大人になってから学ぶサッカーの本質とは

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「ファミリーサッカー」という遊び場づくり。子どもたちにとってサッカーも砂場遊びも同じ遊び

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ファミリーサッカーの様子

 

先日、Football Questを主催している木下さんとランチをした際にこんなお話をしました。

公園でボール遊び禁止の看板が多く、実際にボール遊びしていると中高年の方に怒られるんですよね。公園を子どもたちファーストにデザインできないか色々と模索しています、と。

すると、一宮で「ファミリーサッカー」という面白い活動をご紹介いただきました。

 

 

<サッカーをスクール(教わる)から始めるのではなく、遊びから始めてほしい!>

めちゃくちゃよくないですか?

 

主催されているようたコーチをご紹介いただき、Zoomにてお話を伺う機会をいただきました。

 

<ようたコーチの略歴>

2014-2015 栃木SC
・トップチーム マネージャー
2015-2017 前橋FC/特別支援学校 教諭
・U14/アシスタントコーチ
2017-2018 安中総合高校サッカー部
・ヘッドコーチ
・非常勤講師(保健体育)
2018-2021 FC市川GUNNERS 
・U13/U7/スクール(キッズ~小学生)
2021-現在 モノリスFC 
・U13

 

特別支援学校での指導とサッカー指導のシナジー

 

今井

ファミリーサッカーのことを伺いたくてお時間いただきました。その前にようたコーチのことを教えてください。

特別支援学校の先生をされていたんですね。サッカー指導にどんなシナジーがありましたか?

 

ようたコーチ

特別支援学校で経験したことは、育成年代のサッカー指導に大きな影響があったと思います。障害のある子のこれをしたいという意思を尊重するには、教員側の工夫が必要なんです。サッカーのトレーニングと一緒なのですが、ゲーム性をもたせると楽しくなっていくんですね。単純作業にいかにゲーム性を持たせるかが重要で。

例えば、ホチキスの箱に針を詰めていく作業を、すごろくとか迷路みたいにすると楽しくやるようになります。あとはタイム測ってみたり、競争させてみると楽しくやる場合もあります。

でもやはり競争にすると発狂してしまう子はいます。その場合は競争ではないゲームをします。

その子の個性、状況に合わせて工夫をすることが大切なんですね。

 

今井

育成年代のサッカーのコーチは、子どもの個性や意思を見る力がとても重要なのに、実際そこが足りてない指導者をたくさんみてきたので、特別支援学校の教員をされていたというのは非常に興味深いです。育成指導の現場に携わって大きかった学びはなんですか?

 

ようたコーチ

指導をスタートした時に、いい指導者と巡り合えたんです。そのコーチの影響が大きいです。

「指導者は子どもの鏡だから、子どもの行動から自分の振る舞いを振り返らないといけない」と言われたことは指導者としての土台になっています。

子どものプレーが良くないのは練習とコーチングに問題があるのだから、選手に注意する前に自分の振る舞いを振り返ることが大切だということに気がつくきっかけをもらいました。

あとは順天堂大学時代のサッカー部の監督の影響もあります。

サッカーは君たちの人生で本当に必要なのかということを問われました。

「サッカーだけではなく、しっかりと社会にでるための準備をしないといけない」
と、4年間言われ続け、サッカーをする意味を考えさせられました。

そういった経験から、特別支援学校での教育とサッカークラブでの指導が本質的に繋がっていると感じています。

これらの経験があったからこそ、安中総合高校サッカー部、市川GUNNERSでいい経験をさせていただく機会を得られたのだと思います。

 

今井

なるほど。これまでの経験が、ファミリーサッカーに繋がったのですね。

 

ようたコーチ

そうですね。

一宮にきて、みんなが楽しめるサッカースクールがいいと思ったのですが、スクールという名前にすると教わる場になってしまいそうで、試行錯誤した結果、ファミリーサッカーという形にしました。

幼稚園の巡回で、サッカーを好きになってもらえるような子を増やしたいと思って試行錯誤するのですが、当然サッカーに興味ない子も結構います。

そんな子たちは、サッカーより園庭で遊びたいので、一回遊具で遊んでいいよと言いたいのですが、サッカーをする時間として確保していただいているので、クラブとしてやっぱりそれはやりにくいんです。

 

サッカーを楽しそうにやってたら、やりたい子が増えるんじゃないかと考えて、ファミリーサッカーを企画したんです。

子どもたちにとってサッカーも砂場遊びも同じ遊び

 

今井

ファミリーサッカーはどのように運営しているんですか?

