今回ピックアップしたのはフットサルの元日本代表監督であるミゲルロドリゴさんのインタビュー記事と、ラグビー元日本代表監督のエディ・ジョーンズさんの記事、そしてプロ野球からDeNA筒香選手の記事をご紹介させていただきます。
いずれも、サッカーを伝えていく上でとても学び多き記事です。
判断は頭でするのではなく感情でするもの
「人の判断で一番左右するものは何だと思いますか。神経系の新しい研究結果によると、人の判断で一番左右するものは“感情”だという結果が出たらしいのです。これまでは誰もが『判断は頭でするものだ』と教えられてきましたが、実は感情で決めているのがわかってきたらしいのです。これは今世紀最大の発見だと言われています。ようするに、感情が決断を導くのです」
「サッカーは判断が大事だとうたっているので、子どもたちがいいプレーをするには『いかに強い感情を抱くか』が大事です。だから、指導者は子どもに『パッション』、つまり『サッカーへの情熱』を出させることが上達の大きな鍵を握っているのです」
「うまくなるにはすべてを出しきらなければなりません。それには挑戦が深く関わっています。挑戦とは、100%以上のものを出してこそ達成できるものでなければなりません。自分が持っている101%の力を出したときに手がかかるもの。今の力をほんの少し超えることが極めて重要になります。あまりにも大きな目標を掲げてしまうと、心の中で『本当にできるのかよ』と感じてしまいます。だから、指導者が掲げた目標に対し、子どもたちが『そうだ、できるんだ』と思える、そのさじ加減が指導者の腕の見せどころです。もちろん、これは難しいことですが、常に実現できる目標を立てて上げるのは大きな仕事なのです」
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日本のスポーツチームのコーチや学校の先生は、「コーチングはアートだ」と理解できていると思いますか。
歴史を振り返ると、そうではないでしょうね。おそらくコーチングは、力によってなされていると思います。例えばパワフルな監督が大きな力を持っていて、すべてのルールを決めて、やり方をこうだと命じて、選手たちは言われたことをやるという歴史が日本にはあると思います。50年前はそれでうまくいったと思いますが、いまはすべてが変わりました。選手たちも変わったので、コーチのアプローチも変わらなければいけない。
コーチングをしていると、選手から反応をもらえますよね? いい例がミーティングです。以前のミーティングでは選手たちは受け身で、情報を受けるだけでした。でも、いまの人たちはそうやって学ぶだけではありません。むしろミーティングでは、選手たちに対して「あなたたちも参加しているんだ」と自覚させる必要がある。選手は「この場で何かを得られる」と考え、参加者(participant)であるべきだと思います。だからコーチは選手に「これをやれ」と言うだけではなく、しっかり会話をして、選手たちを自分に引きつけなければいけない。選手たちが知識を獲得し、考え方を深められるように促していくための働きかけが必要です。
最もいい例が、五郎丸(歩)です。彼はいわゆる、昔ながらの日本人の青年です。
2015年W杯に向けて日本代表に入った当初、彼は早稲田のスーパースターでした。
ミーティングでは部屋の一番後ろに座って、下を向いて話を聞いていた。
そうして、情報をもらうだけでした。でもW杯が終わる頃には一番前に座り、前のめりになって、いろいろ質問をしてきました。単なる傍観者(recipient)から、参加者(participant)に変わったんです。
そうした変化があったから、彼はチームへのエンゲージメントと自身のモチベーションを高め、日本代表での存在感も強まりました。五郎丸は自分に対する姿勢が高まれば高まるほど、プレーもよくなっていったんです。
――エディーさんという、日本人とは違うメンタリティや考え方を持った外国人コーチと出会ったから五郎丸選手は変われたのですか。
そうではないと思います。コーチングの仕方で、彼は変わったと思います。私たちのアプローチ方法によって、日本代表の選手たちが以前よりもっと考えるようになりました。
「勝利至上主義の日本の指導者が、未来ある子どもたちを潰している」
少年野球から高校野球まで、日本には“勝利こそがすべて”と選手を怒鳴り、時には手を上げ、理不尽な猛練習を強いる指導者が少なくない。その結果、「選手はみんな楽しく野球をやれていない。指導者の顔色を見てプレーしている。指示待ちの子どもも多い。結果重視の方針で小さいときから練習量が多く、未来ある子どもたちが(ケガや故障などで)潰れてしまっています」
サッカーの本質を追求する旅はつづく…