素敵な本に出会った。
日本を代表するサッカーカメラマン、今井恭司さんの本だ。
サッカーカメラマン今井恭司さんが見た世界観が美しく描かれている。
ピッチレベルでしか感じることのできない世界を知る今井さんにしか表現できない作品になっている。
文頭にこう記されている。
サッカーは生き様がいつも問われる
サッカーという競技は、広くて深い。
これが、40年、サッカーを撮影し続けてきて私が思うことである。
選手のプレースタイルや戦術だけが、サッカーの魅力ではないと思う。
政治や経済、文化までサッカーは内包している。そして、サッカーを取り巻く人々の思いも。だから、長く関わっていられる。
選手が年齢を重ねてそのプレーが成熟していくように、私たちも自分の生きてきた時間が、そのままサッカーへの関わり方に反映するのだ。自分の生き様がいつも問われる。終わりがない。
本当に素晴らしい競技に出会えたと思っている。
人生の生きてきた時間が、そのままサッカーへの関わり方に反映するのだ。自分の生き様がいつも問われる。終わりがない。
今井さんはこう言った。サッカーは人の生き様が、想いが、心が反映するものなのだと。
マラドーナは無邪気な子供だが神だ
SCナポリに所属していたマラドーナがゼロックス・スーパーサッカーで来日した際、ポスターの撮影の仕事でマラドーナを撮影した時のこと。
ジャンピングボレーを撮影することになっていたのだが、先に軽く打ち合わせをし、いざ本番。2、3回ボレーキックをしてもらっただけで、あっさりとOKカットが撮れた。勘がいいというか、その技術の高さに改めて驚かされたことを覚えている。
撮影の合間に、私はあることに気がついた。どういうわけか、マラドーナはスパイクの紐が上手く結べないのだ。結局、マネージャーが丁寧に結んであげていた。足(技術)は世界一素晴らしいのに、手は不器用ということがなんとも面白くて、私は、駄々っ子のように、足を前に投げ出して紐を結んでもらっているその様子を微笑ましい気持ちで見ていたものだ。
私はこの描写がとても好きだ。世界一サッカーが上手い選手が靴の紐もまともに結べないという事実が既成概念を壊してくれる。マラドーナはサッカー選手である前に芸術家なのだ。常識やルールに捉われない感性こそが魅力であり世界一のピッチでの表現者である所以なのだと思う。
マラドーナは自分の感覚をなによりも大切にし、自分の感情に誰よりも忠実なのだと思う。
サッカーカメラマン今井恭司さんの作品にはたくさんの物語が描かれている。
40年分の日本サッカーが歩んできた物語を写している。歴史が変わるその時々を写真が語っている。
サッカーの本質を追求する旅はつづく…
スポンサードリンク