 

ようたコーチ

約一年前からスタートして、月に一回の頻度ですが、毎回子どもたちが10人くらいで、一緒にプレーする保護者は4~6人くらいです。

実施する公園は予約しています。公式LINEで参加者を募っています。

子どもたちの参加人数は、多い時で20人、少ない時で10人くらいですが、最初は5人くらいから始めたので、たくさんの方に来ていただいてとてもありがたいです。多すぎると安全管理の面と、ボールになかなか触れない子も出てくるので、ボールを増やしたり、コートを2コートにしたりしています。

せっかく来たからには楽しんで欲しいんです。

個人的に好きなのは、サッカーが終わった後に遊具や砂場で遊んだりする光景が見れることなんです。サッカーだけじゃなくいろんな遊びができるのがすごくいいなと感じています。

子どもたちにとって、「遊び」という意味ではサッカーは遊具で遊んだり、砂場で遊ぶことと同じものなんですよね。

 

今井

めちゃくちゃいいですね。とても共感します。サッカー好きになってもらいたいと思うけれど、好きになってくれるかわからないからこそ、強制したくないんですよね。他の遊びと同列だけど、その中でもサッカーがとりわけ面白い遊びとして子どもたちが選んでくれたたらいいですよね。

 

 

ようたコーチ

そうなんです。

ファミリーサッカーでも小学5年生と幼稚園の年長の子が一緒にプレーしたりします。

年上の子も、同学年の友達と話す時とは違うコミュニケーションをとると思うし、年下の子は年上のお兄ちゃんと遊ぶことでいろんなアイディアを感じることができると思っていて、そこに社会で活きる学びがあるんじゃないかな?と感じています。

この前も、あるお父さんが先導してくださり、野球遊びが始まったのですが、最近は子どもの親以外の大人が関わる機会が少ないので、【子どもはみんなで協力して育む】ということが自然と行われていくので、とても嬉しく感じています。

幼稚園の年少〜小学5年生が参加してくれてますが、小学生の方がちょっと多いくらいです。年齢差があってもみんなが楽しめる場というのは大切にしたいと思っています。


親は、子どもにサッカーを習わせたいと思っていることが多いので、サッカーは遊びであるということをしっかりと伝えた上で共に楽しむ姿勢を持ってもらえたらいいなと思っています。

ファミリーサッカーに参加されてるご家族とは、一緒に日本代表の試合を観たり、花火をしたりとサッカー以外の交流もしていただいています。

理想は、サッカーを介して出会った方々とお互いに協力しながら、子育てができるコミュニティができたらいいなと考えています!

公園遊びが苦手な人もいると思うので、公園遊びが得意なお父さんがみんなを連れて行ったり、みんなで助け合って生活できたら嬉しいと思っています。

おすそ分け文化というか、子育てシェアができるようになると過ごしやすくなりそうだなと感じています。

その関係を結び付けてくれるものがサッカーというのは想像するだけで最高です。

 

ファミリーサッカーではなくスクールでも、コンセプトは「サッカーで遊ぼう」にしています。

サッカーは習い事ではないですし、遊びなので、サッカーという遊びを共に楽しんでいきたいと思っています。

ファミリーサッカーでは親御さんも一緒に遊ぶという感じですね。

 

今井

ありがとうございました。

本当に共感しかありません。

親御さんも一緒にサッカーを楽しめたら最高なんですよね。

子どものサッカーに熱を入れすぎて過剰に期待したり要求したりする親御さんたくさん見てきましたが、ファミリーサッカーのような場で、子どもと一緒にサッカーを楽しむことができれば、過剰な期待や要求も減るように思います。

ファミリーサッカー普及してほしいなと思いました。

keikun028.hatenadiary.jp

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