ブラジルからいい選手が量産される理由ってなんだろうと考えたことがありましたが、やっぱり道路で裸足でプレーすることで養われるテクニックなんだろうと、昔から言われていたし私自身も漠然とそう思っていました。
でも、ストリートサッカーのなにが、どのようにいいのかよくわからないが故に、普及することはありませんでした。
最近、エコロジカルアプローチというものが、サッカー界でも話題になるようになりました。色々調べていくうちにこれがストリートサッカーとの親和性も高く、非常に興味深いことがわかってきました。
今回、エコロジカルアプローチについて語られている動画の一部をご紹介させていただきます。
※完全な文字起こしではなく、一部要約してます
Football Quest Talk #18 『エコロジカルアプローチとは?』植田 文也氏 - YouTube
エコロジカルアプローチの研究者で上原さんという日系ブラジル人の方がいて、彼はあまりにもストリートサッカーからいい選手が出過ぎているという結論に至って、南米の選手のバックグラウンドを調べたわけです。
すると多くの選手は、ストリートサッカー、ビーチサッカー、フットサルを経験しているということが分かるわけです。
これらは、自然な形の制約主導型アプローチであるということなんです。
ストリートサッカーであれば、いろんなサイズのボールを使いますし、柔らかいボールも硬いボールも使います。3対3でやることもあれば、4対4でやることもあるし、時には4対5の数的不利でやることもある。
また、年齢性別も異なる中で行われるという極めてバリアビリティ(多様性)が高く、毎回環境が変わるような遊び(トレーニング)を行なっていた子どもたちが、豊かなスキルセット、ソリューションセットを持って、スカウトされてプロを目指す整備されたアカデミーに入って才能を伸ばすということなんです。
ストリートサッカーのいいところは、運動の内容をごちゃごちゃ指導されないということ、制約だけ設計して、自分の得意な動きを探索させる。
環境や設定を変えて、土でやってみたり、道路でやってみたり、ちょっと芝生っぽいところでやってみたり、裸足でやってみたり、靴履いてやってみたり、ありとあらゆる制約の中でプレーすることにより、運動の本質に近づけるということなんです。
※制約主導型アプローチとはなにか
日本でも多くの指導者が「様々なルール」という制約を定めることで「選手のプレー基準に変化を与える」アプローチを練習に活用しており、例えば「タッチ数の制限」も基本的な「制約主導型のアプローチ」
エコロジカルアプローチ・トレーニングとはなにか?
林舞輝さんのTwitterの投稿がわかりやすいのでご覧ください。
では、エコロジカル・トレーニングは?
— 林舞輝 (@Hayashi_BFC) 2018年9月11日
サッカーを生態系と捉え、トレーニングに必要なのは「生活形式」を作ることであり、各選手の「ニッチ」を見出し選手同士が「共依存」するようにさせる。これは、ダーウィンの進化論はもちろん、ウィトゲンシュタインのレーベンスフォルムの考えにかなり近い。
エコロジカルアプローチについては、フットボリスタの3月号も大変参考になります↓
エコロジカルな環境を作っていきたい
育成年代を長年見てきて、ずっと感じている違和感がクリアになってきたように思います。
育成年代の指導の在り方も少しづつ変わっていかないといけないと思いますが、なにより問題だと感じるのは、子どもたち自ら自由にサッカーという遊びを発展させるような環境が少ないことだと思います。
いま、日本の子どもたちは自由にボールで遊べる環境が極めて少ない状況です。ボール遊び禁止の公園が多く、サッカークラブに入らないとプレーする機会を得られない。
これでは、ストリートサッカーのような自然な形の制約主導型アプローチが生まれないと思います。
我々大人が管理すべきなのは、子どもたちよりもむしろ、勝手に育っていく環境なのではないかと思います。
サッカーの本質を追求する旅はつづく…