大人になってから学ぶサッカーの本質とは

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本当にサッカーが上手いとはどういうことか 〜ロボスフットボールクラブ代表くぼっち編〜

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Photo by KENJI ONOSE

サッカーコーチとして育成年代に関わっている以上、
「本当にサッカーが上手いとはどういうことか」というお題目は常につきまとうし、そこからは決して逃げられない。

本当にサッカーが上手いとはどういうことか

「ボール扱いが上手い」ではなく「サッカーが上手い」ということであれば、
その「上手さ」は、ピッチの中で起きていること全てにおいて当てはまる。
つまり「サッカーが上手い」の定義は、決してボールがある時だけに限らない。
ピッチの中、全てがサッカーそのものなのだから。

と言いつつも、ボールがある時について強いて言うならば
「自分が思ったことを、スムーズにしなやかに表現できる選手」ということだろうか。


その上で、それを実行するタイミングをコントロールできるセンス(戦術眼)も兼ね備えていること。

 

それを可能にするには、その選手の頭の中で「味方、敵、スペース」が俯瞰できていることが条件になる。


わかりやすい華麗なドリブルや派手なシュート、ロナウジーニョのような足技だけでなく、味方、敵、スペースの状況を察知して一番良い方法を選べたのならば、例え何気ないダイレクトのバックパスだけでも
「あぁ、こいつ本当に上手いなぁ」と思える。

 

今、この瞬間しかない、というタイミングでジャストなパスを通すのが、パスの技術でありセンスでもある。その意味で、メッシは世界最高のパサー。


その「今しかない、というタイミングでパス(シュート)をしたい瞬間」に、相手よりも必ず先に触れる場所にボールがある(自分がいる)こと。


それを可能にするボディーバランスも含めたものが、ボールがある時の上手さ、と言えるだろう。

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ゲーム中、選手が起こさなければいけないプレーは次の6つ(攻守問わず。FPのみ)

・受ける … 味方からパスを受ける
・拾う … こぼれ球を拾う
・奪う … 相手から直接ボールを奪う、相手のパスをインターセプト
・移動 … 味方からパスを受けるため、味方のスペースを作るため、相手の攻撃に備えるため
・持つ … ドリブル、ボールキープ
・離す … パス、シュート

目に見えるものは上記の6つ。これらを起こすために、目に見えないものとして

・予測
・企み
・備え
と、頭の中で上記3つの準備を常にしておかなければいけない。

 

目に見えない準備の質が高ければ、目に見える6つのプレーの質も当然上がる。
「上手い選手」は、この「目に見えないところ」の質が高いのだ。


それは、上述したように『 味方、敵、スペース が俯瞰できている 』から。

 

目に見えないところで準備をし、目に見えるプレーで表現する。


目に見えるプレーの6つ全てを平均以上に表現できるのが「上手い選手」と言えるのはまず間違いないのだろうが、それは当たり前として、さらにその中で何か一つ「あいつは、コレがとんでもなく凄い」というものが飛び抜けた時、将来その選手の周りにはきっと大金が落ちる。

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さて、自分が指導するチームでは

「ボールのない選手がゲームメイクをするんだ」
「守備時は、自分が主人で相手が犬。相手を放し飼いしてる感覚で」

と、選手達に伝えながら指導している。あくまでも一例ですが。
「これができたら、例えリフティングが10回できなくたってサッカーが上手いってことだよ」とも。

 

ボールを扱うのが上手いのは当たり前。起きたことにリアクションするのも当たり前。
でもそれ以上に「この後、何を起こせるか」を自分の中でイメージし、実際にそうなるように誘導し、それを実行できること。

「ボールのない選手がゲームメイク〜」「相手を放し飼い〜」
これらの言葉のニュアンスで、チームで共有している「上手さ」は想像していただけるのではないかと思う。

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最後に

偉そうにつらつらと書いてしまいましたが、本当にサッカーが上手い選手というのは、自分以上に、味方を活かせる選手なのだと思う。

自分のプレーで、味方の良さを引き出せる選手。
味方が何をしたいのかを、感じ取れる選手。
感じ取れるだけでなく、時には汲み取ってあげられる選手。

その日初めて会った同士でも、お互いの特徴を活かせる選手。
下手な選手、サッカー初心者、子ども… などと一緒にプレーしたとしても、それらの人達が活きるように、楽しめるように、プレーでさりげなく助けてあげられる選手。等々。


こうして考えると、上手い選手の条件は
『 心がニュートラルで、他者の側に立ってあげられて、なおかつ想像力が豊かであること 』

 

そんな感性の持ち主こそが、本当にサッカーが上手い選手 になり得るのではないだろうか。


これが僕の結論です。

 

そしてここからが大事なんだけど、例えサッカーが上手くなれなかったとしても、、そんな感性があれば、間違いなく、多くの人から愛される。

ならさ、、サッカーが上手くならなくたって、全然それでいいじゃん!!

 

つまり僕らサッカーコーチは、選手達を上手くさせよう!といきり立つ前に、まず、選手達に対してやらなくてはならないことがあるのだろう。

 

彼ら彼女らが、感性を閉じ込めることなく、心が縛られることなく、強制も矯正もされることなくサッカーを楽しめる環境を用意すること。

そしたら、勝手にサッカー上手くなる。


でももしかしたら、上手くなれないかもしれない。それはそれでもう仕方ないじゃないか。
人には向き不向きがある。個性もある。全員を上手くさせよう!なんてハナから無理。

人それぞれでいい。それぞれの楽しみ方を見つけられるように手助けしてあげることも、コーチの役目として大事な一つだ。

 

でも全員を無理やり一律に上手くさせようとするから、オーバーコーチングとなって、結果的に選手を苦しめてしまう。


人工的に教えられた「上手さ」なんて、いつしかメッキが剥がれる。
強制され、矯正されたものは、技術どころか、後々に後遺症となって残る。

限界が来る。

 

彼ら彼女らが自ら気づき「アハ体験」した喜びこそが、きっと「本当のサッカーの上手さ」となって表現されるのだと、僕は信じてる。

選手の感性が溢れ出し、心が縛られない。その環境を、まずは僕ら大人がつくろうじゃありませんか。

 

ライタープロフィール

久保田 大介 1972年12月23日生まれ
一般社団法人ロボスフットボールクラブ元代表理事、ロボスフットボールクラブ元監督。26歳の時に自ら立ち上げたクラブ・スエルテ横浜(現ロボスフットボールクラブ)で指導する傍ら、外部コーチとして、中学生や高校生の指導にもあたる。
日本で一番、自由で自然体なクラブにしたい。自由なコーチでいたい。でも、サッカーよりも乃木坂が好き。

君だけのコーチ - あしたのために。

note

Daisuke Kubota / アドリブラー / あしたのために|note

 

サッカーの本質を追求する旅はつづく… 

 

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