美しいアンティグアの空
美しい空の下で死ぬ必要があった
地球の反対側まで行く必要があった。日本から遠く離れた場所に、誰も自分のことを知らないところに行く必要があった。
リセットする必要があった。
今までの自分を殺す必要があった。
私は社会で上手く振舞えないことに戸惑っていた。
サッカーをしていても、バイトをしていても、誰かと酒を飲んでいても、私は心に感じていることを言葉にすることができなかった。本当に感じている心を表現することができなかった。
他人と違う自分を上手く表現する方法がわからなかった。素直に自分を出すことができなかった。バカにされるのが恐かった。否定されるのが恐かった。
だからいつも言い訳ばかりしていた。見栄ばかりはっていた。
そんな自分がそれまでにこしらえた嘘や偽りの自分を脱ぎ捨てる必要があった。
だから私はグアテマラという国に導かれたのだと思う。
美しいアティトラン湖の風景
君は感じているか?身体の声を、湧き出る喜びを
私は、中南米グアテマラのサン・ペドロ・ラ・ラグーナという美しい湖の麓の村にいた。
そこでひとりの青年と仲良くなった。彼は私にこう言った。
「お前は感じているか? 音楽を。身体の声を。喜びに溢れた空気を。
自分の身体を。自分自身をこの世界に委ねればいい。
考えるな。
考えれば考えるほどに固くなる。
心も身体も。お前自身も。凝り固まっているじゃないか。
今お前が流している涙はきっとお前自身を洗い流してくれる。
もっと感じろ。自分自身に身体を委ねるんだ。」
私は彼の言葉に涙が溢れた。
いつも一緒に空気の抜けたボールを蹴って遊んでいた。
スペイン語のスラングを教わり、くだらない漢字を彼の身体に書いて遊んでいた。
真面目な話なんてほとんどしたことがない。そんな彼が美しいアティトラン湖を眺めながら突然、私に語りかけた。その言葉に私は涙した。
感じることに耳をすますということ
もっと自分の感じることに忠実にならなければならない。
そういうことをグアテマラという国で学んだ。
もっとリラックスして歩き、リラックスして呼吸をしなければならない。
現代に生きる人間は本当の歩き方も本当の呼吸の仕方も忘れてしまったかのようだ。
誰かに教わらなければ何事も成立しないと思いこまされている。
本当に大切なことはなんなのかもわからなくなってしまっている。
本当に大切なことは自分が感じたことを表現することである。
私たちは私たちの感じ方があり、自由な表現が担保されている。
異国に行くことも、自分をリセットすることも人生には必要な瞬間が訪れる。
誰かの声ではなく、自分の心の声に耳を傾けよう。
美しいプレーを表現したければまずは自分の感じることに忠実になること
君は感じているか?身体の声を、湧き出る喜びを
サッカーの本質を追求する旅はつづく…
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