コロンビアの英雄、カルロス・バルデラマ
ライオンのような風貌でピッチでは美しいプレーを紡ぎ出す天才ミッドフィールダーだった。バルデラマのプレーは多くの観衆を魅了し、サッカーの虜にした。
私がはじめてバルデラマのプレーを目にしたのは94年のアメリカで行われたW杯だった。野生的で本能的なプレーに一瞬で惹きつけられてしまった。
アスプリージャやリンコンというコロンビアのエース達と奏でる攻撃は堪らなかった。
バルデラマの独特すぎるプレースタイルは多くの人を魅了したが、欧州のリーグには合わなかったのだという。ピッチでは常に本能優位に振る舞うバルデラマは統制を取りたがる欧州のリーグでも自分を変えることはなかった。
南米コロンビアで育まれた野生のプレー感性は確固たるものだった。バルデラマはバルデラマであり続けたのだ。欧州のトップリーグで活躍することができる天才もいれば、南米で輝き続ける天才もいるのだ。
バルデラマのその圧倒的な才能を紐解いてみよう。
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踊るようにプレーする
バルデララマは独特の感覚を持っている。踊るようにボールを触り、独特のタイミングでパスを通す。
野生的で圧倒的なテクニック
柔らかいタッチ、ボールの行き先を読ませないボールさばき。
野生的にプレーするバルデラマを止めるのは非常に困難だった。
型に捉われない表現
バルデラマの魅力は型に捉われない表現だ。
教科書にならっていては不可能なキック、カラーコーンを相手にトレーニングしていては決して実現不可能なドリブルを紡ぎ出す。常に生身の人間を相手に自由に発想し、イメージを具現化するためにピッチで磨き続けた先に実現できる稀有な表現がバルデラマの醍醐味なのだ。
殺気をいなすテクニック、球際の巧さ
南米という感情的で殺気に満ちたフィールドでプレーし続けていると、自然と駆け引きが上手くなり、殺気をいなすテクニックを身につける。もちろん多くのサッカー選手が潰れていく過酷な環境の中でプレーを続けていくことは困難を極めるのだが、バルデラマはそこで生き抜く術を見出した。
ピッチで華麗に舞うバルデラマのプレーはいまなお私を魅了する。
サッカーに捉われてはいけない
バルデラマのプレーを観ていると、サッカーは教わるものではないなと改めて感じる。
相手にプレーを読ませない駆け引き、相手の発想を超える表現はきっとサッカースクールではなく、ストリートで培われる。
世界は進んでる、もっとあれを教えなきゃ、これも教えなきゃ… などと焦る前にバルデラマのプレーを観ればサッカーの本質が見えてくる。
サッカーの本質を追求する旅はつづく…