今回は現役のプロサッカー選手のインタビュー記事を3本ご紹介します。
海外でプレーする松井大輔選手、加藤恒平選手の記事は海外でプレーするとはどういうことなのか、日本では感じることができない感覚を伝えてくれています。
そして最後に遠藤保仁選手の記事は、サッカーだけではなく、人生のあらゆることに通ずる深い内容になっています。
「なんだ2部か」「大したことないな」という的外れな見方をされる日本
「日本は経済大国です。そっち方面では世界でも上位なんでしょうけど、サッカーに関してはFIFAランキングを見ても分かるように、50位くらいなんですよ。その国のJリーグの選手がフランスやスペインの2部リーグのクラブに入団する。それって、むっちゃ上に行ってるじゃないですか。だから23歳でル・マンに行ったときも、僕のなかではまったく迷いなんてなかった」
とかく日本では欧州4大リーグがもてはやされ、しかもそのトップリーグのクラブへの移籍が成功への近道と見られがちだ。だからだろう。2004年夏に松井が京都サンガからフランス2部のル・マンへ移籍した当初は、「なんだ2部か」「大したことないな」という的外れな見方が少なからずあった。だが松井は、そんな風潮に真っ向から反論する。
「僕が行った当時もそうだったけど、『2部へ行くんや』じゃなくて、『2部に行ったんや』という感覚で捉えてほしいんです。(イビチャ・)オシムさんも何回か言ってました。『日本ではどうしても2部に行くことに抵抗があるようだが、どういうことか分からない』と。日本のほうが生活水準は上なのかもしれないけど、それと同じ感覚でヨーロッパのサッカーを見るのは違う。世界で見れば、日本人選手の市場価値はどうやっても低い。2部でも獲ってくれるチームがあるならすごく意味のあることなんですよ。日本のサッカーはやっぱり、あっちではあまり見られてない。年間数人しかヨーロッパに行ってないし、それこそ何十億円の移籍金とか金額が跳ね上がった選手なんてほとんどいないんです。そこを忘れてはいけない。上を見るんじゃなくて下を見てみよう。そこから上がっていくのが普通の考え方やと思います」
“覚悟”がなければ海外での成功はない
「僕が21歳でアルゼンチンに行った時、例えば20歳の選手でもすでに3チームぐらい渡り歩いている選手がいました。アルゼンチンの国内だけでも3クラブ目だよっていう選手がいたりして。早い段階でプロの厳しい世界に飛び込み、そこで生きていく力とか、生き抜いていく力を持っていた。アルゼンチンで生き残るって、すごく大変なことですからね」
試合に勝たなければお金がもらえず、家族も養えない。そうしたアルゼンチンの厳しい環境で過ごすなかで、「15、6歳の頃からそういう世界にいる選手を見ていたら、21歳はすごく遅いなと感じました」と危機感を覚えた。まだ10代の若者たちが、ピッチの上で命を削るようにして高みを目指す姿に加藤は猛烈な刺激を受けたという。
その日の101%の力を出そうと背伸びをする
何をやっても本調子を出せず、結果が出ない……。アスリートの多くはスランプを経験しているようです。
そうなると不安やストレスから、さらに調子を崩してしまいがちです。
しかし、僕の場合、スランプという言葉は存在しません(笑)。
僕が主戦場としているボランチというポジションは、チームの攻守の要。
敵の出方を観察しながら先読みをして、素早く対策をチームメートに伝え、ゲームをコントロールするのもボランチの役割のひとつです。
だから、ボランチのパフォーマンスが安定すれば、自然とチーム全体も安定します。
そんな役回りだから、好不調の波が少ないのが理想ですが、そうはいっても調子がいまいちのときも現実にはあります。
そんなときは、それがその日の100%だと考えるようにしています。
調子がよいときと比べてしまうと、スランプだと感じるかもしれませんが、僕は1日単位で考えるようにしているため、スランプとは感じないのです。
いくら調子が悪かったといっても、頑張って練習した結果なのだからいい。
スランプかどうかを心配するよりも大事なことは、たとえ調子が悪いときでも、少しでもいいプレーをしようと努力することです。
その日の101%の力を出そうと背伸びをする。
そうした努力を積み重ねることで、100%のアベレージは上がっていき、調子がいいときと悪いときの差が縮まっていくはずです。
仕事でも、結果が出ているときと、思うように結果が出ないときがあるでしょう。
結果が出ないときは気持ちも腐っていきがちですが、大事なのは1日1日でベストを尽くすこと。
調子が悪いなりに101%の力を出そうと努力をしていれば、必ず光が見えてくるはずです。
サッカーの本質を追求する旅はつづく…