大人になってから学ぶサッカーの本質とは

日本にいながら外国人リーグでプレーする私の目から見るサッカーの本質とは… 元サッカー選手、元サッカーコーチ、中南米放浪サッカー経験者として好き勝手語らせて頂きやす

マリノス・仲川輝人に学ぶ、シュートから逆算したプレーとは

follow us in feedly

f:id:keikun028:20191022223948p:plain

仲川 輝人

Jリーグ第29節、横浜FMvs湘南。

 

前半39に横浜の仲川が、華麗なコントロールシュートで先制点を決めたシーン。

 

シュートの軌道の美しさに目を奪われるが、そのシュートに至るまでの過程が素晴らしかった。

 

小柄ながらアタッカーとしてより魅力が増す仲川のプレーに、サッカーの攻撃の本質の一端が見えたため、解説していきたい。

 

 

状況

 

まずは、そのシーンを動画でご覧いただこう。

 

 

 

 

 

若干カウンター気味とはいえ、人数が足りていないわけではなかった湘南。

仲川に対しても1vs1で対応することが出来ていた。

 

ここから仲川は、自身の能力と周囲の状況を利用しながらシュートへと逆算していくわけだが、その過程を細かく分解してみよう。

 

 

ボールを受ける前

 

中央からパスを受ける直前、仲川は体の向きをゴール側へ向けたまま、わずかに外へ開きDFとの距離を確保した。

 

この時着目したいのは、

「開き過ぎなかった」

という点。

 

外へ開けば開くほどDFとの距離が確保できるため、どんどん遠くまで開いてしまいがちなシーンだが、仲川は最小限に留めている。

 

開きすぎないことのメリットは二点。

 

①シュートの選択肢を消さない

②大外へサイドバックがサポートするスペースをとっておく

 

 

そしてこの二点は、そのままゴールへ直結するポイントとなった。

 

 

改めて動画を見ていただきたいが、5秒ごろの仲川の体と顔の向きから、サイドバックがサポートに上がってくることを確認している。

 

ボールを受ける時点で1vs1ではなく、数秒後に2vs1もしくは2vs2になることを予測しながらプレーしている。

 

この時点で仲川からすれば、

 

・サイドバックに渡して深い位置からクロス

・サイドバックをおとりに中へ仕掛けてシュート

 

という二択を後出しジャンケンの要領で選ぶことができた。

 

 より自身に有利な選択肢を確保するために最適なポジショニングだったのだ。

 

ボールを受けた瞬間

 

喜田からパスを受け、ボールを止める仲川。

止めた位置は体のわずかに右側。

 

利き足である右足の前にボールを止めることで、あらゆるプレーの可能性を残した理想的なトラップである。

この位置に止めることでシュート、カットイン、パス、クロスと全てが可能になる、まさしく収まりのいい位置といえる。

 

難しいパスを止めるトラップが賞賛されることが多いが、このような何気ないシーンで一発でボールを置きたいところへ置ける、まさしくトラップの本質である。

 

そしてトラップと同時に仲川は右手を上げ、サイドバックのサポートを促す素振りを見せる。

これにより、一瞬ではあるが2vs1を作り出せた。

 

この時、対面したDFに注目していただきたいのだが、仲川は最初のトラップ以降ボールを触っていないのにもかかわらず、DFはサイドバックに警戒し、僅かに重心が動いてしまった。

 

ここで、先述した後出しジャンケンが効力を発揮し、仲川は中への仕掛けを選択することとなる。

 

仕掛けからシュート

 

中へ仕掛けると決めた瞬間、おそらく仲川はもう一つ内側のDFとの距離を見ていたと想像できる。そして離れているため、間を縫ってのシュートをイメージした。

 

筆者が一番驚いたのは、切り返しからシュートまでのスムーズさだ。

 

僅か4歩で切り返しからシュートまでつなげている。

 

 

一般的にシュートを打つ際は、僅かに足を踏みなおしたりタイミングを図ることが多い。

しかしそれでは、内側のDFのカバーが間に合ってしまう。

 

仲川は、小さい切り返しから実質助走ゼロのシュートを選択した。

 

これ以外のシュートの仕方では、おそらくブロックされていただろう。切り返す前に、この結末から逆算し、そのために小さい幅でDFを翻弄したことが推測できる。
DFを抜くためではなく、シュートコースを生み出すための選択だ。

 

そしてシュートが技ありだった。

 

助走ゼロのシュート

 

 

このシュート、非常に難易度が高い。

 

まず助走が取れていないため、スピードが出ない。
選手によってはゴールへ届かせることさえ容易ではないだろう。

 

仲川は足を振り回すような形で遠心力を利用しながら、左足の親指付近でキーパーを避けるような軌道を描いた。

更にシュートの瞬間に上半身をたたむことで、よりパワーを伝えられるようなフォームで打ち込んでいる。

 

そしてなにより、利き足ではない左足でこのシュートを決めたこと。
これだけ難しいシュートでありながら、高い精度を出せるのはアタッカーとして非常に価値が高い。

両足を使えるように練習、という言葉の重みが伝わるシーンだ。

 

 

最後に

 

以上、各局面ごとに、いかに仲川がシュートを目的とし、そこから逆算された効率のいいプレーを選択していたかを解説させていただいた。

 

攻撃の最終目的はシュートを決めること。
その目的に対し、周囲の状況や自分の長所と技術、味方のサポート等を踏まえ最適解を選択し続けた仲川。

 

技術はもちろんだが、その頭脳にこそ、筆者は賞賛を送りたい。

 

ライター

twitter.com

 

keikun028.hatenadiary.jp