フランスの名門マルセイユで才能を開花させ、プレミアの名門アーセナル、そしてマンチェスター・シティという世界トップレベルのビッグクラブを渡り歩き、現在はスペインで勢いに乗るセビージャの司令塔、キーマンとして大活躍している。
プレミアのビッグクラブでは様々な要因で才能を爆発させることはできなかったけれど、そのテクニックはあのグアルディオラ監督でさえスーパーと認めるほどである。
そんなナスリのプレーを映像を混じえて紐解いていきたい。
攻撃を想像し創造するクリエイター
ナスリはプレミアリーグでは主にトップ下、セカンドストライカーを主戦場としてプレーしてきた。圧倒的なテクニックとスピーディーなドリブルで相手ディフェンダーを混乱に陥れてきた。
しかし、セビージャでは10番のポジションで攻撃のタクトを揮っている。
攻撃のイメージをつくり、攻撃のスイッチを入れ、ゴールまでの絵を描く。
チリの名将サンパオリ監督の南米的モダンスタイルに絶妙にフィットし、セビージャの攻撃を牽引している。
柔らかくいなすテクニック
相手の殺気を柔らかくいなすテクニックは健在で、密集もハイプレッシャーの中もかいくぐり守備網を切り拓いてしまう。
ここぞという時に力を抜けるということ。
ひとりのディフェンダーにとらわれないということ。
プレッシャーがかかったときにこそ即興を楽しまなければならないということをナスリのプレーは思い出させてくれる。
相手に先を読ませてはならない
ピッチで自由自在に動き回るナスリ。
ファーストタッチの方向、場所を決して読ませない。
相手守備網のスキマへボールを運び、仲間とゴールへのルートを創造する。
そしてシンプルにバイタルエリアまでボールを運べば、相手ディフェンダーはゴールをさせてはならないという強い気持ちが先行しシュートブロックに行く。
その気持を利用してシュートフェイクで逆をとってからのシュート。
常に先手をとることで相手の逆をとることができる。
相手に先を読ませないことがサッカーでは重要なのだ。
ロジカルな守備を切り裂くアドリブ
ナスリはスペースのない狭いところで勝負する。
ここに勝機があるとわかっているからだ。
守備網へ向い、スキマをさぐり、そこを通す、そして即興でゴールに向かっていく。
ストリートで磨いたスキルはロジカルな守備を崩壊させる。
サッカーは即興であり、アドリブなのである
ナスリのプレーを観ていると改めてサッカーは即興が大事なのであるということがわかる。サッカー史に名を残す偉大なフットボーラー達、クライフやプラティニ、カントナやマラドーナ、ロナウドやメッシ…、彼らは即興でサッカーをプレーする。
ナスリもまた天才フットボーラーと呼ばれるに値する選手なのである。
サッカーの本質を追求する旅はつづく…