3月某日、Futbol&Cafe mfにて高校女子サッカー界のふたりの名将を招いたトークイベントに足を運びました。
ゲストは日ノ本学園女子サッカー部(兵庫)の田邊友恵監督と、京都精華女子サッカー部(京都)の越智健一郎監督。
田邊監督は日ノ本学園女子サッカー部を率いて、2015年度は高校総体(インターハイ)と高校選手権の2冠を達成。さらに、2012年から2015年までインターハイ4連覇、2014、2015年には高校選手権連覇と、文字通り日本一のチームを作り上げた指導者です。京都精華女子サッカー部・越智監督も、2013年の高校選手権で3位、2014年の高校総体(インターハイ)で準優勝
※フットボールエッジさんより引用
日本女子サッカーの文化を育むおふたりのトークイベントを私の実況ツイートとともにお楽しみください。
教える側と教わる側の設定がダサい
精華女子の越智さん
— KEI 整える。研ぎ澄ませる3月 (@Keivivito) March 19, 2016
教える側と教わる側の設定をフラットにしたい、いや、むしろ下からいきたいくらい
トークイベントの序盤で越智さんがこう話した。
私は、これを聞いて「ああこの人好き」と思った。
既存の教育の仕組みとか概念から自由になりましょうよ。一方的に指導者が教えるという設定はもう古いですよ。インタラクティブで主体的なコミュニケーションの中で人は育まれていくんですよ。そんなメッセージが込められているのだと思いました。
主体的にサッカーを楽しむこと
中学、高校と上がるにつれてサッカーをやめちゃう子が増えていく。その問題は単純に楽しむことができなくなっているからだと思う。だから楽しむことをベースにやることは大切にしている
— KEI 整える。研ぎ澄ませる3月 (@Keivivito) March 19, 2016
更に田邊さんはこう話した。
日ノ本の田邊さん
— KEI 整える。研ぎ澄ませる3月 (@Keivivito) March 19, 2016
厳しい指導から楽しむことをベースに変えた途端に、厳しくなければ来た意味がないと選手から言われた。厳しくしてもらわなきゃ勝てないと。
田邊さんは謙虚で素直でありながらとても柔らかく暖かい人柄が発する言葉から伝わってくる。 たくさんの失敗を経験しそれを受け止め、そこから学んできた人なんだなと思った。それだけ生徒との衝突もたくさんあったのだろうし、それでも強い意志で生徒の心と向き合ってここまできたのだろう。もともと強いチームなのに、違和感を感じて、やり方を変えるなんてことは簡単にできることじゃない。それでも自分の気持ちに忠実にチームを創る田邊さんは素敵だ。
上手いとか下手じゃない見るべきは選手の”ノビシロ”
上手い子を上手くするよりも、上手くない子を上手くすることが私の生き甲斐だと、越智さん
— KEI 整える。研ぎ澄ませる3月 (@Keivivito) March 19, 2016
精華女子は上手い子がそこまでたくさん集まってくるわけではないそうだ。日ノ本学園とは相対的にということなのかもしれないのだけれど。そんな選手たちの無限にあるノビシロにワクワクしちゃう性質なのかもしれない。 でも、本当は上手いとか下手とかは関係なくて、着目しているのは選手の”ノビシロ”なのだと思う。そこが大事なんだよ!というメッセージを分かりやすく表現するために、敢えて上手くない子を上手くすることが生き甲斐、という言葉を使っているような気がした。
指導者の在り方
指導者はサッカーが上手いことが大事なのではない。指導者を選手たちがいかに超えていくか大事だと。技術も、想像も、発想も、だからこそ指導者の在り方が大切
— KEI 整える。研ぎ澄ませる3月 (@Keivivito) March 19, 2016
このつぶやきはおふたりの話を聴きながら私が感じたことをつぶやいたことなのだけれど、選手の可能性を伸ばす為に、おふたりが心がけていることは”自分自身のあり方” なのではないかと感じた。選手が主体的に日々サッカーと向き合う為に、人として成長する為に指導者として、いや一人の応援者としてどうあるべきかというのを常に自問自答しているような印象を受けた。
リスクを恐れたら何も得られない
ファーストペンギンになりたい。と越智さん。最初に海に飛び込むペンギンが何かに食べられるリスクが高いが、魚を得る可能性が高い。1匹が飛び込んだ後大勢が一斉に飛び込んだら魚はもう逃げている。発想が面白い。
— KEI 整える。研ぎ澄ませる3月 (@Keivivito) March 19, 2016
