苦悩するアスリートの構造的問題と解決策
元Jリーガーで、現在はクリアソン新宿のブランド戦略に携わる井筒陸也さんの著書「敗北のスポーツ学」。
現役のサッカー選手、キャリアに悩む元サッカー選手は必読の一冊です。ここまでサッカー選手が抱えている本質的な課題を整理し言語化した本は読んだことがありませんでした。ご自身が思考し続け、葛藤し続けたからこそ生まれた非常に内容の濃い本だと感じました。
本書の一部を少しだけ紹介した記事を書きましたので、参考にしてみてください↓
幼少期のサッカーが人生、キャリアに与える影響|井筒陸也さんの著書「敗北のスポーツ学」を読んで
◆目次
第1章 Jリーガーのセカンドキャリアは不幸か?
第2章 夢/やりたいことがないとダメか?
第3章 利他的なスポーツはあり得るか?
第4章 クソ人間でも上手ければ許されるか?
第5章 グレートなチームは存在するのか?
第6章 スポーツに価値はあるか?
フットボーラー独学術 生きる力を自ら養う技法
元Jリーガー、海外を渡り歩いたサッカー選手の中でも多様なキャリアを実現している柴村選手の著書。現在は東京の社会人チームでプレーしながら、解説業のみならずライターとしても活躍するなど、人生経験も豊富であるが故に説得力もあります。
サッカー選手がキャリアを考える時に参考にすべき一冊になると思います。
◆目次(※一部抜粋)
Jリーガーになるまでの仕組み
スカウトの目に留まる方法
契約形態の仕組み
プロ契約したあとの収入
欧州クラブへの売り込み方
日本と海外の違い
求め過ぎない自己主張
理解する 見えている景色
「セカンドキャリア」とは?
「サッカー村」以外との交流
プレーの課題解決のためのインターンシップ
適職の結論 あなたが気づいていない「本当の強み」がわかる
この本は、サッカー選手、アスリートのキャリアに特化した内容ではないのですが、あえて選出しました。
私自身、プロとしてサッカーで食べていくことはできなかったわけですが、サッカー以外で社会とつながり、仕事をしていく上で何冊ものキャリアに関する本を読んできましたが、その中でもキャリアに関する問題がとてもわかりやすく整理された内容です。自分の特性を整理できないと、適職と出会うのは難しいと思います。
◆目次(※一部抜粋)
第1章 本当の強みの見つけ方──自分らしいキャリアを歩むために
適職に出会うファーストステップ
ビジネススキルは習得するな
今の自分に合った強みの見つけ方
第2章 今の会社か、転職か?──あなたの可能性を無限にする「スキルの抽象化」
第3章 絶対に後悔しない職業の選び方──キャリアパスの「方角」を定めろ
第4章 99%が気づけない転職の真実──やってはいけない転職活動
第5章 絶対に後悔しない会社選びの新ルール──イメージで入社すると損をする
第6章 これからの時代のキャリア戦略──どこでも評価される人の「勘違いさせる力」
LIFE SHIFT2: 100年時代の行動戦略
こちらもサッカー選手、アスリートに特化した内容ではないのですが、この世界に生きる一人の人間として、キャリアを考える時におすすめしたい一冊です。
自分の価値を整理すると同時に、これから世の中がどのように変化していくのかも学んでおくべきです。時代と共に価値観が変化するからです。いま、価値があるものも、数年後には価値がなくなっているかもしれません。逆にいま、価値が低いものもこれから価値が上がっていくものもあるでしょう。それはものだけではなく能力や職業、スキルも同様です。
この変わり続ける世界で、私たちはどう生きるか?
なぜ、これまでの生き方の常識が変わるのか
なぜ、誰もがライフシフターとなるのか
なぜ、社会的開拓者が必要となるのか
100年時代と向き合って生きるとはどういうことか
AI に負けない、人間らしさとは何か
大人の学びと子どもの学びは何が違うのか
政府、教育、企業が変わるべき方向とは

- 作者:アンドリュー・スコット/リンダ・グラットン
- 出版社:東洋経済新報社
- 発売日: 2021年10月29日頃
私自身、サッカー選手を諦めて、サッカー指導者の道を志したものの自分の今後の人生に迷走し、海外放浪一人旅を経て、就職し大中企業〜スタートアップと言われるベンチャー企業を渡り歩き、ライターをしたり、マーケティングの支援をしたりと、これまでの人生、常にサッカーとは繋がりながらも本業という意味では、サッカーではない部分で自分が価値を生み出せる分野を見出し、社会で生きていく足掛かりを得ていたように思います。
それでも、自分のキャリアを見直し、改めて未来をどのようにつくっていくかを考える時間は定期的にやってきます。
人生とは旅であると言いますが、サッカーもまさに旅のようなものです。
サッカーに限らず、アスリートはそれぞれの分野で旅をしていると捉えると、その旅の中で常に自分と社会との対話が必要になります。
旅をしながら、今回ご紹介した本をぜひ読んでみてください。
本は、社会を知ると同時に自分自身と向き合うきっかけをつくってくれます。
いま、このタイミングで読むべき本、それはきっと素晴らしい出会いになると思います。