大人になってから学ぶサッカーの本質とは

サッカーの本質を追求するWebマガジン 考えるよりも感じることを大切に 美しさとは何かを感じる心を大切に 大切なものを失わない為に書き綴る                    ※当ブログはプロモーションが含まれています

ドイツの育成指導者が大切にしていること。「子どもたちに共感すること」〜ドイツレポートvol.2〜

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日本人として地域のクラブに溶け込み、
子ども達に「アイ!」「アイ!」と親しげに呼ばれる姿は誰からみても妬けてしまうぐらいに、慕われていたケルン市のDJKズードウェストクラブ指導者の吉泉愛さん。 

 

日本人指導者たちのために、

スペシャルトレーニングとして、

現地の子どもたちへの指導実践をみせてくださったクリス・クプファーさん。

日本の良いところも沢山教えてくださって、

日本愛に溢れていたクラウス・パプストさん。 
(もちろんケルン愛が1番だったけれど) 

どの指導者からも伝わってきたのは、 

子どもたち1人1人に対する愛がとっても溢れていた事と、

サッカーの本質を子どもたちにいかに伝えるかを、

深く深く知っていたりする事だった。

 

愛さんに子どもたちの事やクラブの事を伺うと

我が子のようにお話ししてくれる姿がとても印象に残った。

そして私たち研修メンバーをオープンマインドでおもてなししてくださって、

異国の地でも心の芯の方が温かくなるような振る舞いは、

きっと子ども達に対しても同じなのだろうと、安易に想像できるほど、

人柄の良さがにじみ出ていた。

練習後にスパイクに履き替えているので話をきくと、

今日から自分が指導しているクラブの女子チームに初合流すると教えてくれた。

プレイヤーとしての表情は、

サッカーというスポーツを心から大切に思っている事が伝わって来て、

輝いていて美しかった。

 


サッカー愛に溢れた指導を見せてくださったクリスさんには、

なぜこんな指導ができるのか、

彼にどんな歴史があるのかを知りたくて話しを聞くと、 


・子どもたちに共感すること
・練習に来ている皆んなをハッピーにすること 
・幸せな時間を共有したり味わってもらう事 
・そのために自分自身が色々な経験をすること 
・色々なものをみて感じる感性を大切にしていること

 と教えてくれた。

 

実際にクリスさんの指導は、

初めて指導する子ども達(私たち見学メンバーとも)と、

最初に一対一で向き合う時間を大切にし、

(それは確かに一瞬だったけれどもその時間がどれほど緊張をほぐしたか計り知れない)

それぞれに目を配り、

時にはユーモアを交えて、

だけれどサッカーの本質的な事(チームメートと繋がる事、諦めないこと、攻守の切り替え、シュートの喜び、駆け引き)をしっかりとその場にいる子ども達皆に伝えられるようなオーガナイズだったし、子ども達の小さな変化に反応できるその感性は、保育者として働く私にとっても見習いたいことだった。

レベルの違いがあるプレーヤーへの指導は?といった問いには「ある練習をしようとし

たときに、まだそこまでじゃない子たちには、先に少し話をしたり、理解することが出

来るような時間をとることもある。そうすると、ストレスの感じ方をやわらげたりする

ことができる。」と。

一人ひとりのために自分が心を配ったり、

時間を割くことを惜しまない姿勢に子ども達への愛を感じた。


パプストさんは、

日本からドイツサッカーがどう見えているのか、

悪い事も良い事も教えて欲しいと、

とても研究熱心だったが、

私たちからの質問には、鋭い視線で大切な事をしっかりと語ってくれた。 

 

子どもたちは1人1人違う事。 

どんなアプローチがその子にとって最適かを見抜いたり考え続ける事。

10人いたら10通りだと。

自分を変える事すら難しいのだから相手を変えようとせずに、自分を変える事。

子ども達の今だけをみて判断しないこと。

尊敬するヨハンクライフ氏の言葉を引用して、

「サッカーはシンプルなスポーツだけど、シンプルにプレーすることこそ難しい」

それを子ども達に理解してもらうことが大切。

試合は監督のものではなく、選手のもの。

私たちからの一つ一つの問いに、丁寧に応えてくれた。

それらの事から一貫して伝わるのは、全ての子ども達を尊重していく姿勢だと感じた。

どんな子にも、サッカーが上達する権利があって、

どんな子にも指導者は心を配らなくてはならなくて、

皆んなサッカーを愛する仲間だから大切にしよう、という心意気に溢れていた。

日本から来た私たちにも同じ仲間じゃないか、

と言ってくれているような気がした。

 

この地で出会った彼らから伝えてもらった事は、

凄くお金がないと出来ない事ではなくて、 

本当はシンプルな事で、難しい事ではない。 

でも相手ときちんと向き合って理解しないと出来ない事でもあると思う。

大人が少し傲慢にふるまったり、

子ども達に対して謙虚さを失ったり、

子ども達の気持ちに耳を傾けることを怠ったり、

変化を見逃してしまったり、

誰かと誰かを比べて評価してしまったり、

気を抜いてしまったら私たち大人(保護者や指導者)は、

いとも簡単に真逆のことができてしまう。

でも、子ども達を大切に思って心を配れば、

大人が自分を偽らず向き合おうとすれば、

子どもたちの感性は素晴らしいから、

きっと伝わるような気がする。

そんな指導者や保護者が日本にも増えていくと良い。

保護者としての自分にも自戒を込めて。

 

ライタープロフィール

息子のサッカーを見て感じた違和感、サッカーで苦しんでしまう子どもたちを減らしたい。そんな思いから、浜松プレーパーク(hamamatsu_play_park)という公園サッカーの会を企画しています。

keikun028.hatenadiary.jp