リスクを恐れてはいけない。最初に飛び込むのは勇気がいるけれど、それを突破したら成功できる。これはサッカーも人生も同じだ。飛び込まなければなにも生まれないし、なにも起こらない。サッカーも人生も創造すること。そして成功するポイントはここにある。誰も考えたことのない発想を抱えてクリエイションの海に飛び込むということ。
世界は多様なんだ。だからこそ…
わかる子とわからない子がいて、上手い子と上手くない子がいる。どんなチームにも。だからこそ、いろんな指導者のエッセンスを感じることが大事。時には教わることも、時には教わらないことも大事。
— KEI 整える。研ぎ澄ませる3月 (@Keivivito) March 19, 2016
捉われてはいけないんだ。 田邊さんのこの言葉を聞いて改めてそう思った。世界は多様であり、そこに生きる人も多様である。誰一人として同じ人間はいない。好き嫌いも、美醜の感覚も、相性も多様だ。だからこそ、あらゆる刺激を、あらゆるエッセンスを選手たちに”見せること”が大事であり、それぞれが勝手に感じてくれれば良いのだ。なにかがきっかけで人は変化し、成長する。そういうことなんだろうなあ。
サッカーを見ないサッカーの指導者
サッカーは見ないけど、バスケとかラグビーは見ます。と越智さん。
— KEI 整える。研ぎ澄ませる3月 (@Keivivito) March 19, 2016
こんなボールの持ち方するんだとか、そういうの見てます。と
私はこの日とりわけ興味を惹かれたのが越智さんのこの言葉だ。実は私自身、サッカー以外のものから普遍的な本質を見出すことが頻繁にある。だからこそ越智さんの”見てるもの”、”見るところ”に興味を持った。誰もが観ているところに私はあまり興味がない。
多分越智さんは、人間の本来持っている性質とか本然に着目している。
柔らかくしとけ
しっかりしてなきゃいけないとは思わないけど、チャラクなきゃいけないとは思います。と越智さん
— KEI 整える。研ぎ澄ませる3月 (@Keivivito) March 19, 2016
正しくあろうとすると硬くなる。柔らかくなきゃなにも生み出せない。チャラくいけ。
面白いサッカーしたかったら…
面白いサッカーをしたかったら、それを表現する選手たちが面白くなきゃいけないと。越智さん
— KEI 整える。研ぎ澄ませる3月 (@Keivivito) March 19, 2016
この表現は素敵だ。上手いとかより大事なのはその選手が面白いかどうかだ。
選手の魅力を引き出すこと!!
大人の接し方が子供をつくる
大人の接し方が子供をつくる。と田邊さん
— KEI 整える。研ぎ澄ませる3月 (@Keivivito) March 19, 2016
これです。これを意識してる大人がどれだけいるだろうか。
自分の発する言葉が人に与える影響は大きい。
大人が背中を見せること
僕は誰よりも挨拶します。でも選手には挨拶を強要しません。ただ、見せたいんです僕の姿勢を。と越智さん
— KEI 整える。研ぎ澄ませる3月 (@Keivivito) March 19, 2016
きっと指導者に求められていることは、いやすべての大人に求められていることは、こういうことなんじゃないかなと思った。どんな分野でも、大人が人生を楽しむ姿を見せること、ありのままの自分を表現することが大切なんじゃないかと思う。
大人が楽しそうに挨拶する姿をみせれば、子供たちは挨拶を楽しめるようになる。
サッカーも人生も同じなんだ。誰かが心から楽しんでいる姿をみて、人は引き込まれる。
This coach has a different handshake for everybody on the teamLIKE Black Adam SchefterFOLLOW ON TWITTER: https://twitter.com/B1ackSchefter
Black Adam Schefterさんの投稿 2016年3月20日
まとめ
この田邊さんと越智さん、このふたりは結構、対照的な発想をし、表現の仕方も異なるのだけれど、本当に大切にしたいポイントは同じ領域なのだと感じました。
とても学び多き1日になりました。感謝!!
そしてこのナイスで素晴らしいイベントの発案者、スエルテの代表久保田さん。
おふたりの魅力を存分に引き出してくれた司会進行のフットボールエッジの編集長、鈴木さん。素晴らしかったです!有難うございました!
おふたりのレポートはこちら↓
「指導者の人柄が、チームの色になる」 日ノ本学園・田邊監督&京都精華・越智監督イベントレポート【久保田コラム】 | FootballEDGE
サッカーの本質を追求する旅はつづく…
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