私の大学サッカー部時代の恩師であり、現在は名古屋グランパスを率いる風間八宏監督の言葉をご紹介します。
これまで当ブログでは何度も風間さんの言葉を取り上げてきました。
川崎フロンターレ、そして今では名古屋グランパスで、常識に捉われないサッカーをピッチで表現しています。
サッカーの本質を追求し続けているからこそ、人間の可能性を追求し続けているからこそ風間さんのサッカーは魅力的なのだと思います。
サッカーが上手くなるためには?
人が成長するには?
風間さんは常にこのふたつのテーマを常に大事にしているのです。
サッカー選手、指導者の皆さんにはぜひ読んでいただきたい内容になります。
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監督は主役ではなく、選手である
伝える言葉も、より嚙み砕いて伝えるべきか、逆に、あまり嚙み砕かないほうがいいのか、選手たちに一番よく伝わるにはどうすべきかその都度考えています。 ただ間違ってはならないのは、監督である自分が主役ではないということ。主役はあくまで選手であり、クラブであるべきです。 つまり主役ではない私が自分の考え、自分のやりたいサッカーを押しつけるのは本末転倒だと考えます。あくまで選手たちに合った、選手たちの能力を引き出すものであるほうがいい。選手が成長する、その手助けをしていくことがチームの勝利につながり、ひいてはクラブのためになるということです。選手はうまくなりたい、私はうまくさせたい。お互いに目的がしっかりしているから「伝わる」と思っているのです。
風間八宏の「伝える技術」 〜サッカーという真剣な遊びをどう伝えるか〜
余計なことを教えるな
よく聞かれるのが「どうやって教えればいいんですか」「どうしたら子供たちが上手くなるんですか」ということ。
「自分の持っているもの全て教えたい」というケースもありますが、今教えている選手が育って活躍するとしたら10数年後のことでしょう。
指導者が今もっているサッカー観は古くなりますから、その時に通用するとは限りません。
「よけいなことを教えないで、選手の邪魔をしないでください」それが私の助言です。
子供たち、選手たちの本質を心をみるということ
指導者が余裕を失い、いつの間にか「コーチングライセンス」をグラウンドに持ち込んではいませんか。あなたはコーチングライセンスを取るための授業で出てくるような内容を教わる生徒になりたいですか。私は嫌になると思います。好きなように、楽しく遊びたいからです。サッカーは、算数のドリルではないのです。
教えることよりも大切なこと 「好奇心を刺激し、主体的にさせること」
技術面よりも精神面から変えること
大事なのは「やらせない」と言うこと。
自分から「やりたい」というようにすれば、勝手に上手くなっていく。
1997年に桐蔭横浜大学のサッカー部の監督になった時も同じで、選手がやらされるのを待っていた。だから、監督なんだけどクラブハウスにずっといて、グラウンドでの練習もやらなかった。そうしたら、コーチが飛んできてなんで練習してくれないんですか?って聞いてくるんだよ。だからお前たちの顔なんて見たくないんだよって。1ヵ月もしたら、選手たちが練習をしてくださいって自分たちから頼んできた。それから練習を始めました。当時の桐蔭横浜大学は神奈川県リーグ2部でダントツの最下位だった。10点以上つけられて負けていた。そんなチームの選手たちが本気になってやらなきゃ勝てるわけがない。ただ、こっちからいくら本気なると言ってやらせてもそれはこっちの考える本気とは違う。だから、手間はかかるけど、ホンキになるまで待った。そうしたら、次の年はほとんどそのものメンバーで全焼して1分に上がった。そういうことなんだよ。
人間は主体性を失った時点で成長は止まる 〜風間八宏の育成理論〜
練習メニューを真似したところで同じ練習になるはずがない
風間監督の指導方法はどこで学んだものなのでしょうか?
自分がいろいろなチームを見ることがあっても、監督が何をやっているかじゃなくて、選手の方ばかりを見ていた。選手が自分からやろうとしているのか、それともやらされているのか。自分ならその選手たちでどう戦うのかなと考えていましたね。うちの練習にもよく指導者が勉強させてくださいと言って見学に来るんだけど、いつも言うのは元を取る必要はないと。練習メニューを真似したところで同じ練習になるはずがないし、それよりも選手を見て、自分だったらこうするなって考えた方がいいよと。
ボールの値段はいくらなのか?
ボールっていうのは、自分の武器なんだから。それをみんな簡単に失ってしまう。でも、自分のボールがいくらかを考えたら、そんなことできなくなるはずなんだ。自分のボールが50円なのかそれとも10,000,000円なのか。もしも自分のボールに10,000,000円の価値があると思ったら、相手に奪われたら死んでも奪い返そうとするでしょ?それが本当の意味でボールを大事にすると言うこと。
サッカーを教えるということ
私から言わせれば、攻撃の練習、趣味の練習、どちらか片方だけの練習と言うのは無い。攻撃の練習をしてる時はそれをどうやって止めるかと言う練習になるわけだから。ただ、最初から守ることだけを考えて、そのための練習をすると言うのはなかった。はっきりって守備をしようと思えばいくらでも教える自信はある…
自分に何が必要かを考えられる人間にすること 〜風間八宏の育成理論〜
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サッカーの本質を追求する旅はつづく…