海外でプレーするサッカー選手特集、第二回はオーストラリアリーグで活躍する美濃村 慶太 (ミノムラ ケイタ)選手(28歳)。
【所属リーグ・クラブ】
オーストラリアリーグ:NPL(ナショナルプレミアリーグ) デヴィジョン2
ポジション:セントラルMF
後列左から順に緒方選手(ボリビア挑戦中)後藤選手(海外行くのかな?)私、阿部選手(ドイツリーガー)
写真前列左が美濃村選手、真中が丸山選手(リトアニアリーガー)右、冨澤選手(ニュージーランドリーガー)
美濃村選手と出会ったのは去年の年末のフットサル大会でした。(上がその時の写真)
同じチームでプレーして感じた彼のプレーと人間性。そして彼の発する熱い気持ちがとても印象的でした。
そんな美濃村選手はオーストラリアという異国の地で戦っています。
彼の想い、異国の地で感じていることなどを中心にお話を伺いました。
海外でプレーしたい若い選手たちにとって参考になると思います。
また、サッカーに関わる指導者や親御さんにも、有意義な内容になっておりますので是非読んで頂ければと思います。
それでは、お楽しみ下さい。
オーストラリアに行ったきっかけを教えてください
2年前の11月、その時はドイツに行こうと思ってたんですけど、日本でトレーニングした時にたまたま一緒にやってた選手がオーストラリアリーグ経験者で。それでオーストラリアの環境を細かく聞いた上で、ドイツではなくオーストラリアのアデレード行きを決めました。
海外リーグに挑戦する理由は?
日本のサッカーは合わなかった? それともやっぱり海外への好奇心?
そうですね、自分のサッカーが日本で評価されることは無いって思ってました。それなら海外ならどうなのかなって。まだ身体動く内にどうしても確かめたくて。それで蓋開けてみたら、お金も貰えるし日本の社会人リーグより環境は良いしって感じでしたね。日本のサッカーだと、僕みたいなプレーって評価されづらいと思ったんです。中盤でハードワークして、ボール奪って...みたいなのは。日本のサッカーはそれよりも組織力にフィット出来る選手ばかりにフォーカスしてる気がしたんです。
なるほどなるほど。個性を出すより出さないようにすることで統制をとっていくチームは日本には多いですよね。自分を活かせる環境を求めて海外にチャレンジして正解だったんですね。
日本サッカーとの違いはなんですか?
やはりフィジカルの差はあります。スピードよりも、パワーの差ですね。
オーストラリアリーグのサッカーはそれほど高い組織力のあるチームは無いので、シンプルに遠目からのシュートや強引なドリブルでの局面打開が目立ちますね。セットプレーの強さもまた日本より上回っている部分です。
色んな個性を持つチームが存在するので、一概にこんな選手が評価されるっていうのは特に感じませんが、やっぱりそのチームで与えられた役割をこなしてチームに貢献出来ているかどうかが重要だと思います。ざっくり言うと、適応能力や臨機応変さが求められるかもしれませんね。
オーストラリアの特性「footy」
・オーストラリアにはフティと呼ばれる国技があります。ラグビーに少し似ていますが、ガード無し、防具をつけずに人と人とがぶつかりあう競技なんです。オーストラリア人は幼い頃からこのフティをみんなで遊びます。なので対人においてのボディコンタクトはオーストラリア人にとって好ましい。一番負けん気が現れる場面でしょう。これだけではありませんが、こういったフィジカル要素はサッカーにも現れている一つの理由だと思います。
気性が荒い選手もいるし、ファールする時は躊躇せずに突っ込んでくる場面も多いです。
そして試合が終わった後にクールダウンをしているチームって少ないんです。こんなに大きな身体をしているのに良く平気でいられるなっていつも思ってるんですけどね。笑
フティ(footy)とはこのような球技
楕円球形のボールを用いて1チーム18人の2チーム間で行われるフットボール
なるほど!身体がぶつかり合うことに躊躇がない。それが前提としてサッカーも考えられているとすれば日本とは全然違うプレースタイルになるのかもしれませんね。興味深い!
プレー中に意識していること
インターセプトですね。僕は得点出来るような選手では無いので、一つ一つのインターセプトが僕にとっては1ゴール。というような意識を持ってプレーしています。何度もボール奪えばそれだけ観にきている人たちにも注目されますからね。
後は、90分あるいは120分の中で誰よりも走っている選手、質の高いハードワークをいかに毎試合で続けられるか。というところです。まず、良いディフェンスをしてゲームを作っていく。それが今のチームで僕が求められている役割なんです
自分がチームで求められることをしっかりと理解し、トレーニングし試合で結果を出す。自分の強味を知り、チームの特性を知り、相手チームとの関係性を知り、戦う。これができなければ試合に出ることはできないということです。
最後に…
若い選手たちへ
下記、美濃村選手のブログから引用「高校世代の若者たちへ」
今、ここで君が "一生懸命何かに取り組んでいたもの" は何かの糧になる。 人一倍、人の何倍も努力してるなら、それは形になって現れる。
だだ、それはいつどのタイミングでどういった形で現れるかはわからない。 もしかしたらもっと先かもしれないし、明日かもしれない。
君が大学でサッカーを続けて、そこから花を咲かすかもしれない。
はたまた、サッカーを引退した後に就職したとして、自分に思いもよらないハッピーな仕事が舞い込んでくるかもしれない。
踏ん張らなきゃいけない時に踏ん張りの利く人間なってるかもしれない。 そういったものを信じて、そして自分だけが信じられるものを見つけて突き進んで欲しい。
だけど現実は残酷な時もあって 自分がやってきたことが身を結ばないこともある。 人生には運も必要なんです。 だけど もしそうだとしても、自分を信じて突き進んできた道は忘れちゃいけない。
今の時点でそんな自分を罵倒する人間がいたとしても、もっと大人になってもっと色んな人に出会ったら、そんな君を認めてくれる人はいる。世の中は広い。色んな人間がいる。 だから、今 周りの声は気にするな。
本気で必要だと思えることだけを選んで。 そしてみんなよりも、誰よりも努力してみるといい。 それは家族の言葉さえもだよ。今自分が本気で取り組んでいることを 「もうやめたら?」 「あきらめて、〇〇に専念しなさい。」 と言われる時がくるかもしれない。
それ辞めて自分が後悔しないんだったら、それでもいい。
だけどもし少しでも後悔するかもって思うのなら、例え身内の言葉であっても。 家族を裏切ることになるかもしれないとしても。
自分が思う道をなるべく選んで欲しい。 だって君の人生だから。
でもね、"感謝の気持ち"だけは忘れちゃいけない。
なんでかと言うと、もし自分が 「恩返しをしたい。自分に何が出来るだろう。」って本気で考えた時に 必ず "感謝の気持ち"があるかってのが試されるから。 だから、それだけは忘れないで。 もう一度言います。 自分のやってる事を信じて。後悔しなように。 周りに左右さることなく、強く。もっと強く突き進んで。 周りがのんびりしてる今がチャンスだよ。
編集後記
彼の話を聞いていたら胸が熱くなりました。
本気でサッカーに取り組んできて、自分の居場所を異国の地で自ら切り開いて日々をいきいきと生きている。
サッカーを通じて得てきたものをしっかりと自分の血肉として後世にも伝えていこうとしている。
彼のような選手を知って海外に挑戦する選手がもっと増えて欲しいと思っています。
異文化を身体で知ることは、人生を豊かにするために私は必要だと考えています。
出国しよう…
サッカーの本質を追求する旅はつづく…
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