9月某日、日本人初のブラジル女子プロサッカー選手の藤尾きらら選手と話す機会がありました。
彼女との対話の中で見えた日本サッカーとブラジルサッカーの違いをまとめました。
日本人初のブラジル女子プロサッカー選手の藤尾きらら選手(@chibizaru3k )と話した内容が面白かった⤵︎
— Kei Imai (@Keivivito) September 11, 2019
・神様がいる文化といない文化の違い
・解放されてるか閉じてるかの違い
・日常がサッカーにもたらす影響
・なでしこじゃなくセレソンになる話
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以前、ブラジルにいる時に書いた記事がこちら↓
神様がいる文化といない文化の違い
ブラジルで感じることですか?そうですね。日本とは何もかも全然違いすぎて(笑)でもめちゃくちゃ楽しいです。日本とブラジルの一番の違いって解放されてるかされてないかの違いなんじゃないかなと思います。自然体でいられることの大切さがよくわかりました。
あとは神様がいる文化といない文化の違いは感じますね。
ブラジルでは神様のことをDeus(デウス)って言います。
何が違うかというと、例えば日本だと苦しい時に根性とか気合いで耐えるみたいな感じなんですけど、ブラジルではDeusの存在が苦しい局面を乗り越えるきっかけになる感じです。
今井:確かにブラジルの試合前の円陣って必ず最後にお祈りする。こないだ取材したU12のパルメイラスもそうでした。ブラジル代表のカフーっていう選手の円陣のスピーチは話題になったけど、神様の存在の大きさ感じるし、解放感あるよね。
解放されてるか閉じてるかの違い
解放されてるか閉じてるかの違いってすごくありますよね。日本だとコーチのいうことを聞ける選手が良い選手になりがちだけど、ブラジルは真逆でセオリーを壊せる、想像を越えるプレーができる選手が評価されるように感じます。
日本って何かと怒られるじゃないですか。教科書通りにやらないとダメ、ルール通りやらないとダメって。ブラジルはもっともっと自然なんです。ルール通りやることよりも、楽しんでプレーしているか、自分を解放してプレーできてるかっていうところを大切にしている感じです。サンバと同じじゃないですか。体の内側から湧き出るリズムを表現するような感じですよね。
今井:だから柔らかいんですよね。日本の子供たち見ていてすごく思うのは、コーチとか親に怒られないようにプレーしちゃうからガチガチ。南米や欧州とはサッカーの捉え方が根本的に違う。上手い下手に捉われてしまってサッカーを楽しむっていう原点を忘れてしまう。世界のトレンドが戦術的で科学的だから、日本のメディアもそこばかり取り上げてしまうけど、日本の一番の課題はブラジルみたいなサッカーの土壌を育むこと。ここは忘れちゃいけない。まずは大人がもっと解放されて、子供たちが解放されることなのかな。とても難しそうだけど。
日常がサッカーにもたらす影響
ブラジルと日本の違いでもう一つ感じることは、愛情表現です。
同じチームになればファミリーで、本当に愛情を持って接してくれるんですよね。日本は愛情がないのかと言うとそうじゃないですけど、ブラジルはなんというかもっと体温を感じる繋がりがあるんです。もちろんハグや握手という直接体温を感じるコミュニケーションの違いもあると思いますけど。あとはみんな喜怒哀楽をはっきり表現することですね。自分の感情に素直だし、感情表現することを躊躇わない。これって結構サッカーに影響していると思います。
今井:すごくわかります。南米の仲間とサッカーするといつも思うけど、距離感が全然違う。彼らは仲間の為ならなんでもする。本当に仲間を大切にするんですよね。その分、要求は高いけどね。死んでも試合に勝つんだっていう気持ちの強さ、勝利への執念は日本ではなかなか感じられないし、そういう日常の違いはサッカーに大きく影響すると思う。昔、中田英寿が「日本人は自分の100パーセントを出す術を知らない」って言ったのがずっと頭の中にあったけど、これは南米の人たちとサッカーして腑に落ちました。
自分を解放して表現することが日常的である国とそうじゃない国の差は感じますね。
セレソンへの想い
ブラジルは本当に大好きです。私をプロサッカー選手にしてくれた国です。
不安と恐怖心、日本人であることのコンプレックス、色んな想いが入り混じる中でチームの入団テストを受けて合格しました。プロになってからは、プロとして厳しい現実を目の当たりにしました。
ブラジルで本気で認められるには、自分自身のスタイルで戦い抜くこと、自分を表現することです。それが出来なきゃパスはきません。そんなの当たり前。それがブラジルでプロとしてプレーすることの基準なんです。
プロとして初めてプレーした時は、何もできずにブーイングを受けましたし、初めてサッカーを辞めたいと思うほど辛かった。でも、チームメイトやコーチがたくさんサポートしてくれました。私のつたないポルトガル語を真剣に聞いてくれて、辛い時期に寄り添ってくれました。彼ら、彼女たちがいなければ乗り越えられませんでした。
それに彼女たちは私の本当の姿を引き出してくれるんです。自然体でいられるんです。
みんなに恩返しがしたいという気持ちがありますし、セレソンに選ばれる可能性があるなら本気で目指します。それほどブラジルという国は私にとっては大切な国なんです。
サッカーの本質を追求する旅はつづく…